第07話 レイジ 天使に再会
どうしたらエルに会えるのかなんてわからない。仮に会えたとしても、俺のことなんて覚えていないかもしれないし、話ができるとは限らない。もしかしたら他の誰かと一緒かもしれない。
それでもやっぱり彼女に会いたい、せめて見るだけでもいい。そんな気持ちを抑えることができなくなったまま日曜日を迎えた。
万に一つ、いや億に一つかもしれないが可能性に賭けてみよう。俺はダメ元で先週のコーヒーショップに行くことにした。念のため時間も先週と同じ頃にした。
(俺、少しオカシイ? ストーカーの入り口に立ってる? いや純愛だ)
駅に向かう電車の中でいろんな思いが渦巻くが全否定。
店に着いて、気合を入れてドアを開けた。
店に入って中を見渡すと、奥の席のほうに、絶対に忘れられない天使のような美少女が座っていた。
(お母さん、この世に奇跡ってあるんだよ)
さすがにガッツポーズはしなかったものの、思わず拳を強く握りしめてしまった。さて、ここからどうしよう。衝動的にここへ来てしまった感もあるが、あまり女性経験が豊富でない俺はここでフリーズしてしまった。
すると、伏し目がちだった顔がこちらを向いて、俺を発見。
ななな、なんと!!
最初は少し驚いたような表情をしたが、すぐに微笑み、小さく手を振っている。
(大丈夫、俺に手を振っている。だって目が合ってるもんね)
(神様、奇跡を起こしてくれてありがとう)
ここまでしてもらえれば後は俺だってできるもん。エルのいる席まで行って話しかければいいのさ。
「均さん、先日はありがとうございました」
俺が話しかける前に、エルのほうが立ち上がり先にお礼を言ってきた。
しか~も、俺の名前まで覚えてるってどうよ!
「こ、こ、こ、こちらこそ」
おどおどする俺に、信じられない言葉が聞こえてきた。
「ご迷惑でなければ、今日も少しお話していただけませんか?」
堕ちた、堕ちた、堕ちた。完全に堕ちた。
(ばあちゃん、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます