暴君幼女は愛されたい! テキトーにLUK≪幸運≫に全振りしたら、ステータス壊れちゃいました~女神様からもらったチートスキル『構造把握』『創作』を使って、玉の輿でハーレムな無双ライフ……スローライフを♪
第64話 アリシア、ラッシュさんとエイミーンさんの近況を聴く1
第64話 アリシア、ラッシュさんとエイミーンさんの近況を聴く1
パストルラン王国南部地域で最も治安が悪いと噂されている街『デオミンガル』。
暗殺集団≪シガーソケット≫が根城にしているということはわかっているけれど、治安維持のために大々的に軍が動いた、という話はないらしい。
それだけ厄介な相手ということなのかな。
スレッドリーの付き人をしていた元聖騎士のラッシュさん。その想い人のエイミーンさんは幼少期から≪シガーソケット≫に籍を置いていた。
でもエイミーンさんは自ら進んで暗殺者になろうと思ったわけではなくて、災害孤児となって、どこにも行く当てがなく彷徨っている間に……って感じだったんだろうし……。だけど≪シガーソケット≫に在籍していたことを理由に、指名手配されていたため、わたしたちと一緒に『ダーマス』の街に入ることはかなわなかったんだよね。
スレッドリーの男気ある決断にも助けられて、ラッシュさんはエイミーンさんと一緒に暮らすことを選択。2人はわたしたちのもとから去っていった。
ラッシュさんは最後までスレッドリーの将来のことを心配していたけれど、うん……たぶん大丈夫なんじゃないかな。今のところはね。
あれからまだ少ししか経っていないけれど、スレッドリーは少しだけ頼もしくなった気はするよ。それになんだか、ちょっと大人っぽくなったかも。まあ、最初は危なっかしかったけれどね。
2人は今どこにいるんだろう。
落ち着いたら近況を報告するようにって約束したんだけど、未だ連絡はないよね。まだ逃亡生活の真っ最中なのかな……。
≪2人の近況について、私から伝えてしまって良いのか迷いましたが、お伝えします≫
「うん? ああ、そっか。エヴァちゃんは2人の見守りをしてくれているから、今どこにいるかは知っているんだよね? 元気にしている?」
≪はい。何度か危ない場面はありましたが、お2人はお元気です≫
「ラッシュは元気にやっているか! そうか……それは何よりだ……」
朗報を聞き、スレッドリーの声が弾んでいた。
もしかしたら実のお兄さん――スミナルド陛下よりもお兄さんのように慕っていたラッシュさん。その近況をひさしぶりに知ることができて、とってもうれしいんだろうね。
「ラッシュ様、ご心配しておりました……」
ラダリィもうれしそう。
ラッシュさんとは付き合いが長かったもんね。スレッドリーっていう手のかかる王子の面倒を2人で見ていたわけだし。
「でもまだバタバタしているのかな? エヴァちゃんは何か伝言とか預かってないの?」
あれからこっち側はずいぶん状況が変わったし、わたしたちも王都を離れたわけだから、合流して一緒に『アンタロスフィア』に向えると良いなって思っているんだけど。
≪お伝えするか迷っていたのはそのことです≫
「そのこととは? そこまで言ったんならもったいつけないで教えて?」
≪実はお2人は今、『デオミンガル』にいらっしゃいます≫
それはつまり……。
「≪シガーソケット≫にってこと……?」
≪はい。組織と共に行動されています≫
「マジか……」
エイミーンさんは賞金首ではあったけれど、そこは形だけで、実際に追っ手がかかることはほぼないだろうから、どちらかといえば≪シガーソケット≫と縁を切るために逃亡活動を選んだはずだったのに。
それがなんで……。
「なあ、ミサトさん。1つ聞かせてくれ」
スレッドリーが声を掛ける。
≪なんでしょうか≫
「ラッシュがそれを望んだのか?」
暗殺集団≪シガーソケット≫に身を寄せているのは、ラッシュさんの判断によるものなのか。それとも、居場所がバレてエイミーンさんが連れ戻されそうになった結果、仕方なく帯同、もしくは捕縛されているなどの状態なのか。
それによって、ずいぶん意味合いは変わってくるよね。
≪紆余曲折ありましたが、現在の状況はラッシュさんが望まれた結果です≫
「そうか。それなら良いんだ」
それだけ言うと、スレッドリーは押し黙った。
「それなら良いって何? ダメでしょ。暗殺集団だよ? 一緒に行動したらラッシュさんまで前科がついて賞金首になっちゃうかもしれないじゃない?」
紆余曲折、の部分を聴く必要はあるけれど、どちらにしても2人を今の状況から救い出さないと!
「あの~」
それまで黙って聞いていたナタヌが、遠慮がちに会話に入ってくる。
「ラッシュさんとエイミーンさんは、今も……一緒にいるんですよね?」
≪はい。今も仲良さそうに笑い合っていらっしゃいます≫
「それなら、それで良いのではないですか?」
「ナタヌまで? なんでそれで良いって思うの?」
スレッドリーもナタヌも、どうしてそれで納得できちゃうのかわからない……。
「だってアリシアさん、考えてみてくださいよ。愛し合う2人が笑い合える状況なら、場所がどこでも今しあわせってことじゃないですか? それなら、それはすっごく良いと思います!」
場所がどこでもしあわせ……。
「罪に問われても、身の危険が迫っていても……?」
「はい! ラッシュさんは強いですし、いざとなればエヴァさんも見守ってくれているんですよね?」
≪はい。何度か手を貸してしまいましたが、私は見守る者です≫
そっか……。
そういう考え方もあるか……。
「私は意見を保留にします。本当にお2人がしあわせなのかどうかについて、情報が不足しています」
冷静なラダリィ。
「そうだよね! うん! エヴァちゃん、もうちょっとそこに至るまでの話を聞かせてくれない?」
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