第13話 花園
ヴィクトリア「この領地の問題と改善点を答えてくださいまし。」
サヤ「嵐による不作と税金の高さ、それについての民からの不満。改善点は…領主との交渉、嵐による不作を少しでも和らげるための…処置ですわね。しかしそれは…」
ヴィクトリア「はいおしまい…及第点です。もう少し具体的に、早く答えてね。サヤ、王妃は国王のサポートで多忙なのです。」
サヤ「はい、お姉様!」
そこでヴィクトリアはレドに話をふる。
ヴィクトリア「レド様、あなたならどういたしますか?」
レド「ちょっ…俺にもふるのか?えーと…基本的なところはサヤと同じだが…国からの給付とかか?」
ヴィクトリア「………まぁいいでしょう。急に話をふりましたし。」
レドがサヤに耳打ちする。
レド「ヴィクトリアさん、サヤのことちゃんと考えてくれてるだろ?」
サヤ「そうですね!ありがたいですわ…」
ヴィクトリア「そこ!話はよしなさい!」
レド・サヤ「はい!」
厳しいヴィクトリアだが、やはり領地のことを誰よりも考え、的確な答えに導いている。
専属の教師といっても遜色ないだろう。
三時間ほどたった…
サヤ「お姉様、もう限界です…!続きは…明日に…」
ヴィクトリア「わかりました…今日はこれぐらいにしましょうか。レド様もお付き合いいただきありがとうございました。」
レド「いや、俺は好きで来たからいいんだ。サヤ、少し二人になりたいんだが…いいか?」
サヤ「は…い…わかりました…」
昨日の件もあって、二人きりとなると気まずいのではとサヤは危惧している。
ヴィクトリア「では、私は退散いたしますわ。また明日勉強しますから、図書室に集まってくださいね。」
そう言って、ヴィクトリアは去っていった…
サヤ「その…レド…場所を変えませんか…?」
レド「そう…だな。花園に行こうか。」
二人は少しどぎまぎしながら花園に向かう。
サヤ「私、花園に来るのは初めてですの…」
レド「そうなのか。多くの種類の花があって、綺麗だぞ。」
サヤ「楽しみです…!」
二人は花園に着いた。
サヤ「わぁ…!レド、すごいです!この花は、私の家にありませんでしたわ!」
レド「絶滅危惧の植物も栽培してるらしい。すごいとこだよな。」
普段はあまりみせないサヤの素に、レドは心が跳ねる。
サヤ「レド!見てください!このお花、七色ですわ!」
花びらの一枚一枚が違う色の花を見て、サヤは驚く。
レド「これは見たことなかった。綺麗だ…サヤ、覚えてるかな…?君の家の花園で、僕に花冠を作ってくれたこと…」
サヤ「…もちろん覚えていますわ。大切な思い出ですもの…」
昔のことを思いだし、二人は笑顔になった。
サヤ「昨日の件で…レドに言いたいことがありまして…」
レド「あ、なにか嫌だったか?すまない…」
サヤ「いえいえ!そんなことじゃないです!私…昨日のことが忘れられなくて…勉強に支障がでてしまったんですぅ…なにかいい方法はないでしょうか…?」
レドは吹き出しかける。自分を想って、それも勉強に支障が出るぐらい意識してくれていたことに。
レド「…サヤ、あまり俺を煽らないでくれ…」
サヤ「ど、どういうこ…」
サヤをだきよせ、不意打ちでキスをする。
サヤ「!?!?!?」
沸騰したやかんのように真っ赤になっている。
レド「はは…これからは、これぐらいじゃ支障が出ないくらいしような…」
サヤ「これ以上ってなんですの!?レド!やめてください!」
レド「それは無理だね…婚約者様…?」
脳が溶けそうなほどの刺激にサヤは倒れる。
レド「!!サヤ、大丈夫か…?」
サヤ「もう!大丈夫じゃないです!」
そう言ってサヤは走り去ってしまった…
レド「ちょっとやりすぎたか…かわいい…もっと素直になってほしい…」
もう少しうまい誘いかたがないか、レドは考え始めた…
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