敵があらわれた!


 ゾーラ街に着いた。

 早速依頼の品を渡し、報酬を受け取る。

 銀貨六枚も貰えた。翼と牙はその場で引き取ってもらい、合計銀貨三枚も貰えた。

 報酬を師匠に半分渡して次が本番だ。


 「良かったな結構な金になったじゃんかよ」

 「そうですね…さっき言ってた場所教えて下さい」

 「おういいぜ!着いてこい」


 バザー見たいな所があるらしいのでそこで竜のコアを売りに行こう。

 案内してもらって、どっしり構えて買い手を待つ事数分三人組がこちらを見ている。


 (兄貴見たことない顔ですね)

 (しかもコアじゃないっすかラッキーすね)

 何かコソコソと喋ってすぐこちらに来た


 「なあそこの兄ちゃんよこれ危ない者だ、俺が預かってやろうか」

 「どのくらい出せるでしょうか」

 「いやいやくれって言ってるんだけど分かる?」

 「すいませんがこれを無償でお渡しは出来ません」


 俺が至極当然のことを言うと、大柄な男が胸ぐらを掴んで「よこせ!」と怒鳴り上げる。

 誰も止めようとなんてしてくれない、横で寝ている師匠が起きて止めにかかる。


 「お前何者だ?」

 「うるせーこれの価値の分からん奴が持っておくと危険なもんだから預かってやろうかって言ってんだよ!」

 「あん?お前あれだな?売り場で脅し回って商品奪いまくってる奴だな?

  お前らみたいな働きもしないで人のもん奪うカスにこんなもん渡して何になるんだよ」


 師匠が煽ると男の怒りが最高点に達して今にも殴りかかりそうな勢いだ。


 「大人しく渡せ!そしたら今の発言も許してやる

  渡さないなら俺達が力ずくで奪う」

 「はっ!やって見ろよ腰抜けお前みたいな奴に俺らが負けるわけないんだよ」


 師匠はこう言うが正直な所、面倒ごとは嫌だ目立ちたくはないし周りに迷惑がかかりそうなんだよな…

 

 


 予想通り、やるなら師匠は人のいないとこでやるぞと言ったが男は全く気にせず右手で殴る。

 俺は師匠を庇い殴られる。


 「お、おい大丈夫か」

 「…全然…です」


 「これだから身の程知らずが分かるまで殴り続けてやるよ!!!」


 殴りは結構な強さだったけど、この感じ剣も魔法も使えないザコっぽいぞ?

 なら周りに迷惑もかけずに何とかなりそうだ。

 ここで売ってる商人は大半が冒険者が取ってきたものを売るだけの人で武力を持たない人が多い、そんな人をわざわざ狙ってやっていると言うのが本当気持ち悪い。


 「くたばりやがれ」


 助走をつけて殴りに来る、流石に無防備な突進は隙だらけだ。


 「ウォーターボール」


 俺は男の顔面めがけて水をかける、お手本の様な反応で目に水が入ってしまった男は情け無い声を出して隙を晒しているうちに師匠が気絶させた。


 「二人はどうする?」

 「「すいませんでしたー!!!」」


 ちょいと脅されただけであっさり逃げてしまった。所詮三人の絆はその程度だったってわけだ。


 「すいません警備の方ですか

  こいつ盗みです入れといてください」


 この世界では犯罪は捕まえられないことが多いらしい、だが逆に軽犯罪でも犯罪は犯罪と言うことで、しっかり収容所に入れられるそう。


 「邪魔も消えたし、再開だ」

 とはいかなかった。

 若干救った事もあって周りに囲まれて商品が見えなくなって人が来なくなってしまったが、一時間くらい待ったところで、すごく金を持ってそうな身なりの女性が金貨一枚でご購入してくれた。


 


 「良かったな凄そうな人が出してくれて」

 「有難いです、本当に価値のある物なのでしょうか

  実際に俺は分からない物なので」

 「気にしてんのか?」


 はい、気にしてます。


 「…」

 「大丈夫だシュナが効果を保証してる」


 師匠は今回で疲れ切ったのと仲間を失って次のやる気がどうも出ないと言う事で村に帰ってしまうとの事。

 

 「それなら俺とチームを組みませんか?」

 「言う様になったじゃんか

  でも悪いな、今はあいつら以外とちゃんとチームを組む気にはなれないわ

  お前がトコナ村に戻った時また誘ってくれよ」

 「分かりました、今回はありがとうございました!」


 別れは悲しいもんだ。







 「ところでその金はどうするんだい」

 「ま、貯金だな」

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