第14話 聖女

薄暗く、しめきった部屋…巨大な魔法陣が床に描かれ、術者たちがなにかを唱え始める…




「我らの地を祝福し…我らを救う者…'聖女'よ…今こそ我らを救いたまえ…我らの救いはあなたのみ…」




十数人が祈りを捧げ…天が奇しく輝き…'聖女'は降り立った…






サヤ「ここはこうで…次は…」




ナラ「そうですそうです…その後はこの公式を使って…」




授業の予習をするため、ナラは朝早くからサヤの部屋を訪れていた。




サヤ「ナラ、ありがとうございます。今日はもう大丈夫ですわ。一緒に教室に向かいましょう?」




ナラ「いいのですか?一緒に参ります!」




二人が仲良く廊下を歩いていると…




「大変だ!聖女様が!この地に降り立ったそうだ!」




サヤ・ナラ「!?」




この世界において'聖女'とは、百年に一度だけ現れ、この地を救うと言われているものだ。




実際、'聖女'の祈りには豊作や魔物の抑制、一国を平和にするほどの力が秘められていると言われている。




しかし'聖女'についてはあまりよく解明されていない。彼女たちが持つ祈りの力の原理もわからないのだ。




聖女を崇める国がある一方、脱聖女を掲げ独立した国もある。




国同士の政治に関わるほど、聖女の力は大きい。国民からの支持も相当なものだ。それは貴族にも言えることである…




サヤ「聖女様が来なさったの?本当かしら…」




ナラ「ヴィクトリア様に聞いてみましょう!」




二人はヴィクトリアの元へと向かう。




ヴィクトリア「わかっていますわ。聖女様のことについて…ですわね?もう耳に入ってきています。」




サヤ「流石ですわ!お姉様…それで…」




ヴィクトリア「聖女様は急に呼び出され混乱していらっしゃると聞いております。もしかしたら…貴族業界に慣れるために学園に入る可能性も…とも聞きました。」




ナラ「レド様はどこにいらっしゃるのでしょうか?」




ヴィクトリア「聖女様の元にいると…風の噂ですが。王宮にいらっしゃるから今すぐには会えませんわ。」




二人はヴィクトリアに感謝を述べ、自分たちの教室に戻った…






一方…レドはというと…




国王「聖女様は混乱していると聞いている。レド、お前が落ち着かせて差し上げてくれ。」




レド「父上、役目を与えてくださりありがとうございます…聖女様のその後は…」




国王「王立学園に入学させようかと考えている。その時は手厚くサポートしてやるのだぞ。聖女様は国の要である。それは…お前もわかっているだろう?」




レド「はい…承知しております…では、失礼いたします…」




レドは聖女の元へと向かった…




聖女「どうしたらいいの…?私には貴族についての知識なんか無いわ!漫画で読んだことがあるぐらい…」




コンコンッ




聖女「だ…誰ですの…?」




レド「失礼いたします…私はこの国の王太子、レド・ナーリアと申します。国王陛下から聖女様のサポートにつけと命じられまして…」




ひざまずくレドに、




聖女「顔をあげてください!私はそんなことをされる身分では…」




レド「聖女様…いえ…お名前は…?」




聖女「えっと…リナです…」




レド「ではリナ様、私が貴族についての知識や聖女というものがどのようなものかを説明いたします。」




レドと聖女リナは話し始める…




リナがこの国に現れて五日ほどたった日…




リナ「え…と…王立学園に所属される皆様…私は聖女としてこの地に訪れたリナと申します…以後、お見知りおきを…」




リナは王立学園に入ることとなった。




続いてレドがスピーチする。




レド「聖女リナ様はまだここに来て日が浅い。ここのことを色々教えてほしいと言っていらっしゃる。皆、優しく教えてやってくれ。」




会場から拍手が起こる。




この事が、後にレドとサヤの仲を裂くことになると知らずに…

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