第23話 白い部屋 - 5 -
「そうだな、確かにもらい事故だ。しかし、それはお前の行動の延長だ」
神様のくせになんてまた無責任な。じゃ、俺が刺されたのは自業自得ってこと?
「お前は刺されて死んだ。それが全てで、そこに神の意思はない」
「はいはい、わかりました。俺がエルを庇ったのは俺の意思。結果、悪者に刺されて死にました。いいですよ、早く天国へ連れて行ってください。全部了解です。どこか判でも
「まぁまぁ、慌てるな。ヤケになってはいかん」
「エルの言う通り、お前の魂値は50ではなかった。最終的には60を超えていた」
「そうなの?」
「エルがお前に初めて会った時は確かに50だったが、特にこの三か月間、お前はひたすら精進した。最終測定も不要なくらいに上がったのだ」
「はい、生まれて初めて必死でがんばりましたから」
「そうだ、エルにはお前の伸びしろが見えていた。だから儂の出した値を否定したんだな。そこについては、儂が見誤っていた」
よし、よし、よし! エルVS神様は、俺ががんばった甲斐ありエル勝利。少しでもエルに貢献できたのなら、俺も気持ちよく成仏できそうだ。
神様は一旦言葉を止め、俺の顔を穴の開くほど見つめる。
「エルが、お前の失った命を取り戻して欲しいと言い出してな」
「え? そんなことができるの?」
「うむ、儂は神だからな。できないことなどない」
(神様、すっげ~)
「ただし、エルはお前を生き返らせるための交換条件として、自分の天使としての命を差し出すと言ったのだ」
「ダメじゃん、それ。エルを助けるために俺は死んだ。それを自分の命と引き換えに俺を生き返らせるって、それはないよ」
それまで黙って俺と神様のやり取りを聞いていたエルが俺を見た。
「均さん、いいんです。私がそれを大神様へお願いしたのですから」
「だめだめだめ、それって絶対ダメ!! エルは生きていてくれよ!!」
俺に微笑むエルの顔には一切の迷いもなかった。
「神様、お願いだ。その約束をなかったことにしてくれよ。お願いです」
「駄目だ。神と天使とで交わした約束を反故にすることなどできぬ」
え...今、俺が生きているのは、そういうこと?
エルが神様と約束したから俺は生き返ったってこと?
もう約束は履行されたってこと?
後はエルが命を差し出すの?
エルの命と引き換えに生き返った俺が、どういう顔をしてこれから生きていけって言うんだ。
「そんなのイヤだーーーーーーーっ!!!!」
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