第4話 これから
「私は葉月。」
気に入ってくれたようで良かった・・・・
「で、葉月はこれからどうするんだ?」
「え?どうするも何も私は精霊みたいなものって言ったでしょ。」
「当然、今後は樹と一緒にいるけど?」
精霊を使役できる人はかなり少数で関りがあまり無かったから最低限の知識しかない。
普通の精霊は通常姿を現さずに、必要な時に術者がマナを使って召喚する感じだった気がするが・・・
「一緒にいるって必要な時に呼ぶ?召喚すればいいのか?」
「え、私を召喚できるマナなんて無いでしょ?」
「ああ、今はDランクだからたしかに足りないだろうな・・・」
「まぁこれからマナ容量も増やしてランクも上げていくとおもうからそれまでは呼べないか。」
「いや、私呼ぶのってダンジョンコアのマナ丸ごとくらい必要だけど?」
「は?いや、生まれた経緯を考えるとそうなるのか?」
「学校の寮には連れていけないだろ・・・」
「だったら寮出て部屋でも借りてよ。」
「いやいやいや、D級なり立ての収入じゃ無理だろ・・・」
「普通は無理でも、今の樹の力なら十分な収入稼げるんじゃない?」
「それに私も戦えるんだからCランクダンジョンでもいけるでしょ?」
マナの容量は16歳の時点まで減ってはいるが、Aランクまで上がった記憶がある。
最前線で戦い続けた戦闘経験や技術を用いれば今でも1ランク上のダンジョンでも問題無い気がする。
「・・・・膨大なデータがキャパ食ってるんだよな?」
「その部分を切り離したら召喚に必要なマナ大幅に減らないか?」
「それはできなくもないと思うけど、『私』の基にもなっているから『私』が保てなくなるかもしれないから嫌よ」
「アイデンティティを捨てろと言うようなもんか・・・それは無理だな。」
「だったら『姿』を変えることは?鳥とか猫とかだったらいけるんじゃないか?」
「できるけど嫌。この姿だって私を私としているものだもの。」
「分かった。近いうちに部屋はなんとかするけどしばらくはホテル住まいで勘弁してくれ。」
「それは仕方ないわね。私も無理なことを言うつもりはないわよ。」
良かった・・・無理やり学校の寮まで付いてこられたらどうしようかと思った。
「で、私はいいんだけど樹はどうしたいの?」
「今はDランクの16歳だけど、記憶はAランクで40手前のおっさんなんでしょう?」
「おっさんて言うな。まぁその通りなんだが・・・」
「記憶を活かせばダンジョンに行かなくても大金持ちになれるんじゃない?」
「Aランクの俺って死ぬ直前までもっと強くなって昔の仲間に追いつこうとしていたんだよなぁ・・・」
「でもなんか最後は満足したんだよ。やれるだけはやったって。」
「16歳からやり直したらもっと強くなれると思うけど、なんか燃え尽きた感もあるんだよなぁ。」
「そもそももう一回やり直したとして本当にあいつらくらい強くなられるか?」
「俺の才能の限界まで使ってようやくAランクって感じだったからな。」
「樹は自分の事を凡人で仲間の事を天才って思ってるでしょ?」
「ん?ああ、まあそうだな。あいつらは全員AAAランクだしな。」
「そんなことだからそれ以上強くなれないのよ。」
「魔法だってイメージで習得速度や威力が変わるでしょ?」
「自分は弱いなんてイメージしたらそれ以上伸びないわよ。」
「だから妄想ですらAランク止まりで死んじゃうんでしょ。」
「自分の才能の限界を自分で決めてるから無限の可能性のある妄想でもそこそこ止まりで死ぬの。」
「それで満足?ふんっ!最強になってやるくらいの気概を持ちなさいよ!」
「・・・・耳が痛いな。」
「だがそうだな・・・俺の想像の世界とは言えあいつらには世話になってAランクになったんだ。」
「あいつらに借りは返さないとな。今だったらあいつらより俺の方が強いしな。」
「そうだな。最強面してる彩先輩とか猫かぶってる曲直瀬とかに勝ったらどんな顔するか楽しみだ。」
「よし!何にせよある程度強く無いと何もできないからな。今回は楽しみながら探索者生活がやれそうだ。」
「とりあえずまだ時間あるから今日はDランクを一気に攻略するぞ。」
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