14話  二人の結果

「さあ何作ろうかな……」

「待ちたまえ」


 やる気満々のシズさんを抑え、田中のおじさんが前に出てくる。


「先にやらせてよ。ここいらでお遊びはいい加減にしろといげ……うん」


 うんじゃないですよ。なんかカッコつけたセリフ言おうとして噛んでるじゃないですか。とぼけられてないですよ。

 

「ふひゅ~」


 なんか口笛吹いてるけど、吹けてませんよ田中のおじさん。


「とにかく、先にやるよ。なんかさ、前の世界だと料理人だったような気がしないでもない!」


 どっちなんですか。気がするのかしないのか。記憶もないのによくもそんな自信出てくるものです。ある意味関心する。


 でも田中のおじさん、会社の名刺いっぱい持ってたらしいからサラリーマンかなにかだと思いますけどね。


「うおおおおおおおおおお! 行くぞおおおおおお!」


 なんか、フライパンにいろいろのせて焼き始めた。


「せいやっ!」


 あ、フライパンで具材放り投げた。ひっくり返してキャッチするのかな。フライ返しってやつか。


「ありゃ?」


 あ、とり損ねた。

 具材全部地面に落ちましたよ。


「……さてと」


 あ、具材全部拾って何事もなかったように、フライパンで焼く作業続けた。


「「おいおいおいおいおい!」」


 味見役の皆さんがお怒りですよ田中のおじさん。


「三分ルールのつもりかおい!」

「できもしねえ事すんな!」

「バカ!」


 ブーイングの嵐だ。して、田中のおじさんはガン無視だ。

 この人度胸あるな。いや、もう敵が縛られて反撃の心配ないからか?


「そして、味付けに置いてあったよくわからない液体をかける」


 フライパン内の具材になんか液体ぶちまけた。


「「おいおいおいおいおい!」」


 リプレイかな?


 ――省略。


 で、料理は完成したわけだけど……


「少し焦げちゃった! テヘッ」


 おっさんのテヘはその、何と言うか……キッツ……


『かわいいぞ~田中のおじさん~』


 え、と思い振り替えると、先ほどお嬢様が作ったテレビ電話みたいな魔法陣から、王様がこちらを拝見してた。

 つまり王様の発言だ。この二人仲良すぎだろ。


「王様のためにも! 料理対決! 勝たせてもらう!」

 

 黒こげのステーキらしきものを審査員に食べさせた。


「「うぼろろろろろろろろ!」」


 やっぱりな。

 

 田中のおじさん。0点。


 あの、みんな0点なんですけど、シズさん、大丈夫ですよね?


「まっかせなさーい! 料理なんてもんはね! 何でも適量入れりゃいいのよ!」

「「うぼろろろろろろろろ!」」


 ダメじゃねーか。

 まあ僕も人の事言えないんだけどね。


 シズさん。0点。


「ちょっと! 前回の引きからして、普通あたしメインでしょ! なんで全カットなの!」

「わたくしすらカットなのですから当然の処置ですわ」


 呆れた様子のお嬢様。だが、納得いってないシズさん。


「そもそも、田中のおじさんが尺とりすぎなのよお!!」

「でね、王様」

『うんうん』


 田中のおじさんは王様と世間話に忙しいようだ。

 まあ、とにかく全員敗退なわけだし……


「みんなで普通に攻めに行きましょうか」


 と、僕は提案。


「リブラ様がそうおっしゃるなら」

「さんせー」

「わかったよ……」


 最初からそうすればよかったんだ。あとピアスのやつ、途中で飽きて実況やめてたな……



 ♢



 ――はえ座地区のアジト前。

 なぜアジトにすぐ着けたか?

 だって料理人募集のチラシに書いてたからね。


 それと料理ならあげるよ。さっき作った有象無象をね。


 僕は城の前に料理を置いた。はえは臭いにつられてたかる。その性質を利用するんだ。

 だいぶ臭いからねこの料理。


「ぶーん。な、なんか凄まじい臭いだ……」

「ホントだぶーん。な、なぜか吸い寄せられる……」

「隊長のおれが、確認するぶーん」


 はえ人間みたいな奴らが城から出てきたと思ったら料理に食いついた。――え?


「ブブブ~ん……」


 バタバタ倒れていった……


「なにごとぶーん! こ、この臭いは!?」


 新たに出てきた兵も以下同文。


 全員まとめて食べて勝手に倒れた。



 ――はえ座地区壊滅。


「ええ!?」


 シズさんの驚きで締めました。



 ――つづく。



「料理、無駄にならなくてよかったよ。食材で遊んじゃダメだよ? 今回はみんな食べてくれたからよかったけど、よい子は真似しないように。以上、リブラでした」


「次回 仲間探そう。 戦力不足を痛感したのかな?」


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