第12話

焦る俺たちは日が昇り切る前にトナの母上と三人でこの生まれ育った町を離れた。



長い道のりを歩き、木に隠れて休みを取りまた、歩き出す。



身重なトナも一緒に不安を抱えながらそんな事を半日ほど繰り返した頃に俺たちはようやく気づいた。



T「こ…これなんだろ…」


K「これって…まさか…王様が…?」



トナが王宮から逃げ出す前、トナ本人も気付かない間におそらく王様がトナの襟口の中に一枚の手紙を忍び込ませていたのだろう…俺たちはそれに気づいた。



王様からの手紙には俺への謝罪の言葉も書いてあり、俺たちが次に行けばいいとされるとある町のことが詳しく書かれていた。



運の良いことに王様が言うその町は俺たちが逃げた先にあるのが分かり、俺たちは必死でまた歩き出す。



その町を目指し、歩いていると橋の横の木に紙が貼り付けられいき人々が集まりはじめた。



それに気づいた俺たちも導かれるようにそこに向かいその紙を見ると…



そこには昨夜の火事で王様とトナの事であるはずの側室が、この火事により死んだとの知らせが書いてあり、俺とトナは目を合わせ慌ててひと気の少ない場所へと向かった。



T「コハクあれって…私のことだよね…」


K「うん…トナが死んだことになってる…」


T「…王様は…本当に死んだのかな…」


K「分からない…とりあえず先を急ごう。」


T「うん…」



俺がお腹の大きなトナを気にしながら歩いているとトナは紙を見つめ足を止める。



T「この町かも…」



たどり着いた町は俺たちが育った町よりも田舎町で畑を耕す人があらゆる所にいる。



数少ない家がポツンポツンとありそこすらも住んでいるのか分からないほどの小さな町。



トナとギュと手を握り合わせていると、見慣れない人間を見つけた町の人々が俺たちを見ては不思議そうな顔をする。



不思議とその町には俺たちと同年代の人がいる気配はなくお年寄りばかりが住んでいる町だった。



「トナ…この家…あの家じゃない?」



トナの母上がそう指差す方を見ると、そこには確かに紙に書かれてある家が見つかった。



俺達はその家に向かいゆっくりと門をくぐり中へ入ると、そこには割と大きな家が2軒並んであった。



トナは空いている方の家を覗くと、誰もそこにいなかったのか閉まっている扉の前に行き扉を叩きながら声をかけた。



T「すいません…あの…」



トナがそう声を掛けると1つの家の扉がカタカタと動きゆっくりと開く。



そこから出てきたのはどこか見覚えのある色白の男性だった。



つづく

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