1時間26分の劣情
日に日におかしくなっていく自分をずっと見ている。最初の自分なんてもう何も残っていないテセウスの船な気さえする。そりゃ細胞は毎日入れ替わるだろうけど、これは精神の話し。自分の中の悪い暴力的なものが欲を欲しがっていて人を傷つけることを求めている。本とかドラマのシリアルキラーなんか目じゃないくらいに邪悪な物が自分の内側に住んでいて、死に死体に魅入られている。生きている人より瀕死な灯火がもうすぐ消えそうな人に惹かれてしまう。ダメだこんなのはおかしいきっと病気なんだ。今はこうやってお話しにすることで吐き出せているけれど、これもいつまで持つかわからない。そうなったら死のう。傷つける前に。人を。
少女の張りのない平らな胸を撫でる。少女は目を瞑り体を震わして怯えている。これからもっと恐ろしい想いをするのに、そんなことも知らずに。ビニール紐で手足を縛られ、まるで芋虫みたいな少女は唯一自由なお口で何度も何度もパパ、ママだとか助けてなんて縋るような声を出す。もう助かることなんてないのに、僕は部屋が汚れるのを嫌うたちだから風呂桶で少女を飼っている。水をかけてやれば綺麗になるし静かにもなる。それに夜のお風呂がそれはそれは素晴らしいものになる。つまらない1日が素晴らしいものになる。夜までなんて待てない。この劣情はいま晴らさなくては素晴らしい1日は訪れない。そして僕は風呂場へ向かった。風呂場はなんだか汚らしい公衆便所のような匂いがして、さらに僕を駆り立てた。少女は変わらず、ぐったりと風呂桶で眠っている。その顔はまるで眠り姫のようだった。その姫を僕は今から穢すのだ。その前に風呂桶にお湯を溜める。体を洗う間僕は空想を走らせていた。少女の腹を開きハラワタをかき混ぜる、風呂桶の中はハラワタだとかリンパ液だとかでいっぱいになる。その頃には少女は絶命して動かない物になってしまうそんな妄想をしていた。僕はもう抑えることなんてできずに風呂桶に飛び込む。少女の胸を撫で握る。矯声を出した少女の中に僕の体は吸い込まれていった。しばらく動かずにこの暖かさを感じていた。少女の怯えた顔と震えだけで達しそうだった。見つめ合っていると恋人のようで、だけど会話は全くないそれもそうだ喋ろうとするたびに殴りつけて物扱いしているのだから仕方ない。だけれどこうも喋らないとつまらない。声を聞きたくなった。腰を掴み緩やかに上下する少女は苦しそうな声を出しやがて僕は絶頂した。だけれどまだ劣情は収まらない。風呂から引き摺り出し、床に寝そべらせる。仰向けにして腹を踏む、少女は血の混じった胃液を吐き出し股からは血と精を出し気を失いそうになりながら助けて、殺さないで、怖いよ、お腹いたいとつぶやいている。黙るまで踏み続けた。あざで彩られた腹にまた興奮して少女を犯した。少女は気を失いつつも死んでしまってはないようで肉壁は僕を包み込んでくれた。そのまま僕らは抱き合って、辺りが闇に落ちた頃目を開けた。少女は限界が近そうで酷く愛おしく感じた。手も洗わないままおにぎりを少女の口に詰め込んだ。弱々しい咀嚼だがまだ生きることを諦めていない様子に感動し僕は少女を抱きしめて、そのまま持っていた包丁で少女の腹の中心を浅く刺した。少女は叫ぶ、死にたくないと、徐々に青ざめていく少女を横目に包丁を下に、ヘソのところまで来た頃にはハラワタは溢れ出そうな勢いで跳ねていた。風呂場は真っ赤に染まり、蛍光灯の色が燻んで見えた。温かみを帯びた内臓に顔を埋める。また少女と繋がり、開いた腹から上下運動のたびに動く小さな子宮を見つめていた。僕が絶頂を迎えた頃が僕らのお別れだった。少女は物へと変わってしまった。だけれどまだ暖かく、捌いたあれこれを胃袋に詰め込めるだけ詰めた。熱も消え、物言わぬ死体になった彼女を普通の殺人者なら捨てたりするのだろうけど僕には勿体なくてそんな事できずに、毎日三食しっかり食べることにした。コーヒーも飲むようになった。
次の子はどんな子にしようかなんて食事中よく考えるようになった、次の子は人間扱いして優しくしてやろうとか、たまにはもう少し上の年齢の子でもいいなとか、自殺したてほやほやの死体で捌き方を勉強したいなとか。板前気分なんて、だけど後悔もしていた。あの子可愛かったなってきっと幸せになれたんだろうなって、だけれど男の後悔はそれではなかった。
男は非日常を日常の殻で閉じ込めて、鞄に弁当箱と一緒に詰めて出かけた。朝露を飲み込んだコンクリートの匂いと青い水彩絵の具をかき混ぜたみたいな色味の空で息を吸うたびになんだか嬉しくなった。きっといい出会いに外の世界は満ちている。不思議と足取りも軽やかで汚泥と色欲に満ちた僕の部屋はもう僕の居場所じゃないような気がした。
ここまで1時間26分の劣情だった。幼児に対して私は酷く歪んだ性癖を抱えて生きている。
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