第11話 魔力を視る(1)
「今日はカフスボタンを作ってみようか?」
「はい!」
その日、ソラウ様がカフスボタンの台座を持ってきてくれた。
基本的な装飾品を一通り作れたので、新しい装飾品に挑戦だぁ!
「もうすぐ光の季節だろう? 初校会シーズン中の光の季節には守り効果の装飾品が王侯貴族から求められやすい。まあ、需要がとても高いんだ。男性貴族には女性ほど装飾品を身に着けられるわけではないから、カフスボタンを
「つまり、これからたくさん作らないといけないんですね」
「そうそう。だから今日からカフスボタン強化週間やるよ」
「わかりました。頑張ります」
しかしながら面倒くさそうに
ソラウ様は
でも、そうして
私はまだ、効果を高めきれていないみたいなので、試行錯誤を繰り返す日々だ。
対してソラウ様は台座に
本当に、なにをさせても天才なんだなあ、と感心する。
最近は嫌いな野菜も食べられるようになったし、寝坊も減ったし、手が離れてしまうのがちょっと寂しくもありの。
「あの、
「うん、そうね。なに? まだできないの?」
「ううう……。だって難しいですよ。あんまり込めすぎると変な熱を持つし……」
「石によって魔力の許容量があるからねぇ。込めすぎれば砕けちゃう」
聖魔力を込めながら、
けれど、そのための聖魔力を込めすぎたら壊れちゃうんだよね。
そもそも、
そのあと、もう一度[祝福]をして石を
装飾品にする時に聖魔力を使うのは、台座から金具部分などに
その接続の加工が難しいんだよね。
「初日にさー、リングの作り方とか教えたでしょ?」
「え? は、はい」
「
「え、あ、う、が、頑張ります」
結構な無茶ぶりをなさっていませんか。
いや、でも、ソラウ様の作った装飾品は私と同じ既製品の台座やリングを使っても高品質になる。
これはもう経験とか才能なんだろうな。
けれど、土台も自分で作れれば高品質になるのかな?
とはいえ、まだそこまでの経験はないしな。
ううん、ということは、私もっと色々成長できるっていうことだよね?
使用人として働いていた頃よりも毎日楽しい。
できることが増えて言って、これからもできることが増えていくってわかる。
「じゃあ、こっちの
「オニキスですね。高めるのはトラブル防止の効果で大丈夫ですか?」
「そー。あーあ、もうそろそろ細工師仕事飽きてきたなー。早く光の季節になって強い魔物を狩りに行きたーい。でっかい魔石を
「わ、わあ……」
言ってることがむちゃくちゃだなぁ!
ま、まあ、ソラウ様は実績もあるから本当に光の季節になったら討伐のお仕事に行くんだろう。
この作業場にある宝石や魔石はそうして集められたらしいので。
魔石の
他にも聖魔力を使える細工師がいないわけではないらしいけれど、国に片手の数しかいないらしいから、貴重な魔石の
でももうその作業に、ソラウ様は飽きている。
私に対して「早く魔石の
はい、頑張ります。
とはいえ、カフスボタンへの細工加工もあんまり難しくはない。
難しいのはやっぱり聖魔力のを注ぐ量。
今のところ破壊にまで至ったことはないのだけれど、金具の方に時々「ピシッ」という変な音を聞いたことがある。
もうその音が怖くてそれ以上魔力を流せなくなるのは仕方ない。
でも、今日はもう少し流す聖魔力の量を意識してみようかな?
「あ、そうだ」
「はい?」
「俺は普通にできるから考えたことなかったけれど、自分の魔力を”視る”ようにすればいいんじゃない? なんかオラヴィがそう言えって言ってたんだけど」
「え? み、視る? 自分の魔力が視えるんですか?」
「そう」
なんでそんな大事なことを今まで教えてくれなかったんですか、この人。
入り口に立って待機しているオラヴィさんの方を見てしまう。
わかる、わかるわ。
オラヴィさんが「ソラウ様は自分が当然のようにできるので他人もできる、やってると思っているんです!」と目で言っているのが。
なるほどな~~~?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます