無能な主人公が瓜二つの双子の妹達にドロドロに愛される話

那月

第1話 お兄様♡


 世の中には有能な人間、平凡な人間、無能な人間。基本的にこの3種類の人間が居る……僕はこの3つの中でいえば、3つ目の無能な人間に分類されるんだと思う。

 学校の勉強の成績はといえば下から数えた方が早く、かと言えば運動も別に得意という訳でもなく、むしろ苦手。友達なんて存在は碌に居らず、俗に言う陰キャ。

 僕という人間には何一つ魅力なんか無く、こんな自分を内心で卑下する自分自身にも嫌気が差し、自己嫌悪に至っていく。

 そんなの自分の思い込み、人間何かしら一つぐらい良い所があるよと、綺麗事を大人は言うが、本当に僕という人間には何一つ利点と呼べる程の利点が何一つ無い。

 だけど、その僕の考えを打ち消す様に──。


「お兄様♡ お兄様は決して無能なんかじゃありませんからね♡ 私達をストーカーから守ってくれたこの傷……私達は一度たりとも忘れた事はないです。お兄様は決して無能なんかじゃありません。ですが、どうしても逃げたくなった時だったり、泣きたくなった時は、安心して私達の胸に飛び込んで来てくださいね♡ 私達がお兄様の全部を受け止めてあげます♡」


「ふふッ♡ お兄様は私達から見ても凄くカッコいいです、それこそ直ぐにお兄様の子供を孕みたいぐらいに……ッッ♡お兄様の事を無能なんて言う頭の悪い人達の言葉は聞かなくて良いんですよ♡ お兄様は私達の言葉だけを聞いていれば良いんです……お兄様の魅力を知っているのは私達だけ♡ 私達を守ってくれる為に負ってくれた傷……愛おしい傷も含めて、私達はお兄様の事をどこまでも深く愛しますから♡」


 腰まで伸ばされた綺麗な白銀の髪、恐ろしい程までに整った容姿と、瓜二つの顔。ただ、しっかりと見てみれば、それぞれに特徴的な髪飾りが付いており、それに加えて瞳の色が碧眼と金色で異なっている為、ちゃんと判別が付く。

 幼い頃に父さんの再婚で妹になった、双子の姉妹である2人から、まさかここまで惚れられてしまうとは。

 僕は今現在ベッドに押し倒され、2人はその柔らかい身体を僕の胸に最大限まで密着させる様にして、僕の身体の上に乗っかってきている。

 2人の女性特有の甘い匂いと、僕の顔の至近距離まで近付けられている瓜二つの顔。

 【白宮茜しろみやあかね】と【白宮美鈴しろみやみすず】───茜と美鈴は僕と同じ高校に通っており、2年である僕の一個下の1年生な訳だが、高校に入学して早々に美人姉妹として全学年に広まり、今では学園のアイドルとして名高い2人に、何故ここまで惚れられているのか───それを知るには、父さんが再婚してから1年程経ったあの日にまで遡らなければならない。

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無能な主人公が瓜二つの双子の妹達にドロドロに愛される話 那月 @natsuki_721

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