第14話

『ねぇ 凡城さん ??』


 翌日の朝、凡城に話しかけるレセア。


「どうしたんだいナンシー」


 昨日、知り合ったばかりの女の子に朝から話しかけられて少々動揺する凡城。


『あたし飛行艇に乗ってみたいの』


 昨日、聞いた話で飛行艇というワードに飛び付いたレセアの姉。


「ダメダメ

あれは基本的にUNReのメンバーと要人しか乗れないんだから」


 色仕掛けに、一瞬グラつく凡城だがすぐ取り戻す。


『そこをなんとか

ねっ?』


 レセアの、胸元のジュレルがあやしく光を放つ。


「………もちろんオッケーさ」


 コロッと、受け入れる凡城。


『やったーありがと

それでいつ出発するの ??』


 声に、合わせて凡城の腕に抱き付くレセア。


「こっちに3日くらい滞在して行くからその時に」


 あくまでも、冷静な凡城。


「エ゛ッ」


 思わず、レセアが声を出す。


「え ??」


 ビクッとなる凡城。


『アハハ

今日出発しましょうよ』


 レセアの姉が、急かすように言う。

 レセアに、ティファの料理のグチを散々聞かされて早く移動したい。


「えーっ

今日は ちょっとつかれてて無理だなー」


 苦笑いする凡城。


『お願い~』


 また、あやしく光り出すジュレル。


「ダメだよー………

今すぐ行こうか………」


 また、簡単にコロッとやられる凡城。


『やったー』


 よろこんで、見せるレセアの姉。


『ねぇヒュー』


 ボクのところに、レセアが来る。


「どうしたのレセア」


 胸焼けしているボクの目を、見つめるレセアにドキッとなる。


『あたし飛行艇に乗ってみたいの』


 イキナリ、そんなことを言い出すので、


「あぁ そうなんだ」


 ボクの、ことではないなと聞き流していると、


『ねぇ飛行艇に乗りたくない ??』


 なんてことを、言い出すレセア。


「ボクは別に興味ないかな」


 そんなの、勝手に乗って来てよ。


『ねぇ一緒に乗ってよ』


 めげずに、説得を続けるレセアの姉。


「はぁ」


 朝から、なんなんだよ。


『ね

一緒に乗ろうよ』


 子供のように、せがむ姿に、


「うーん

そこまで言うなら」


 仕方なく、同行することにする。


『やったー』


 レセアの姉の声に合わせて、両手を上に上げるレセア。


「あと ティファさんとエミリーさんも行くよね ??」


 もしもの時に、2人を頼る。


『ウッ

一緒に行きたいの ??』


 想定外の答えに、たじろぐレセア。


「イヤだったら別にボクも行かないけど」


 2人が、そんな話に乗るわけがないよ。


『あっ

聞いてみるからね

2人が行くなら絶対だよ ??』


 そう言って、部屋を出るレセア。


「まぁな」


 さてと、外を散歩でもするか。


『2人とも オッケーだって』


 すぐ、戻って来たレセア。


「はやっ !!」


 なんで、こんなに了解を取り付けるのが早いんだよ。


『それじゃあ支度してすぐ行きましょ』


 ニッコリと、笑うレセア。


「えっ今から ??」


 さすがに、早すぎでしょ。


『もちろんよ』


 サムアップするレセア。


「どこに あるの飛行艇 ??」


 サッと、行って戻りたいボク。


『バンコクに停めているみたい』


 苦笑いするレセア。


「えっバンコクまで行くのか ??」


 また、行く気のなくなるボク。


『そう みんなで列車に乗って行くのよ』


 楽しそうに、言うレセア。


「面倒だなぁ」


 思わず、頭を掻くボク。


『絶対行くって約束したでしょ ??』


 ニヤリと、笑うレセア。


「うっ………うん」

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