ゆかこ(18歳)〜18歳の結婚

佐伯達男

18歳の結婚

時は、2月の始めの第1土曜日のことであった。


場所は、JR今治駅の待合室にて…


アタシ・ゆかこ(18歳)は、カレ・しゅうさく(18歳・同じクラスのカレ)とデートの待ち合わせをしていた。


学校の学年末テストが終わったので、高校3年間の授業がすべて終わった…


卒業式までの空いた時間は、大学入試の勉強などに充てるなど…


うちら3年生は、なにかと多忙な日々を送っていた。


そんな中であった。


アタシはこの日、親に図書館へ行って勉強をしてくると言うてウソをついた。


親にウソをついたアタシは、しゅうさくとデートに行った。


アタシは、ティーン雑誌のモデルの女のコが着ていた春ファッションを着て、入念におしゃれをほどこした。


早く来ないかな…


アタシは、ソワソワしながらカレを待っていた。…彼をだって…


朝8時半頃であった。


しゅうさくが駅の改札口から出たあと、アタシの元にやって来た。


「ゆかこ。」

「しゅうさく。」

「お待たせ。」

「無事に着いてよかったわ。親には、図書館に行くと言ってウソをついてきたわ。」

「オレも…おふくろに図書館に行くと言ってウソをついて出てきたところさ…(ブライダル)フェアが始まるのは10時だったね…それまで時間があるから近くのパン屋のカフェに行って、朝ごはんを食べない?」

「うん…そうしよう。」


アタシとしゅうさくは、今治国際ホテルで開催される春のプチブライダルフェアに行く予定である。


その前に、駅の中にあるパン屋さんのカフェテリアで朝食を摂った。


朝食を終えたアタシは、しゅうさくは手をつないで駅からいまこくまで歩いて向かった。


今治駅を出発してから15分後に、アタシとしゅうさくは今治国際ホテルに到着した。


ホテルに到着後、プチブライダルフェアに参加する手続きを取った。


その後、ふたりはフェアを楽しんだ。


ふたりは、高校卒業後同じ大学に進学する予定である。


ふたりは、大学卒業後に結婚すると決めた。


ブライダルフェアに参加したのは、どういったスタイルの挙式披露宴があるのか知りたいので参加した。


フェアに参加をしていたカップルさんの年齢層は、主に20代後半以上のカップルさんが中心であった。


高校生カップルはアタシとしゅうさくだけであった。


それでもふたりは、楽しみながら周囲のカップルさんたちと一緒にブライダルフェアを楽しんだ。


『こんなブライダルコスチュームが着てみたいわね。』


『リゾートウェディングは、どこがいいかな?』


『披露宴は、何人呼ぼうかな?』


………


…などと話し合いながら、ふたりはブライダルフェアを楽しんだ。


このあと、ふたりは模擬挙式が体験できるコーナーへ行った。


アタシとしゅうさくは模擬挙式に参加した。


模擬挙式を体験したふたりは、幸せいっぱい夢いっぱいに包まれていた。


ブライダルフェアの参加を終えたふたりは、ホテルのブライダルスタッフさんと一緒にエントランスのカフェテリアに行った。


ところ変わって、エントランスホールにあるカフェテリアにて…


ふたりは、アンケートを取りながらお話をした。


ブライダルスタッフさんが離れた後、ふたりは話し合いをした。


「ねえしゅうさく。」

「ゆかこ。」

「ブライダルフェア…楽しかったね。」

「そうだね…いろんなスタイルの挙式披露宴があったから、どれにしようか迷ったね。」

「うん…アタシも迷ったわ…でもその前に、まずはふたりで同じ大学に行くことを目標に受験勉強をがんばらないとね。」

「そうだ…すっかり忘れていた。」


ふたりは、神戸の国立大学を受験して同時に合格することを目指してがんばると決意した。


…しかし


しゅうさくは入試に落ちた…


アタシだけが合格…


…と言う結果に終わった。


だから、ふたりの関係はいっそう気まずくなった。


高校の卒業式の日であった。


大学入試に失敗したしゅうさくは、ひどく落ち込んでいた。


アタシはしゅうさくに対して『もう1年だけでもいいから、大学入試をがんばったら?』と優しく言うた。


けれどしゅうさくは『安易に言うなよ!!』と怒った。


ふたりは、ひどい大ゲンカをした。


卒業式の翌日からふたりは会わなくなった。


アタシは、わだかまった気持ちを抱えたまま神戸の大学に進学をすることになった。


そんな中で新生活を始める準備をしてしたから次第にめんどくさくなった。


こんなことになるのだったら…


神戸の大学を受験するのじゃなかった…


アタシ…


大失敗したわ…


3月31日の朝8時半頃であった。


またところ変わって、JR今治駅のパン屋にあるカフェテリアにて…


アタシはこの日、10時台の上りの特急列車に乗って神戸に向かう予定であった。


アタシはしゅうさくに電話をして、最後にもう一度だけパン屋さんのカフェテリアで朝ごはんを一緒に食べようと言うて呼び出した。


パン屋さんのカフェテリアにて…


ふたりは570円の焼きサンドセットのブレンドを注文した。


朝ごはんを食べた後、今後のふたりがどうしていくかを話し合った。


しゅうさくは、大学入試を断念するとアタシに伝えた。


「大学入試をやめるって…」

「大学入試をやめる…と言うよりも、大学進学をあきらめることにした。」

「どうして?」

「家の事情が悪くなったから。」

「家の事情が悪くなった?」


しゅうさくは、コーヒーをひとのみしたあとアタシに言うた。


「卒業式の次の日におふくろがくも膜下出血で倒れた…オヤジは職を転々と繰り返してばかりいたからなおだめになった…オヤジはドサイテーだ!!…家族にさんざん迷惑ばかりいたから…家に収入が入らなくなった…」

「そんな…」

「おふくろのパート勤務でえた収入だけがユイツの頼りだった…けど…おふくろが倒れたので…家におカネが入らなくなった…だから…大学進学ができなくなったんだよ…今は…ガソリンスタンドとファミレスをかけもちでバイトをしている…オレ…10日前にオヤジと大ゲンカを起こして…家を飛び出した…今は…マンスリーアパートを借りてひとりで暮らしているよ。」

「しゅうさく…つらかったのね…」

「ああ…」


しゅうさくは、コーヒーをひとのみしてからアタシに言うた。


「ゆかこ…ごめんよ。」

「やだ…あやまらないでよ…もう…いいのよ…どんなに夢を育んでも、かなわぬ願いもあるのよ…今回は仕方ないと思えばいいじゃない…しゅうさくは、ハンサムでモテモテだから、花嫁さん候補の女性はいくらでもいるわよ…しゅうさくのことを放っておけないと言う女性はまだたくさんいるわよ…」

「いるかな?」

「いるわよ…星の数ほどいるわよ…」


その後、アタシはボストンバックを持って席から立った。


アタシは、出発する前にしゅうさくに言うた。


「アタシ…今から神戸に行くから…今日は…しゅうさくと一緒にお話ができてよかった…ありがとう…さよなら…」


しゅうさくに別れを言うたアタシは、ボストンバックを持って足早にパン屋さんから出た。


しゅうさくと別れたアタシは上りのプラットホームにいた。


時計のはりは、11時に10分前になっていた。


アタシは、このあと到着する上りの特急列車を待っていた。


この時、アタシの気持ちはひどく動揺していた。


アタシはこのまま…


しゅうさくと別れていいのか…


ひとりで大学生活をやって行くことが…


できるのか…


この時であった。


アタシが乗るはずだった特急列車がプラットホームに到着した。


しかし、アタシは停車時間内に列車に乗ることができなかった。


気持ちがモタモタとしている間に特急列車が出発した。


アタシは、列車に乗りそこねた。


ボストンバックを持っているアタシは、改札口を出たあと待ち合い室にやって来た。


この時アタシは、しゅうさくが待ち合い室にひとりでいたのを見た。


アタシは、急いでしゅうさくの元へ行った。


しゅうさくは、アタシに声をかけた。


「ゆかこ…お前…神戸へ行かなかったのか?」


しゅうさくの問いに対して、アタシはしゅうさくに『大学に行くのをやめた…』と答えた。


アタシは、しゅうさくの胸に抱きついたあと今まで言えなかったアタシの気持ちを伝えようとした。


(ドクンドクンドクン…)


この時、アタシの乳房むねの奥で激しい鼓動が高鳴った。


言えない…


どうしよう…


ひどく戸惑っているアタシに対して、しゅうさくは泣きそうな声で言うた。



「ゆかこ…オレのそばにいてくれ…オレのそばにいてくれ…オレは…ゆかこがいないと…オレは生きて行けないのだよ…」

「しゅうさく…」


しゅうさくの胸に抱きついているアタシは、しゅうさくに想いを伝えた。


「しゅうさく…好きよ…大好きよ…アタシ…しゅうさくを置いて…神戸に行くのはイヤ!!…しゅうさく…好きよ…好きよ…」

「ゆかこ…ゆかこ…結婚しよう…明日…婚姻届を出して…ふたりで暮らそう…ゆかこ…愛してる…」


しゅうさくは、アタシを力強く抱きしめてキスをした。


その日の夜であった。


ふたりは、しゅうさくが暮らしているマンスリーアパートにいた。


アタシは白のブラウス1枚の姿…


しゅうさくは短パン1枚の姿…


…でいた。


深夜11時58分までの間、ふたりが出会った時から今までの思い出話をした。


深夜11時58分頃になった。


この時、アタシの乳房むねの鼓動がより激しく高鳴った。


(ドクンドクンドクン…ドクンドクンドクン…ドクンドクンドクン…ドクンドクンドクン)


しゅうさくはアタシのくちびるに優しくキスをした。


しゅうさくは、アタシが着ている白のブラウスのボタンを右手でゆっくりと外した。


これからアタシは、しゅうさくにバージンをささげる…


その瞬間が少しずつ近づいた。


アタシの乳房むねの鼓動が一気に高鳴った。


しゅうさくは、アタシが着ているブラウスを脱がした後、キスをしながら両手でブラジャーの後ろのホックをゆっくりと外した。


その後、しゅうさくはアタシをゆっくりとふとんに寝かせた。


「ゆかこ…」

「あっ…」


ああ…


………


しゅうさくは、アタシが着ていたショーツを脱がした。


時計のはりは、4月1日の午前0時になった。


しゅうさくは、全裸はだかになったアタシの身体からだにゆっくりとのった。


「ゆかこ。」

「しゅうさく…あっ…」


しゅうさくは、アタシの右の首すじにキスをしたあと舌でアタシの身体からだをなめ回した。


甘いといきをもらしているアタシは、終始受け身の状態でしゅうさくに抱かれた。


【おしまい】

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