第18話:悠人の思惑と凛のトラウマ。

凛のスマホに連絡してきた男からはその後、音沙汰はなかった。

たぶん大丈夫かなって僕は思った。

しばらく様子を見て凛に危害が及ぶようなら本気で叔父さん「警察官」に頼もうと

思った。


でも凛の友達の吉良って子のことも気になった。

吉良のダチの中に凛に暴行を働いたやつがいたんだろう?

いくら吉良は凛を助けてくれたとはいえ・・・問題ありなやつらと連んでるって

いうのは、どんなもんだろう?


「凛・・・凛の友達の吉良って子・・・大丈夫なの?」


「ん〜まあ素行はよくないけど、それで学校退学になったんだけどね、

でもあの子母子家庭で苦労してるの・・・だからね、放っていけなくて・・・」

「大丈夫だから、私が気をつけるからね・・・心配しないで」


「そうか?・・・凛がいいって言うなら・・・」

「なにかあったらすぐ僕に言うように」


「了解っ!!」


その件は僕の中で保留ってことにした。


さて凛に電話をかけてきたヤツの件から少し、ほとぼりが冷めた頃、僕は

ついに凛に、今の自分の気持ちを打ち明けた。


「凛が欲しい」って


とうぜん行く先はホテルってことになる。

少し前まではラブホって呼ばれていたが・・・今はハピホ、ハッピーホテル

なんて言う。

風俗運営法でラブホも営業が厳しくなって形を変えつつ営業している。


僕は凛とエッチがしたいってことを車の中ではっきり彼女に言った。


「エッチ・・・したい」


「え〜、今から?」


「違う違う、これからとか、今すぐって訳じゃないよ」

「僕たちさ、付き合ってもう3ヶ月だよ、愛し合ってるのに、何もないなんて

不自然だよ」

「こんなに想ってるのに・・・」


「分かってる・・・悠人のことは大好きだよ・・・愛してる・・・でも」

「怖い・・・私まだあのことが少しトラウマになってるの」

「・・・・このままじゃだめ?」


あのこととは男に暴力を受けたあの時のこと。


僕はちょっとガッカリした。

でも無理もなかった。


(そうか・・・あのことがまだ心に引っかかてるんだ)


でも、だからこそ自分が凛のそのトラウマを払拭してやらなきゃ・・・って

僕は思った。


「いいよ、無理強いはしないから」


僕が少し不機嫌そうになったのを見て凛は言った。


「一週間考えさせて」


「分かった」


「ごめんね、怒った?」


「怒ったりしないよ、僕が一度でも起こったことある?」


「ない」


「だろ?・・・大丈夫だよ」


僕は笑って見せた。

凛はいつものようにおやすみのキスをして 「じゃ、またね」そう言って

手をパタパタさせながら帰って行った。


彼女に余計な負担を強いたかもしれなかった。


(僕ももう一度考える時間が必要かもしれないかな)


いくら恋人同士でも、いきなりのセックスは女子高生にはハードルが高すぎた

かもしれなかった。


それにしても凛が僕といない時・・・学校にいる時の凛を僕は知らない。

学生でいる時は、僕のことを忘れてるんだろうか?

僕はそんなことすら知らない・・・いろんな話をするのに・・・。


だけど、そんなことを言ってたらきりがない、四六時中彼女といられる訳じゃ

ないんだから・・・・疑いや猜疑心をもったりすると、もうそれは絶対つまらない

ものになる。


今は、考えても答えの出ないことはやめよう。


それよりエッチのことだけど凛からイエスの応えがもらえた時のために、

どこのホテルになだれ込むか物色しとかないとって僕は思った。


つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る