宇宙の就活生 ~地球消滅から始まるハローワーク~

うさみかずと

全ての始まり

宇宙会社四季報 第32033672頁 地球 出典

 星間ナビにも載っていないだたっぴろい宇宙の東に位置する東銀河のそのまた極東のはるか奥、小さな黄色い恒星がある。この恒星のまわりを、いくつもの星々がぐるぐると回っているが、その中でも一億五十万キロ離れた青緑色の惑星は、かなり文明が遅れていた。どれくらい遅れていたかというと、未だに体内に機械を入れるのかいなかで、議論が白熱するほどである。


 またこの惑星に住む人間という知的生命体※(人間)は、いつだって幸せになれないのだ。原因を事細かに紐解いてみれば、だいたいが小さな紙きれの移動が根本にあるのだが、例えどんなに多くの小さな紙きれを持っていたとしても、人間はちっとも幸せではなく、みんなが惨めな思いをしていたのだ。


 妬み嫉みを繰り返し、戦争で多くの人が死んだ。科学の進歩は環境破壊を招いて、多くの生命体が絶滅していった。


 それだけ多くの命を犠牲にしても運やら縁やら才能やらと言ったふわふわしたものに惑わされて誰一人幸せになれない。


 こんなことになるくらいならどうして陸に上がり、木の上の生活を捨て無用な進化をしたのかと口を揃えて言うものがいるが、そもそも進化とは不幸の始まりなのかもしれない。


 わざわざこんな星に働きに来る者はよほどのバカか狂人くらいなものだろう。


 まぁ銀河をまたにかける惑星配信者の諸君には、最高の視聴数稼ぎのネタくらいにはなるかも。


 著者 就活エージェント アクタガワ・ナオキ

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