第32話 一緒に帰るらしいよ知らんけど

 複数攻略のデメリット。

 それは言わずもがな…仲良くなってくればくるほど、他の相手と仲良くしてるのを見られると面倒な事になりかねない。


 嫉妬されたりと色々ね。


 その危険性わかってんのかなコイツ…



 ♢



 とりあえず、タケと佐藤は一緒に帰宅。二人とも電車通学なため、駅まで一緒らしいよ。


 …だが、話題がない。


 二人は互いに黙ってる。


 すると、


 1 図書委員に入ったわけは?


 2 中学どこ?


 3 家では何してる?


 無難な選択肢来たな…

 不機嫌になりそうとしたらプライベートな3くらいか?


「でも…」

「ああ。勝負に出るぜ」


 と、タケは動く。


「佐藤さん、い、家ではなにしてる?」


 3を選んだね…吉と出るか凶とでるか。


「な、何とは?」

「いやその、趣味だとか勉強だとか…」

「あ、えっと、読書ですかねやっぱり」

「ホントに本好きなんだな。おれは読んでもラノベくらいだよ」

「ら、ラノベなら自分も読みますよ…」

「え?マジ?」


 おや?食いついた?

 タケと唯一、共通の趣味あった感じかな?


「おれアニメなるような有名なのしか読まんのだけど、なにかオススメとかある?」

「は、はい。自分が読んでるのは…」


 帰りの道中、二人は楽しくラノベの話題で盛り上がっていた。


 そのおかげか、初めて佐藤の笑顔が見れた。

 ちゃんと笑える子みたいだね。


「…こ、こうやって…友達と趣味の話しながら帰るの初めてです…」


 嬉しそうだね佐藤。友達いなかったんだね…ホロリ。


「あ!勝手に友達だなんて言ってすいません!」


 綺麗に頭を下げる佐藤。


「いやいや。謝ることないって。てか友達でしょ?おれたち」

「と、友達で…いいんですか?」

「もち」

「う、嬉しい…です」


 もじもじと照れる佐藤。

 …カワイイじゃんか。


 話題も続いたし選択肢は正解だったようだし。ていうかほとんど正解選んでるな。

 でもタケはそうでもしないと攻略なんてできやしないだろうしね。


 と、言ってる間に駅が見えてきたらしいよ。

 楽しい時間はあっという間だね。


 …ん?駅の前に同級生らしき生徒が見えるね。…あれ?一人は百合子じゃね?


 まずくないかこれ…

 ここはバレないようにタケだけでもUターン…


「あっれ〜!健人くんじゃんか!」


 速バレかい!

 百合子はスキップしながら寄ってくる。


「今帰り!?」

「え、あ、うん…ゆ、百合子ちゃんは?」

「陸上部の練習だよ!駅まで走って来たんだけどサボってジュース飲んでたんだ!」


 あいも変わらず元気いっぱいに喋る奴だな。

 ま、こういう元気なところが百合子のいいところかな?


 百合子の他にも誰かいるな。

 男だ。同じ陸上部かな?

 てか見覚えあるな…


「てめえは確か…」


 あ、こいつは昼田とかいう遊園地で見かけた奴か!百合子に惚れてそうな奴だ。


「ん?今度は違うやつとデートか?」


 あ!こいつ佐藤とタケがいるから茶化す気か!?


「デート?」


 百合子はタケの隣にいる佐藤に気づく…


 …しゅ、修羅場か…?



 つづくらしいよ。


 次回は…ふたりはどんな反応するかだね。

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