派遣の品格➃

 今回は派遣社員のDさんのお話し。


 無口な彼は、入社時から少々しょうしょう、変わり者の片鱗へんりんを見せていた。


 現場の皆が休憩時間きゅうけいじかんに利用する部屋に、衣装いしょうケースを持ち込んで来た。


 その中にはインスタントカレーや、レトルト食品がはいっており、昼食時に中から取り出して食べていた。


 あまり広い部屋ではなかったので、衣装ケースが邪魔じゃまになったが、そこには誰もクレームを言う事はしなかった。


 皆、大人だったのだ。

 

 ある日、俺が機械を清掃せいそうする為、中に入ろうとしたが、「この仕事は僕に任せて下さい」と派遣社員のDさん。


 最初こそ変わり者扱いを受けていた彼も、慣れてくると普通の人じゃん。

「出来る子ですよ、この人は。」と叫びたくなる。

  

 だが、派遣社員のDさんは突然、来なくなってしまった。

 一体、何があったのかは謎のままである。

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