暴君幼女は愛されたい! テキトーにLUK≪幸運≫に全振りしたら、ステータス壊れちゃいました~女神様からもらったチートスキル『構造把握』『創作』を使って、玉の輿でハーレムな無双ライフ……スローライフを♪

奇蹟あい

第一章 アリシアと女神ミィシェリア 編

第1話 アリシア、女神様に出会う

「アリシア=グリーン。10歳のお誕生日おめでとうございます」


「あ、ありがとうございます……女神……様」


 わたしは頭を垂れ、跪いたまま冷や汗ダラダラだった。


 やばい。女神様の名前、度忘れした……。

 なんだっけ……。


 ここパストルラン王国では、七神の女神が信仰されている。10歳の誕生日に七神いずれかの女神に礼拝し、洗礼を受けることになっているのだけど、だけど……。

 わたしが洗礼を受けるのは……えっと、愛の女神様なんだけど……名前が……そうだ、ミィシェリア様!

 あっぶない、思い出したー!


「女神ミィシェリア様。ご機嫌麗しゅう」


「もし? 聞いていますか? あなたの名前はアリシア=グリーンですね?」


「ははー! その通りでございまするー。あなたの熱烈な信徒、アリシア=グリーンはここに居りまするー」


 地面におでこをこすりつけて返事をする。

 ママに習った通りだ。決して女神様に失礼のないように。くれぐれも機嫌を損ねないように。今日は大切な仮成人の洗礼式なんだから!


 わたし、アリシア=グリーンは今日が10歳の誕生日なのです。つまりもう仮成人! 立派な大人なのです! だから礼儀正しく1人で礼拝もできるのですよ。えっへん!


 ん? 誰だぁ⁉ 今「パッと見、少年なのか少女なのか迷う」って言ったヤツぁ! 手を上げろ! この胸が目に入らぬか! 最近ちょっと膨らみ始めたんだぞ! もうレディーなのだよ、レディー! わかる? おいっ、もう二度と幼女って言うなよ⁉ 絶対だぞ⁉


 近所に住んでるルースちゃんは同い年でEカップあるって? 知らんわっ! バンパイアと人間を一緒にすんなよ……アイツことあるごとに胸のサイズ自慢してきやがってぇ……。しかもいちいちカレシとか紹介してくんな、ビッチが! わたしだって人間の中ではこれでもけっこう成長早いほうなんだからねっ! 調子に乗ってる巨乳は滅ぶべし!



「アリシア? 聞いていますか?……あなたには、洗礼式を行う前に、とても大切なことを伝えなければなりません」


「え、あー、早いところ洗礼の儀式をやって、『システムコール:ステータス』の解放と『ギフトスキル』をいただきたいんですけどー」


 あとそろそろ立ち上がっていいですか。石の地面がひんやりしていて冷たくて足がしびれてきたし、ちょっとおでこも痛いです。


 洗礼の儀式の中で女神の祝福を賜ると、正式に仮成人として認められることになる。そうすると『システムコール:ステータス』の使用が許可されるらしい。自分のステータスを確認して、強さや健康状態などを管理できるという、まさに大人としての第一歩なのデス!


 それともう1つ。『ギフトスキル』というのは、女神の祝福によってスキルが1つランダムで付与されるもので、なんと洗礼式の場で無条件で習得できるんだってさー。

 わたしのママはレア度Dの土魔法『クレイウォール』、お姉ちゃんはレア度Cの風魔法『ウィンドウォーク』をいただいたとか。


 ちなみに普段の生活の中でもスキルは習得できることできるんだけど……。

 人間が習得できるスキルのレア度は、冒険者ギルドによってA~Dまでに分類されていて、レア度B~Dのスキルは、解放条件をクリアして、さらに適性があれば習得可能なものらしい。冒険者として活躍し続けても、生涯に習得できるスキルの数は2~3個。5個も習得できたら英雄レベルなんだとか。なかなか大変なものなんだね。

 しかもレア度Aのスキルに至っては、分類されているものの習得条件は不明。ここ100年ほどで習得した人も確認されていないんだってー。


 まあ、冒険者を目指さない人は、女神様からいただいた『ギフトスキル』を生かした仕事に就くのが一般的だからあんまり気にする必要なーし。

 

 参考までにうちのママは『クレイウォール』で作った食器や雑貨を売って生計を立てているよ。近所ではわりと評判のお店なんだよね。

 お姉ちゃんは……いっつも遊び歩いてるから、将来何になるのかとはわからないな。あ、でも『ウィンドウォーク』を使って風のようにふらふらするのが将来の夢かもね? おっぱいも風船みたいに膨らんでるし。いっそのこと風に乗ってどっか飛んでいけっ!


 えー、わたしの夢はねー。口に出して言うのははずかしいんだけど……素敵な人との結婚カナ♡ いつかステキな王子様が迎えに来てくれてー、かわいいお嫁さんになりたいなーって感じなので、今日は愛の女神・ミィシェリアの祝福をいただきにきたのでした。まる♡

 七神の女神様からギフトされるスキルには、その女神様の神性によってけっこう偏りがあるらしいって聞いたので、わたしはぜひぜひ愛の女神様に愛に関係するスキルをいただきたいのですよね! ね!


 うーん、愛のギフトスキル楽しみだなあ。

 便利な家事スキルなんかをもらえりしたら、花嫁修業も兼ねて近所の食堂で働いたりもできるんだけどなあ。自動皿洗いスキルなんてないかな? 寝てても仕事できるやーつ!

 レア度C……あわよくばレア度Bのスキルがほしいです!


「おほん、アリシア。私の話を聞いていますか?」


 おっと、つい妄想の世界に!


「ああ、すみません、ミィシェリア様。この後いただける『ギフトスキル』のことを考えてしまっていました……」


「もちろん洗礼式の最後に女神ミィシェリアの名において、あなたに『ギフトスキル』を与えます。安心なさい」


「わーい! ありがとうございます!」


「その前に! 伝えておかなければいけないことがあるのです」


「はい、なんでしょうか」


「大変伝えにくいことなのですが……ですが……」


 ミィシェリア様の声が尻すぼみに小さくなっていく。


「伝えにくいこと……?」


 なんだろう。わたし、なにかやらかしちゃった?

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