勇者は聖女で聖女も勇者

@manabo-

第1話 勇者と聖女の子

 ―ある日の日中―


「まだまだ甘い!もっと踏み込んで来い!」


「はい! 断罪剣ジャッジメントスラッシュ!」


 12歳になったばかりの勇猛果敢な少年が実の父と熾烈な剣戟を見せていた。


 ―はたまたある日のこと―


聖域監獄ホーリープリズン!」


「んー発動できてはいるけどまだまだ制御が甘いわねぇ。これじゃあ侯爵級の悪魔だと逃げてしまうわね」


「わかりました母上もう一度やってみます」


 12歳になったばかりの儚げな少女が実の母と第15階梯魔法を発動していた。


 この二人いや、の子供がやっていることは周りの子と比べれば異常であった。断罪剣ジャッジメントスラッシュは過去に勇者しか発動したことがない神すら凌駕すると言われた剣類魔法である。かたや聖域監獄ホーリープリズンは聖女ほどの魔力と聖類魔法への適応がなければ発動できない。この魔法が完成したのならば最高位の侯爵級悪魔ですら滅ぶほどだ。

 この異常としか言えないほどに勇者と聖女の子を強くするのはなぜなのか。もう魔王はというのに。そしてその理由というのが…



「「お前(あなた)には普通に生きてほしい」」


 無理である。


 しかし、勇者と聖女自体も育った環境もまた少々特殊だった。

 勇者と聖女は小さいころから天賦の才を見せていた。その才能を見せてからは最高の環境で育ち周りは強者のみであった。その中ではやはり厳しい修行もあったためそこでわが子が苦労しないように頑張っていた。

 なぜわが子が苦労するのが分かっているのかというのもこの世界では14歳になれば学院に入ることが決められている。学院では魔法から剣術、マイナーな科目では暗器術などの様々な分野から自分の得意分野を学んでいく。

 その学院の名前というのが“対魔王中央学院”読んで字の如く魔王がいた時代には魔王に対抗するための人材育成と人材発掘を最前線にて行っていた教育機関である。魔王が討伐された今でも強力な魔物は生れてくるために現在も継続して人材育成を行っている。この魔王が討伐された今も魔物が生まれるのが世界に住む人々にとっての大きな謎なのだが…


とにもかくにも両親の願いが叶いこの勇者と聖女の子は順風満帆な学院生活を送りそして無事卒業することができるのか。



もう一度言おう。


無理である。






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