バレエ用語集【か行】

【か】

〇海賊ジャンプ

ジャンプの一種。上前(客席から見て右前)から始める場合。まず、上前方向でアチチュードでバランス。

そこから体の向きを左手側から反転させ舞台の下奥(客席から見て左奥)に向かって助走。

右足を振り上げ左足で踏み切る。空中で両足のアンディオール(外に開き)を気を付けて膝を九十度に曲げる。両足でひし形を作るような形にする。

両腕はアンオー(両腕を上に上げ大きく円を作るような形)で一回転半。上前に向く体勢で着地する。

もう一度、上前方向でアチチュードでバランス……これを三回繰り返す。


〇カドリーユ

パリ・オペラ座バレエ団の階級。コール・ド・バレエ(群舞)のダンサー。


〇カトル

アントルシャ・カトル

五番ドゥミ・プリエからまっすぐ上に跳ぶ。右足前左足後ろの五番から跳ぶとき、空中で少し足を開いて左足前右足後ろにとじる、もう一度少し足を開いて右足前左足後ろの五番に下りる。跳んでいる間、膝、足首はまっすぐ伸ばす。


〇カブリオール

カブリオール前後左右ある。カブリオールは片足を膝を伸ばしたまま振り上げてジャンプし、もう一方の床を踏み切る足も膝を伸ばした状態にして、空中で先に振り上げた足に合わせるように打ちつける。先に上げた足は膝を伸ばしたままキープし、床を踏み切った方の足で着地する。

先に振り上げる足を前に上げるジャンプをカブリオール・ドゥバン。

先に振り上げる足を後ろに上げるジャンプをカブリオール・デリエール。

先に振り上げる足を横に上げるジャンプをカブリオール・ア・ラ・セゴンド。


〇ガラ公演

いろいろな作品の主役の踊り、有名な踊りを抜粋してコンサート形式で演じる公演、発表会など。

バレエ作品の中でグラン・パ・ド・ドゥと呼ばれる主役の女性と男性が二人で踊る踊りや、パ・ド・ドゥと呼ばれるソリストの女性と男性が踊るもの。あるいはパ・ド・トロワと呼ばれる三人で踊るものや『白鳥の湖』の『四羽の白鳥』『くるみ割り人形』の『トレパック』や『あし笛の踊り』他『バヤデルカ』の『影の場』など、踊る人数に関係なく、また全幕バレエのストーリーに関係なく、創作、コンテンポラリーなどが含まれる場合もある。

様々な踊りを抜粋で集めてバレエコンサート形式で上演されるもの。


【き】

〇キャラクター・ダンス

民族的な要素を含む踊りをキャラクター・ダンス(ダンス・キャラクテール)という。

⇔ダンスール・ノーブル:王女、王子など気品ある役柄の踊り。


【く】

〇クラシック・チュチュ

スカートが横に丸く広がったチュチュ。バレリーナの足を使ったテクニックを美しく見せるため、また踊りやすくすることを可能にした衣装。グラン・フェッテなど高度なテクニックを美しく見せることができる。

『くるみ割り人形』『白鳥の湖』や『眠らる森の美女』の主役の衣装はクラシック・チュチュである。なかでも『白鳥の湖』の白鳥は全員、白のクラシック・チュチュで踊る。


〇グラン・ジュテ

ジャンプの一種。右足前の場合。シャッセ、グリッサードなどで助走をつけ右足をジュテから振り上げ前九十度まで振り上げる(膝を曲げずに足を床からこすり上げるように振り上げる)。踏み切った左足は後ろに張り後ろ九十度でキープする、空中で両足を前後に百八十度開く姿勢が理想。


〇グランジュテ・アントゥールナン

ジャンプのテクニック。右足前の場合、グランジュテは右足は体の正面に足の床を擦り上げる様に膝を曲げずに振り上げる。

踏み切る足も膝を曲げず後ろに張る。

グランジュテ・アントゥールナンはこれに回転が加わる。右足前のジャンプに場合、通常ジャンプする前に一回転目が入る。右手が進行方向になる向き立ち、右手を体の正面から横に広げる方向に回転する。体が進行方向まで回転した時前の足を進行方向に振り上げジャンプする。着地と同時に一回転し、体が進行方向に向いたときジャンプする。これを繰り返す。

作品の最後に主役のプリンシパルダンサーが踊るグラン・パ・ド・ドゥで踊られることが多い。このときマネージュといって舞台で大きく円を描く様に回りながら、グランジュテ・アントゥールナンをする。

一回一回のグランジュテ・アントゥールナンが完全に回り切れてなかったり、体の向きが狂ってくるとマネージュ(舞台を大きく円で回る)がコントロールできなくなる。


〇グラン・パ・デ・シャ

ジャンプの一種、前に上げる足を膝を曲げた状態からまっすぐ伸ばすように振り上げる。後ろの踏み切る足は後ろにまっすぐ伸ばす。空中では両足が前後百八十度になるように開く。


〇グラン・パ・ド・ドゥ

主役の女性と男性が二人で踊る踊り。全幕バレエの最大の見せ場。

構成として次のような構成を取る。

◇アントレ

導入部分があり女性と男性が華やかな曲で一緒に登場する踊りが多い。

◇アダージオ

ゆっくりした曲で男性が女性のバランスやターンをサポートしたり、男性が女性をリフトする踊り。

◇男性ヴァリエーション

男性のソロの踊り。

◇女性ヴァリエーション

女性のソロの踊り。

◇コーダ

華やかな曲で女性と男性がそれぞれテクニックを披露する。最後は二人でポーズを取る踊りが多い。


〇グラン・バトマン

大きく足を振り上げる動き。タンデュ、ジュテの位置を通り、軸足を取られない一番高い位置まで振り上げる。

バーから離れてセンターで動けることが大切なので軸を取られないところで動かすのが大切。


〇グランフェッテ

女性がグラン・パ・ド・ドゥのコーダなど作品の中の最大の見せ場で見せる技術。

軸足をドゥミ・プリエ(踵が上がらない位置まで膝を曲げる)から一気にポワントでつま先まで立つ。この時もう片方の足を同時に体の正面から真横九十度の高さまで振り腕と振る足に軸を取られないよう一回転し、正面やや手前で軸足はドゥミ・プリエに下りる。振る足は回転しながら徐々に体の正面まで戻し、また同じように一気に軸足で立ちもう一方の足を振る。これを繰り返して十六回転、あるいは三十二回転回る技術。


〇グリッサード

足を踏み出すとき軽くジャンプするように移動する。踏み出す足は床を擦るように滑らせ膝を伸ばした状態で四十五度くらいの高さに上げ、上げた方の足に軽くジャンプするように移動する踏み切った足を移動した足に集める。

トンベ、パドブレ、グリッサードはジャンプの前などの助走として、この三つの動きを組み合わせることが多い。


〇クロワゼ

十字型、交差するを意味する。右斜め前を向いたとき左足を前に出す、あるいは右足を後ろに出す形。左斜め前を向いたとき右足を前に出す、あるいは左足を後ろに出す形を言う。

体の向きと足の関係で、踊り手が舞台から客席を向いたとき、正面御向く向きを体の向きの一番という。そこから時計回りに四十五度ずつ刻んで向きのポジションが決められる。

まず、正面が一番。右斜め前が二番。右(正面から九十度)が三番。右斜め後ろが四番。後ろが五番。左斜め後ろが六番。左(正面から九十度)が七番。左斜め前が八番。

これはワガノワ・メソッドのポジションです。

体の向きが右斜め前(二番の向き)のとき、右足を前(ドゥバン)に出すと客席から見てダンサーの体が開いた形になる。これがエファセ・ドゥバン。

体が同じ向きで左足を前に出すと客席から見て足を交差させた状態になる。これがクロワゼ・ドゥバン。

体が同じ向きで左足を後ろに出すと客席から見て体が開いた状態になる。これがエファセ・デリエール。

体が同じ向きで右足を後ろに出すと客席から見て足を交差させた状態になる。これがクロワゼ・デリエール。


【け】

〇ゲネプロ

本番前、本番前日、舞台で本番通りに行う最終リハーサル。


【こ】

〇コーダ

女性と男性が二人で踊るパ・ド・ドゥ、グラン・パ・ド・ドゥで最後に女性と男性がそれぞれテクニックを披露する踊り。ここで女性は三十二回転のグラン・フェッテなどを見せる。最後は二人でポーズを取って終わる踊りが多い。


〇コリフェ

パリ・オペラ座バレエ団の階級。コール・ド・バレエ(群舞)のリーダー。コール・ド・バレエ(群舞)のトップを務めるダンサー。

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