夜明けの陰陽師〜安倍晴明の子孫と伝説の妖怪がタッグを組んだら〜
太星TAISEI
第一章〜非日常の始まり〜
第一話 〜太陽との出会い〜
ー『
平安の時代、無数の妖怪、
奴らは悪行の限りを尽くし、夜明けの太陽が昇ると同時に帰っていった。
時は現代2023年。
たった一つの出会いが、私の人生を大きく変えた……。
出会った者は、夜中にも関わらず、煌々と赤い髪をたなびかせ、まるで朝焼けのように煌めいていた……。
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なにかが破壊されるような、大きな音と共に目の前を大きなものが通り過ぎた。
私は呆然とその光景を眺めていた。
目の前を通り過ぎたものは2メートル以上の大きな白い肉の塊であった。不気味にうごめきながら壁にのめり込んでいる。一方には太陽のように煌めく光を発した拳を突き出した少年がいた。
その少年と目が合った気がした、その瞬間、
「女!!伏せろ!」
「え!?」
私は何が起こったのかもわからず、言われるがまま伏せた。
さっきまで自分の頭があったあたりに白い影が通り過ぎた。
さっきまでうごめいていた白い肉の塊の手の様なものが自分を捕まえようとしたようだった。
その通り過ぎた手のようなものを少年が掴み、一本背負のように反対側に放り投げた。
少年を見るとその付近の空間がユラッと揺らぎ、この世のものではないのだと確信した。。。
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私は
町のパン屋で働いています。
特に変わったこともなく、この25年を生きてきて、今の生活に落ち着いた感じだ。
毎日朝4時に起きて準備して、5時に出勤。パン屋の朝は早くてこれが日常。社長とかは2時とかから作業してる。まじかーと思う。
けど、この生活も3年目になるとずいぶん慣れてきた。
おそらく、普通の人とさほど変わりない人生を謳歌していると自負している。ある一点を除いたら……。
今日は天気もよくお客の入りも良かった。
あとは後片付けをして締め作業をしたら今日の業務は終わり。そんな時にお客さんが来店した。
普通のサラリーマンの様なスーツ姿の男性だった。
「いらっしゃいませー、もうほとんどパン売り切れちゃってて、申し訳ないですけど、今あるので最後になります。」
「あ、どうも、わかりました。ありがとうございます。」
「決まりましたらお声かけくださいね。」
普段と何ら変わりのない会話をしていた時に厨房の方から声がした。
「お、お客さん来たのか!?もう品もないしそのお客さん帰ったら店閉めようか!」
「了解でーす。」
レジのところで作業をしているが、最後のお客はずっと同じところで窓側の棚を見ている。
そこにはもう何もないのにおかしいな。と思っていたがとりあえずそのまま作業を続けた。
10分くらい経過したか、作業が終わったので、お客さんを確認したが、まだ窓の方を見ている。
「お客さんまだ会計しないのか?」
厨房から社長が顔を出し確認しに来た。
「あのお客さん、ずっと窓側の棚見ててなかなか選ぼうとしないんですよねー。どうしたんだろう。」
ふと、店内を見渡す社長。
「はぁ!?何言ってんだよ。もう誰もいねーじゃねーか。もう締め作業しちまえよ。」
「え!?だって、あそこに…」
振り返って確認すると、さっきまでいたはずのお客がこっちを見て窓の方を指さしていた。
お客は結構遠くにいるのに耳元で囁かれたようにはっきりと声が聞こえた。
『1年前この店の前で交通事故に遭って死んじゃったんだけど、ひかれる直前にこの店のパンを見たら食べたくなっちゃって。』
ハッとなったけど、なるほどと納得し、締め作業を始めた。
「社長ー!この余ったパン買ってっていいですかー!?」
「おお、いーぞー!200円にまけてやるよー!」
「ありがとうございまーす。」
締めの作業も終わり帰りの支度をして帰路についた。
「お疲れ様でしたー!」
「おつかれー!またなー!」
少し早く店を締めただけあって夕焼けが綺麗な夕方だった。
私は最後に買ったパンを交通事故現場の近くのカーブミラーの下にお供えしてある花束のところに置いて、
「美味しいよ!食べてね!」
と、隣に立っているサラリーマンの男性に声をかけた。
『ありがとう。どうしても食べたかったんだよね。』
「うちのパンは世界一だからね!」
もう、お分かりだろうけど、私には幽霊とかのこの世の者ではない者達の姿がはっきりと見えている。
これが私の普通じゃないところだ。
さらにお気づきだろうけど、幽霊っていたって普通で、正直生きている人との区別がつかない時が多々ある。今日も普通の日常に紛れ込んできたし…
まあ、これは生まれつきだからもう慣れちゃってるけどね!
今日は帰って、残りのパン食べてちょっと早めに寝るかな。
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その日の夜はいつもより早めに寝たから、少し早めに目が覚めた。
とは言っても21時に寝て、今が3時半だから6時間半は寝たな!なかなかいい睡眠とっているとは思う。
と、考えていると外で花火でもやっているのか明かりとパンっと言う音が重なって何度も起きていた。
非常識な奴らがいるなと思ったが、特に話し声とかは聞こえてこないし、不思議に思いつつ外を見てみた。
特に変わったことはない、深夜の光景がそこにはあった。
私の家は3階建の一軒家で一階には父が経営している整体院がある。2階にリビングダイニングと風呂場、3階に家族それぞれの部屋がある。
下の階からパンと言う音が聞こえた気がして、2階に向かった。さらに下から物音が聞こえた。普段はほとんど足を踏み入れないが、今夜は両親がいないから自分が確認しないといけないと思い、整体院の扉を開けた…
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