時を超えた回想

@HiryuShigeru

時を超えた回想

国道沿いのバス停に、ゾンビが一人立っていた。


女のゾンビが立っていた。


女だった肉塊が、ゆらゆら揺れて、おちていた。


そこにバスがやってきた。


牛面うしづらの男が運転手。


行き先聞かずに肉は乗る。


予定のなかった僕はつい、興味本位でついてった。


同じバスに乗り込んだ。


女型めがたの肉は座り込み、ブツブツぼやいて目はうつろ。


そうして肉を眺めていると、やがてバスは進みだし、長いバス旅はじまった。




大変長らく揺られたもんだ。


眠たくなってきたころに、肉の塊が降車した。


あわてて私も降りてみた。


海に囲まれてるような、小さな中州に降り立った。


そこには一つ建物が、白く塗られた無人駅。


そばにはポツンとベンチあり。


よくよくまなこを凝らしてみると、そこには骨が座ってた。


西日に照らされ座ってた。


それに近づく肉塊は、トボトボトボと遅歩き。


近づきやがて、寄り添うように、骨の隣に落ちた。


そしてボソッとつぶやいた。




「また今回もダメだった。君と見据えたこの場所で、必ずいつか会いましょう。」

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