懐旧編あらすじと解説文

○「懐旧編」あらすじ

 強盗を繰り返していた身元不明で閉所恐怖症の少年が捕獲された。少年は特務予備隊に身柄を移され、そこでティロと名乗り剣技の腕を磨いていく。ところが閉所恐怖症のために特務になることが叶わず、自殺を図ったところを同じ予備隊に所属するシャスタに止められる。


 その後ティロは一般兵としてリィア軍に在籍し、オルド攻略のために戦場であるトリアス山に送られる。そこで特務で培った技術を生かしてオルド兵を大量に撃破し、過去に因縁があると思われる将校を秘密裏に抹殺する。ところがリィア軍では命令違反があったとされ、ティロの活躍はなかったことにされる。


 落ち込んでいたティロは、知り合った女性に「リィアに恨みがある」という話をする。すると彼女は彼のためにリィアを滅ぼそうと言いだし、反乱のための名前をティロにつけろと迫る。「ライラ」の名前をもらった彼女は本当にティロのために反乱を画策し始める。その頃、命令違反のためにティロは山奥にあるコール村の関所勤務の辞令を言い渡される。


 2年後、査察旅行の一環でコール村を訪れたリィア軍上級騎士隊筆頭ゼノス・ミルスは稽古中に居眠りをする不遜な隊員と手合わせをする。リィア軍内でも指折りの実力を持つゼノスに匹敵する実力を見せた隊員は実は寝不足でふらふらになっていたティロで、底知れぬ実力を感じたゼノスはティロをすぐに上級騎士へ推挙することを約束して村を後にする。


〇懐旧編リンク https://kakuyomu.jp/works/16817330656813658108/episodes/16817330657729739705


○キャラ動向

※年齢は登場時の年齢です※


ティロ(9~21)

休暇編で16年前にエディアで災禍に見舞われて、それから孤児になったというのが本人談です。その1年後、強盗を働いているところを捕獲(?)されます。極度の人間不信、声が出ない、閉所恐怖症など酷く何かに追い詰められた様子でした。


予備隊では優秀な成績を納めて特務へ上がるはずが、閉所恐怖症がネックとなって特務へは行けず、自殺未遂を引き起こします。その後オルド攻略で「トリアス山の死神」と呼ばれるような活躍をするのですが何故かなかったことにされ、コール村へと左遷されます。その中でライラと出会い、反リィアへの道を歩くことになるようです。そしてゼノス隊長に見出されて異例の昇進を遂げることになったというのが、彼が上級騎士になった真相です。


更にトリアス山では第7小隊長ゾステロ・フィルムに対して戦場のどさくさに紛れて殺害するほどの強い恨みを抱いていたことが明らかになり、今後のティロの復讐の動機にも深く関与していくことになります。


シャスタ(9~15)

予備隊でティロと共に育った幼馴染。彼自身にも様々な事情があるようですが、彼から見たティロの様子が懐旧編では語られます。


ライラ(19)

オルド攻略後にティロと知り合った女性。ライラはティロが彼女につけた偽名です。

港町だったエディアに売られてきて、そこの娼館で育ち災禍にも遭遇したという過去が語られました。反リィアを語ったティロに同調し、本当に反リィアとして活動を始めるようです。


ゼノス(32)

リィア軍上級騎士隊筆頭。査察旅行中にコール村で寝ぼけていたティロと手合わせをして、ティロの底知れない剣技の腕を買って上級騎士へ推挙します。


シェール(21)

この時点ではオルド国からルキシル国に派遣された外交官補佐。休暇編でも祖国に対してちらっとよくない態度を見せていましたが、今回でよくない感情を通り越して憎悪と呼んだほうがいい感情を抱いていることが判明します。


更に過去には恋人がいたことが判明しますが、なかなか歪な関係であったらしいことが語られます。そして「親を大事にする人とは一緒にいられない」という複雑な理由で別れ話が進行します。


セリオン(43)

休暇編でシェールの後見人ということで顔見せだけしているのですが、オルド側としては重要人物です。シェールがクライオにいたのはセリオンの親戚の家があったから、ということのようです。


〇内容解説

《第1話》

「ティロの不眠症と閉所恐怖症はいつから?」

→予備隊に放り込まれた時点で既に特記事項に記載されるような閉所恐怖症であったことが判明しました。休暇編でセラスが「災禍にあって不眠症に?」と考察していますが災禍と閉所恐怖症がどう繋がるのか、それが今後の見所のひとつです。


《第2話》

「シャスタの過去は?」

→彼も何か事情を抱えているようですが、ティロ同様彼も過去のことは口にしたくないらしいので判明する時を待つしかなさそうです。


《第3話》

「腕を折られた? 埋めた? 姉さんがいたの?」

→災禍とは別件で何か酷い目にあっているようです。家族は全員災禍で死んだと言っていましたが、この姉さんはどこへ行ったのでしょう?


「シェールの祖国や親に対する態度は一体何?」

→休暇編でもちらっと出てきましたが、彼はオルドの兵をまとめて自身もオルドを名乗っていますが祖国に対して非常に嫌悪感を持っているようです。何がどうしてそうなっているのか、それもティロの復讐劇と並んで今作品全体の話になってきます。


「シェールが処刑されるってことは……?」

→シェールは間違いなくオルド現国王の息子で、そのことがリィアにバレていると処刑対象になるということです。少なくともセリオンはそれを承知で後見人になっているようです。


《第4話》

「何でティロは活躍したのに恩賞がないの?」

→これに関してはかなり複雑な事情が存在します。この「トリアス山の死神問題」はかなり後を引きます。


「河原は例の自殺未遂起こした河原なの?」

→そうです。存外ここを気に入ってしまったようです。以降ずっとここに居座ります。


「何で外で寝るの?」

→休暇編でセラスへの説明によると同室の人に遠慮しているうちに外にいる習性がついたとのことですが、河原の件でわかる通りわざわざ外で寝ていることもあるようです(だからすぐ汚くなる)。この辺深い深い事情があるみたいです。


「結局ライラとはどうやって知り合ったの?」

→発起人ライラの発端は今回判明しましたが、肝心のライラとの出会ったシーン、そしてライラの本名は今回明かされません。結局よくわからなかったティロとの関係や彼女の目的など、彼女に関すること全てもこの作品全体の話になります。


「ティロの浮浪者ルックは何なの?」

→休暇編ではおそらくライラによってまともな服装にされていたために「全体的に怪しい雰囲気だ」くらいだったのですが、ライラの手が入らないと一気に汚くなります。ゴミみたいな格好だそうです。


《第5話》

「何故コール村でティロはあんなに不遜だったの?」

→暗に示されているのですが、眠くて機嫌が悪かったようです。


「上級騎士隊筆頭ってレリミアのお父さんじゃなかったの?」

→すごい、ここで気がついた人、すごい! この時点ではゼノスだったんですよ。それがどうして何があってレリミアのお父さんになって、ティロがトライト家に行ってレリミアを誘拐するに至ったのか、全ては次章でだいたい明らかになります。

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