第2話

 キッチンには先生にお出しするためのパンが山のように積まれている。


 パンはプレーンのコッペパンのみ。他の種類のパンはない。


 本当は学校で出されているコッペパンがたくさん欲しかったのだが、業者に問い合わせると個人用に販売はしていないとあっさり購入を拒否されてしまった。


 仕方がないので、近所にあるパン屋さんに自分で注文をした。パン屋のご主人と思われる方から注文内容にある大量のコッペパンの使い道などをいちいち聞かれて閉口したが、ママ友と子供達を集めてコッペパンパーティーをするのだという苦しい言い訳をしながら、作ってもらえるように必死に懇願した。


 怪しまれることは百も承知だった。突然ただのコッペパンを個人から大量に注文されるなんてことはきっと今までなかっただろうし、注文をドタキャンされたりする怖さもあったのかもしれない。


 でも朱璃唯のためにどうしても大量のコッペパンが必要だったので頑張って交渉した。

 

 恥をかいてもお金がかかっても朱璃唯のためなら、私はなんでもする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る