第44話 海デート、佳境らしいよ知らんけど
このまま二人きりで過ごすのもアリだと、アタシは思ってた。
……けど、海の家でかき氷食べた後に、
「海、出てみるか?」
と、他の攻略候補の所に行こうと晶子を誘った。
「…あんた泳げないじゃんか」
「海の家でこれ買ったぜ」
浮き輪を見せつけドヤ顔。
いや、かっこよくないからな?なんでドヤ顔?
まあそれはさておき、他の二人が気になるのかもね。
昼夜コンビに落とされる危険性もあるし…
でも晶子一本に絞れば気にすることはないはず。
……いい加減はっきりさせればいいのに。誰を攻略するか。
浮き輪持って、さあ、行くぞと思ってたら……あれ?攻略候補二人は浜辺にあがってるよ。
昼夜コンビは……
「へ!今度はおれの勝ちだな!」
「ムカツクなお前!一回勝ったくらいで調子のんなよ!」
「じゃあ何連勝できるか挑戦するか」
「ほざけ!もう一度だ、位置につけよ」
なんか泳ぎの競争してるよ。二人の女子そっちのけで。
察するに、いいとこ見せようと競争してたら互いにムキになったと見えるね。
当初の目的を忘れてね。
で、二人の女子は呆れて離れたと。
タケは二人の元へ駆け寄る。
「ど、どう?あいつらほっといて違う所行くとかさ…」
お、積極的じゃんかいいよいいよ。
「あ!健人くん!そうだね!静流ちゃんも行こうよ」
「あ、は、はい……」
あっさりと了承する二人。昼夜コンビには悪いけどね~。
でもなんか晶子は不服そうだ。
ま、そりゃそうか。せっかくの二人きりだったのにね。
♢
まあ、それからは基本四人で遊んだらしいよ。
タケを砂で埋めたり、美波君の言ってたようにスイカ買ってきて、スイカ割りにいそしんだりね。
そして泳げないことバレたら、
「じゃあ教えてあげるって!」
と、案の定教わる流れになり、恥ずかしながら手をつかんでもらって、ばた足してたりしたらしいよ。
教えてくれた百合子はわりと楽しそうにしてたのが幸いかな?
タケは無下にもできずに、耳まで赤らめてたよ。
「そうそう!うまいうまい!」
…幼い子供に教えてるみたいに優しく褒める百合子にはさすがにまいるね。
泳ぎが終わると次に、運動音痴仲間の佐藤静流とレベル低いもの同士でビーチフラッグ対決したりもしてた。
さすがにタケが勝ったんだけど…
「す、すごいですね、朝馬くん。足速くてかっこよかったです」
と、まさかの絶賛攻撃を受けた。
一応言っとくと別に速くない。
佐藤が遅すぎるだけ。でも彼女から見れば嘘にはならない。
佐藤よりは速いから。
…そんなレベルなのに褒められて悪い気してないタケはニヤついてた。運動で褒められるなんて今まであまりなかったからだろうね。
最初こそ鍛えようかと思ってはいたけど、挫折した身だしね。
なんつーか、晶子と違ってこの二人はタケに甘いというか優しいから、居心地良さそうだね。
いや、晶子が優しくないとか言う気はないけどね。
ついこの前までもめてた相手だし、すぐに激甘になれって言う気ないし、そもそも甘すぎるのもタケにとっていいかはわからないからね。
でもまあ百合子のほうは思ったこと簡単に言えるタイプだから、間違ったときとかは正してくれそうではあるかな?
佐藤のほうはタケと喧嘩するビジョンが見えないよね。似てるところがあるのか、互いに気を使ってる気がするし。
でもそれも仲が深まれば変わってくるかもしれない。
そんな三人と過ごして、タケは誰といるのが一番好きか……それが選ぶ相手の答えになると、アタシは思うらしいよ。知らんけど。
つづくらしいよ。
次回は海デート終了。そしてタケの攻略も佳境…かな?
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