万福寺の化け猫ミケの備忘録

もちづききなこもち

第1話 今宵は満月

ここは都心から少し離れた町の古い寺。万福寺。


今日は満月。寺の境内で、寺の主のような実は化け猫のミケとその孫ネコのトラとハナが満月を見上げていた。



ミケ「今夜はいい月だねえ。満月だ。お月さんが笑っているよ。」


トラ「本当だね!おばあちゃん、お月さんが笑っているね。」


ミケ「ああそうだね。お月さんは何でもお見通しなんだよ。良いことも悪いことも・・・ね。だから、あんたたちもお月さんに顔向けできないようなことはするんじゃないよ。いいね?わかったかい?」


ハナ「うん!わかったわ。おばあちゃん」


ミケ「お前たちはいいこたちだね。」


トラ「ねえ、おばあちゃん。そういえば昼間、住職のおじいちゃんが倒れて救急車?っていうの?あの大きな音を鳴らした車が来て運ばれていくのを見たよ。おじいちゃん大丈夫かな?」


ミケ「ああ。そうだね。ご住職はもともと持病があって倒れてしまったのさ。本当に心配だねえ。あんなに良い心の人間はなかなかいないもんだよ。きっと神様仏様も見ていなさる。もちろんお月さんも。きっと大丈夫さ。」


ハナ「おばあちゃんがそう言うんなら、うん、きっと大丈夫だね!」


トラ「うん。大丈夫だね。」



ミケは、孫たちを見てうなづくとお月さんを見上げた。

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