第2話 先は運命?

 カランカランッ!


喫茶店の扉を開けると、お客さんは誰もいなかった。


そしてその奥で、バイトの女の子二人がこちらに背を向け、ヒソヒソと何かを話している。


 俺に気づく様子もなく何かの事で必死に話している二人。


''大学生くらいかな?''


髪色は一人は茶髪で、もう一人は金髪の子。


本当、髪色が違うだけで、後ろ姿から見ても二人はよく似ていた。



''......って!おいっ!

一応カランカランッと喫茶店だし、静かに扉を開けたけど、さすがにもうそろそろ気づいてくれないかな。

不意に来たけど、これでも一応お客さんだぞ。''


必死に奥で何かをヒソヒソと話している二人に対し、俺は少し大きめの咳払いをした。



すると....

何も言わずにこちらを振り返る二人。



その振り返った彼女の顔を見た瞬間...


俺の身体の中にあった、何かが動き出し、殻を割ろうとしている事が分かった。


茶髪の女の子。


そして...


金髪の女の子...。


どちらも言葉に表せれないほど、美しく可憐だった。



すると、金髪の女の子がゆっくりと、こっちに近づいてくる。


 金髪の子「.......」


”ん?どおした?そして...なんだ?この上目遣い...?”


近づいてくるや否や、俺の顔をじーっと見つめてくる金髪の子。

すると彼女が、今までの俺の事を知っているかのようにこの言葉を発した。



 「ん?あなたも何かあったのかな?」

と。


高めの声で、若々しく、そして美しく、彼女の声を聞いただけで今まであった嫌な事を全て吹き飛ばしてくれる、そんな声だった。

恐らくそこら辺の男性は彼女の声を聞いただけでやられてしまうであろう。

現に俺も今、この瞬間からその一人に入ってしまったのだから。



 その言葉を突如言われ、そして彼女の声を聞き、しばらくどうする事もできずに固まってしまっていた俺。

すると、奥から、もう一人の茶髪の女の子が駆け寄ってきた。


 茶髪の子「もぉ~!美華っ!お客さんだよ!ちゃんと”いらっしゃいませ”って言わないと~!」


”あ...この金髪の子...美華って言うんだ...この茶髪の子も可愛いな...ってかどっちも可愛すぎるだろっ!”


36歳男。結婚を前提して付き合っていた彼女に突如電話で別れを告げられ、その直後に高校の頃の友達が不倫をして別れてしまい、その事に衝撃を受け、何が何だか分からなくなり、途方に暮れてやろうと思いかけていた俺には、とても刺激が強すぎる二人だった。


 美華「あっ!すみません!お客様!お一人様ですか?」


 亮「はい。一人です」


 美華「唯愛!私が席案内するから、奥の片づけお願いしてもいいかな?さっきの話は後でねっ!」


 唯愛「ありがとう!美華」


お客さんがいないからなのか、お客さんに対しての接客と、二人の会話が混ざりすぎてて、喫茶店にきたというより、なぜか彼女の家に遊びに来たような感覚になってしまった俺。


そんな自分の住んでいる家から遥か遠くにあるこの喫茶店に、ある事がキッカケで今後も行くことになる。

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