楽しい一日
夜が明けて、朝が来た。
いい思い出の一つもないゾーラ街に戻ってきた。
でも恐れる事は何も無い。俺は二年程前の大口だけ叩いて実力が伴ってなかった時の俺とは違う。
今の俺は二年の間で実力もつけ、剣術を師匠から習ったしもう最強だろ!
まあそんな訳はないんですが、最弱と言われた俺は依頼で見返せばいい。それが実力ってやつだな。
「硬貨持ってないんだよね」
「そうだ!無一文だ!」
「うん 頑張ろう」
「お前大変じゃないのか?」
「勿論 お腹もすかないし、レイが攻撃をくらっても僕には痛みもないからね」
「まじかよ、、羨ましい。」
「そんな、楽な事じゃないよ」
「けどそうだよな、何もする事がないのに、ここに居続けると言うのは大変だよな。
何も気持ちを理解できていなかった。」
これは申し訳ない。
楽である事が羨ましいと思っている、まだ。
心がまだ変われていない。
今日から依頼は初めて行かないといけない。
取り敢えず少しは金を貯めないと、金は生きる為には必ず必要になってくる。自分の成長の為にも金は必要になる。
何かを得るためには全て金が必要、これは前の世界から変わっていない。
取り敢えず依頼を受けるギルドに行ってみる。
ギルドに着いた。
中にはくつろいでる冒険者、依頼を受けようとしている冒険者、ギルド、チーム、団体を作る為に話しかけている冒険者達、様々な冒険者がここに集っている。
比較的この街の中では、小さい建物なのに、相当な人数がいる。
しかも見た目からするに結構強そうな人ばかりだ。
良い服に良い剣を身につけている人が多い。
俺も剣は師匠から貰った物だから劣らない程良い剣だけど、服はボロボロの配布品だ。
ちょっと怯えてしまった。
直ぐにこのギルドから出る。
「マジかよ、ここのギルド、前みたいな奴が1人もいないぞ」
「ああ ここはね言うの忘れてたけど有名なギルドだよ小規模だけど珍しい依頼が多くて高ランクの冒険者がよく来る有名な場所なんだ」
「じゃあなんで俺、どうして何も言われなかったんだ?」
「あれだよ 初級冒険者が、高ランクの冒険者を一目見ようと思い出を作る為に来たって思われたんだよ多分。」
「舐められてたって事か、ムカつくぜ」
「絶対に行っちゃ駄目だからね」
「分かってるわ」
ここで中に入って喧嘩売るのは駄目だ。 明らかにレベルが違いすぎる。さらには、今回に関して言うなら相手に非は全くない。
移動しようここは難易度が高めの依頼が多いから俺が受ける依頼はない。
「近くにギルドはあんのか?」
「ま、まあ、あるにはあるけど…
最初にいたところに近づいちゃうけどね」
「問題ねえ 俺はソロで大人しくやる予定だから」
俺の都合に合うギルドが見つからないからここは大人しくしっかりとしたゾーラの中央地区の大きなギルドに向かうことに決めた。
そこなら初心者から中、上級者まで全ての冒険者が利用できるギルドらしい。
まあ、初めはこう言う場所から始めるのも悪くはないな。
着いた。
やはりデカい、さっきのギルドに比べりゃ二倍以上のサイズだ。人数に関しては百人位は普通にいるんじゃないか?
俺みたいな配布のボロボロ装備のしょぼ剣またはしょぼ弓を持っている人、チームが結構いる。
しかし、そこそこな人数は良い装備に良い武器を持ってる人もいた。
「どれにしようか」
ちょっとルドと話すのは恥ずかしい所があるので小さな声で話しかける。
「最初はやっぱ簡単なEランクの依頼から受けた方がいいね」
「Eランク?これか?
「周辺の魔物の防衛監査」ってこれ昨日見たやつか」
「そうだね」
「これは嫌だな他にはあんのか?」
「Eはこんなのが多いねDランクにすればある程度選べると思うよ」
「じゃあDにするか」
難易度は全てで八段階あるらしい。
S〜Eがあって、高ければ高いほど依頼数も減ってくる。
難易度は魔物の多さと危険度によって運営が査定するらしい。依頼には保護活動や移動したい人の護衛などの魔物と闘うだけではない、いろんな種類のものがあるらしい。
移動の護衛で、目的地に行けるのかと思ったが、報酬を受け取るのには戻らないといけないらしい。
まあ、報酬を受け取らなければ何ともないが、
「これにしよう」
「討伐依頼 ファイアリザード 成功報酬」
「うん場所もここから少し離れた街じゃない所だから急募って訳じゃ無さそうだけど、これなら危険度も低いし初めての依頼には最適だと思う」
「これお願いします」
「ファイアリザード討伐ですね。
討伐した証拠としてどこでも良いので同じ部位だけを持って来て下さい。」
「よっし!いっちょやってやりますか」
離れとは言ってもそこまで遠くの場所では無かった。
街の食べ物の匂いに反応して近づいてくるらしい。
このリザードは隠密行動が得意とされているのでほっといておくと少し危ないとの事。
「いたいた」
「ギャャッ!!」
唐突に火を噴き出した。
少しの驚きがあったが、流石に距離がありすぎて届いていない。
「こんなレベルなら簡単に稼がせて貰うぜ」
「気をつけて足元掬われる!」
俺は直ぐにリザードに向かって走るがルドの声が聞こえて、足を止めた。
「ちゃんと敵を見て攻撃が来るよ」
「うおっ」
火を吹く以外にも攻撃があるんだな尻尾を振ってしなるように俺にとんでくる。
師匠も言った通り、実戦想定をした練習をしていても情報が無いと、相手が何するかは戦わないと分からない、、だから動きを自分の自信を持出る様な動きを一つ確実にどんな状況でも出来るようにする、それはやっぱり正しかった。
俺は尻尾を剣でしっかり対応して払ってリザードが少しよろけている隙にすかさず攻撃。
思いっきり斬る。
「うおおおおっ!」
俺の本気はファイアリザードを斬る事ができた。
倒れたリザードの舌を俺は切ってバックに仕舞う。
「よし このまま日が暮れるまで倒しまくるぞ!!」
「おー」
「あ、左に2匹いるよ」
「え?まじかラッキー行くぞおお!」
俺は一匹倒した事で自分はやれるぞって事が分かり嬉しくなってきて元気になった。
日が落ちるまでの二時間くらい依頼を受け、五匹を討伐が出来た。初めの三匹以降はあまり見つけられる事は出来なかったけど、初めてだから上出来だな。
怪我も無いし、刃こぼれもない。
ギルドに戻って証拠を見せて、硬貨を受け取る。
十枚貰えた。
「稼いだもんで良いもんでも食うか?なあルド?」
「貯めるでしょ、大人しくそこの「冒険飯」ってとこに入ろう。」
「そ、そうだなこんなとこで金使うの勿体無いしな…」
正直、この世界で初めて、自分の力で手に入れた金だ。
ちっとは自分の事に使わせてもらいたいところだ、けどこれもしょうがないな。
「失礼します」
「冒険者かい?座りな!カウンター席一人入りまーす!」
明るい店だった。
ギルドから近いこともあってか、かなりの賑わいだ。疲れ切って食べ物に手を付けられないくらいの人もいれば、硬貨を払って酒をたらふく飲んでる人もいる。
この店はギルドから近いからテーブル席が、多い打ち上げに使うチームがあるんだろう。
その人達は今日手に入れた硬貨を惜しみなく飯や酒に注ぎ込んでいる。
正直羨ましい。俺も飲みたいし、いろんなの食いたい。
「ここの飯、肉ばっかだな」
そうこの店は無料で貰えるのが水と肉しか無い。
野菜とかパンなどは有料になってしまっている。勿論酒も有料。肉の種類はそこそこあるが、肉だからそんなには食べれないし、体にも悪い。
「沢山食べておいた方がいいよ」
「なんで?」
「いつ食べれなくなるか分からないからね」
「どうした急に」
「いつ……分か………から」
「何言ってるかよく分かんないけど、もう俺は食えねー
ご馳走様でした!!」
「またいらっしゃい」
今日はいい一日だ。
俺が何かするから良くない事が起きるだけで、大人しくしておけばトラブルに巻き込まれることなんて無いんだ。
そう俺は思った。
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