【R15】紗央莉と沙月〜魔性の姉妹〜【5万5千文字】
三日月未来(みかづきみらい)
第一話 霊夢の始まり
新年のある日の夜明け前。
俺は不思議な霊夢で目覚めた。
⬜︎⬜︎⬜︎
夢の中の俺は、盆踊りの先生から踊りを習っていた。
「織畑さん、かざしの手の位置が違うわよ」
「先生、こうですか?」
「もっと鼻の先・・・・・・もっと高く」
「じゃあ、こうですか」
「もっと腕を伸ばして・・・・・・ 」
お稽古をしていた時の懐かしい先生の声が夢の中で響く。
⬜︎⬜︎⬜︎
夢の中の俺は、
背丈は普通で見てくれも普通くらいのモブタイプと本人は過小評価している。
「織畑さん、ここで、ちょっと待っていてくれる」
白いコート姿の城山先生がホテルのロビーの柱の陰で誰かと立ち話をしている。
よく見ると相手は森川
ホテルロビーで先生を待つこと三十分くらい。
先生が戻らないので、俺はホテルの中をぐるぐると探した。
そのうち、待つことを諦めた俺は一人でホテルの周辺散策をする。
高台にあるホテルの正面玄関を出て前の道を歩き始めた。
ホテルの正面へ通じる道は、歩道と道路に分かれ左手にカーブする道と直進する道に分かれて下へと延びている。
左手側の赤レンガの歩道横のアスファルトの坂を下り、石段を下り先へ進む。
突然、道が途絶えて慌てて来た道を引き返す。
安全な位置で立ち止まり振り返ってみた。
眼下には街並みが広がり遠くに海も見えている。
坂を下っている時には気付いていなかったが急坂と分かった。
道を間違えたのかホテルのスタッフ専用入口前に出た。
面倒なので素知らぬ顔をして入る。
知らない背の高い警備員が立っていた。
ドキドキしながら前を素通りした。
「こんにちは」
「あっーー こんにちは」
警備が挨拶したので挨拶を返したが内心はドッキとした。
何故か顔パスで専用通路を無事通過したようだ。
他人の空似かもと思いながらホッとする。
ホテル内をうろつくが先生は見当たらない。
⬜︎⬜︎⬜︎
黒漆に輝く長い髪の女性が廊下の柱近くに立っていたのが視界に入った。
その刹那、女性が俺に尋ねて来た。
突然の驚き言葉を失う。
「・・・・・・ 」
女性は白いスカートスーツに淡い水色の襟の大きなシャツを着ている。
赤いハイヒールが印象的な美人に見えた。
「今、何時ですか? 」
「ーー ええと、十七時ですが」
「ありがとうございます」
女性は、その場を立ち去り俺に手を振っていた。
「誰だろうーー まあ、いいか」
しばらくして再び、さっきの美しい女性が戻って来た。
「織畑さんですよね」
「会社の総務の早乙女沙月です」
俺は咄嗟の出来ごとに社交辞令を返す。
「ーー ああ、早乙女さん、お久しぶりです」
「織畑さんは、なんで、ここにいるの」
「先生を待っていたんですが、はぐれたらしく・・・・・・ 」
「良かったら、お茶しませんか」
「俺でいいんですかーー 」
「ええ」
織畑と早乙女さんはホテルのロビーを進み奥のカフェに入った。
「何名さまですか? 」
「二名です」
早乙女沙月が織畑をリードしていた。
ホテルのカフェの席に案内された二人は、コーヒーをオーダーした。
「早乙女さんは、ここに良く来るのですか? 」
「いいえ、人を待っていたのですがはぐれて」
「早乙女さんも俺と同じですね」
「偶然ですね」
「ところで、早乙女さんは、このあとどうしますか? 」
「織畑さん、早乙女じゃなく沙月と呼んでもらえますか」
「じゃ、俺も織畑じゃなく、
会社の無駄話をしているうちに話題も尽き連絡先を交換した。
その時、沙月が手を振る。
俺は振り向いてその手の先を見た。
城山先生と森川先生が沙月に手を振っていた。
「あなたたち、知り合いなの? 」
「先生、織畑さんは同じ会社の同僚です」
「織畑さんと早乙女さんは曜日と教室が別だったわね」
「なるほど、そういうことか」
運命の偶然に引き寄せられてた気がした。
腕時計の針は十九時を指している。
「先生、これからどうしますか?」
「あなた、何、寝ぼけているのよーー 長崎にみんなで旅行に来たじゃない」
「今夜は、ホテルで夜通し盆踊りするのよ」
「まさか、徹夜踊りですか」
「早乙女さんも徹夜踊りですか」
「私は郡上でよく徹夜踊りに参加したことあるから問題ありませんわ」
「先生、何時から始めますか」
「午前零時からよ」
「じゃあ、先生、それまで周辺を散歩してますね」
沙月も正義の提案に賛成してホテルをあとにした。
⬜︎⬜︎⬜︎
ホテルの裏口を出ると右手には石段が、左手には砂利の急坂があり下に伸びていた。
俺は連れの沙月と急坂をズルズルと滑べるように夢中で降りた。
「ホテルの裏側の下の通りに出たようね」
沙月が言った。
通りの反対側に
「アニメにで見たような楼閣ね」
沙月から目を逸らしていたら、沙月が楼閣に入って行こうとしている。
「沙月さん、マズイですよ」
「構わないわよ」
「そんなこと言っても・・・・・・ 」
俺は外から楼閣の三階に通じる急な外階段を上がって、沙月を追いかけていた。
沙月は俺を無視するように、更に内階段を上がって行く。
楼閣の四階付近に辿り着いた時だった。
室内に老女がいることに気付き正義は嫌な予感がした。
中にある小部屋から事務員らしき女性の会話が聞こえる。
老女の話をしている。
「あの人は残念でした」
老女が他界したことを話している。
しかしその老女は私の目の前で俺を見て笑っていた。
楼閣に入った沙月は何処かに消えてしまった。
他界したはずの老女が目の前にいる・・・・・・。
狐につままれた気分の正義の背筋が凍り付いた。
目覚まし時計が突然けたたましく鳴った。
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