第55話クリスマスらしいよ。知らんけど

 時は刻々と過ぎ去る。

 三人との関係をなあなあにしつつ、遊びにとか行ったりしてたタケ。


 遊ぶ資金稼ぎにバイトとかにも勤しんで。


 …いや、遊ぶのはいいんだけど、いい加減にしないと……


 アタシは毎日のようにそう言い聞かせた。

 タケはわかってるの一点張り。


 考えてはいる。それはわかるんだ。

 でも時間制限あるんだよ?モタモタしてたら……



 ◇



 12月24日。


 ついに……来たよ。タイムリミットが!


 どうすんだよホント!


「おいタケ!」


 まだ寝てるタケに大声で叩き起こす。


「言いたい事くらいわかってるって」


 タケは寝起きのボサボサ頭をかいて起き上がる。そして洗面所に向かい、鏡の前に立ち、頬を軽く叩く。


 気合い入れたのか?…覚悟完了か?


「三浦百合子ちゃんとの出会いは、曲がり角での激突だったな」


 そういやそうだね。ありがちだ。


「おれなんかにも優しくしてくれて、互いに悪かったのに、ぶつかったお詫びに手作りお菓子をくれた」


 そうそう。義理堅いよね。


「遊園地にもダブルデートした。昼田に詰め寄られた時はかばってもくれた」


 最初は妹のついでだったけどね。


「そして体育祭ではおれのためにトレーニングにも付き合ってくれた……。ホントに優しい子だ」


 わかる。人が良すぎるもんね。男女問わず人気者なのもわかる。


「佐藤静流ちゃん。彼女は大人しくて本が好きな子。最初は少し怖がらせてしまった」


 大声だしたからね。


「最初からおれが少し気にしてたのは、自分と似たところがあったから。友達が少ない陰キャなとことか」


 だから気にしてたわけか。

 ていうか陰キャとか失礼だぞ。


「掃除の手伝いきっかけで仲良くなれたんだよな」


 選択肢も、佐藤が初めてだったよね。


「図書委員になって、さらに仲良くなれた。勉強も見てくれたし……思いやりのある良い子なんだ」


 うん。そうだね。


「晶子は、長いこと仲違いしてた」


 当時、幼なじみなのは知らなかったよ。


「ただの嫉妬からの喧嘩だった。我ながら情けねえ」


 同意。出来の良い弟くんになびくのはおかしな事じゃないしね。


「でも、遊園地で仲直りできた。なんだかんだホッとしたんだよな」


 偶然に近かった気もするね。弟くんがその場にいたのも大きかったかも。


「海では二人きりになって……楽しかったな」


 たまたま二人きりになったんだよね。ナンパされたり大変だったけど。


「三人とも、本当に良い子だ。その上かわいいし」


 うん。タケなんかにはもったいない子達だよ。


「ただ、三人は友達になった。親友みたいに仲良い」


 それもタケきっかけだけどね。

 わりと気が合ったんだろう。


 四人で遊ぶことも最近珍しくなくなったし。


「そこに亀裂をいれちまうかもしれねえ。そこが怖かった」


 だから最後の日まで粘ったと?

 告白が怖かっただけじゃ?


「まあ、それもあるっちゃあるけど」


 あるんかい!

 元々ヘタレだしねえ。


「そう、ヘタレなんだよおれ。なんだかんだ勇気ある行動をラズと会ってからは出来てたけど、それはギャルゲーアイのたまもの」


 へ?


「正解の選択肢があるってわかってるから、勇気をもてた。だって上手く行く保証があるんだから」


 外れとか、変化無しもあるけどね選択肢には。外れは多分引いたことないけど。

 運がいいからなのか、察する力なのかは知らんけど。


 でも、正解の確証あるなら背中を押されてるようなものだし、勇気もてるのは確かかも。


「外れ引いてないとか、関係なく、ギャルゲーアイのおかげなんだ……。ホント感謝してる」


 うんうん感謝しろ!


「でも、誰を選ぶか、告白成功とか、友達の亀裂とか……。もうギャルゲーアイに頼れない状況になって吐きそうなんだよ」


(…成功率や、亀裂防ぎとかは選択肢出れば回避可能ではあるかもしれない)


(でも、黙っとく。どちらにせよギャルゲーアイは今日限り。頼らず動く勇気が、タケには必要なんだ)


「おれは今日、けりつける。めっちゃ不安で吐きそうだけど」


 なんか泣きそうじゃんか。大丈夫?


 つづくらしいよ。


 次回……ついに誰を選ぶか決まる!?

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