第69話 ざまぁフラグが乱立してます

――フロスティア王国 SIDE――


 ……時間は少しさかのぼる。


 ルナリア王女が秋月優太を自分の部屋に連れて行った直後の事。

 自室に戻ったフロスティア王国の王子――セバストリは荒れていた。


「くそっ、ルナリアめ! この僕を無視しやがって! おかげで大衆の面前でとんだ大恥をかいた!」


 部屋に置いてある自身の等身大の像を殴りつけ、拳を痛めて絶叫する。

 そんなセバストリ王子に話しかけるスーツを着こなした小柄な男がいた。


「――おいたわしや、セバストリ王子。ですが、もう少しでルナリア王女は貴方の物です。むしろお楽しみが増えたではありませんか」


 この男――魔族の隊長であるビッグ・ブラザーは邪悪な笑みを浮かべる。

 セバストリは感化されるようにニヤリと笑った。


「そうだな、そもそもルナリアは気弱でか弱い少女だ。国民を人質にすれば好き放題できるしな。これまでも随分と可愛がってやったもんだ。どうやら今は無理に強がっているようだが、その分調教のし甲斐もある」


「そうです。私もルナリア王女には苦汁を飲まされましたからね。目の前で逃げられた悔しさは胸を割くようでした。思う存分の鬼畜を味合わせてやってください、国民という奴隷も手に入りましたしね」


「ルナリアめ! 社交会で僕を辱めた報いを受けるが良い! アッハッハッ!」


「――でも、セバストリ殿。もしルナリア王女に誘われてもあの見事な踊りは踊れなかったでござるよな? どちらにせよ、恥をかいていたのでは? ニンニン!」


 セバストリ王子の高笑いに、傍にいたサイトウが横やりを入れる。


「……おい、ブラザー。なんだその忍者は?」

「ビッグ・ブラザーです。ビッグをお忘れなきよう」

「ど、どうして拙者が忍者だと分かったでござるか!?」


 ビッグ・ブラザーはため息を吐いてセバストリに説明する。


「こいつはサイトウです。昨日、平地で行き倒れているのを発見しまして。持ち物の黒装束に『サイトウ』の刺繡が入っていたのでそう名付けました」

「拙者、記憶がないのでござる! そうしたら、この小さい魔族が拙者も魔族だと教えてくれたのでござるよ!」

「ええい! 小さいと言うな! そして、隣に並ぶな! 大柄なお前が横に居ると、私が小さいみたいだろ!」

「スマンでござる! でも、実際小さいでござる!」

「……だから、せっかくなので利用――じゃなくて、魔族として色々と教えているんですよ。今日が初陣なんですけどね。実力は確かみたいなのでご心配なく」


 サイトウに若干調子を狂わされながら、セバストリは再び拳を固く握る。


「踊りといえばそうだ! 何だよあの男は! おい! ルナリアと踊ったあの冴えない男は確実に殺しておけよ!」

「かしこまりました。何の情報もない男です。B級のアクアと一緒に来ていることから恐らく、あの男もB級以下だと思います。大したことはないでしょう」

「そうだ、モンスターハウスを使えよ! 絶望させながら殺してやれ!」


 セバストリの提案にビッグ・ブラザーは少し眉をひそめる。


「ですが、あのモンスターハウスはS級探索者を確実に葬るための策ですよ?」

「魔族の癖に、S級なんかを恐れているのか?」


 ビッグ・ブラザーは自分の考えを述べる。


「護衛に付いているアーサーの強さが未知数です。この前はメデューサすらも単独で倒しました。メデューサは単純な強さだけで倒せるモンスターじゃありません。一体、どうやって攻略したのか……アーサ-は恐らく、かなり頭が切れる探索者です」


「ちっ、ルナリアめ。我らの目を盗んで厄介な者たちを呼び寄せたな」


 渋るビッグ・ブラザーに業を煮やしたセバストリは怒鳴る。


「せっかく各国の王子をここに集めたんだ、王子たちをモンスターに襲わせればS級探索者は護衛で動けなくなるだろう」

「可能ですが、フロスティア王国の信頼は失われますよ?」

「フロスティア王国など知らん。僕はあの冴えない男に復讐して、ルナリアを手に入れられれば良いんだ! というか、ルナリアはアイツを自分の部屋に連れて行ったぞ! さっさと殺しに行け!」

「……かしこまりました。サイトウ、お前は転移先で待機してろ。誰が来ようと確実に殺せよ」

「御意! 拙者、誰が相手であろうと最後まで決して逃げないでござる!」


 サイトウは元気よく返事をすると、窓からムササビの術で飛んで行った。


「では、セバストリ王子の仰せのままに。過剰だとは思いますが、ルナリア王女のお気に入りの、あの冴えない男はモンスターハウスに送ってエサにしてしまいます」

「それで良い! アッハッハッ! そうだ、せっかくならルナリアも連れてあの男がモンスターたちに食い荒らされている所でも見に行こうか!」

「それは名案ですね! ふっふっふっ、責任感の強い人ですからね。自分のせいで死んでいく彼を見れば……悲痛に歪むルナリア王女の顔が楽しみです」

「そうすれば、きっともう僕以外の男には興味も持てなくなるだろう! 恐ろしいモンスターたちを前に恐怖で弱弱しく震えて僕に許しを請うルナリア……見物だな!」


 ビッグ・ブラザーとセバストリ王子は邪悪な声で笑った。


 ――――――――――――――


 痛快なざまぁ展開をお楽しみに!


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【みなさまへのお願い】

 すみませんが、体調不良により少しお休みをいただくかもしれません……

 もし続きの主人公無双を楽しみにしている方はぜひ☆評価をお入れください!

(☆評価の入れ方は、作品目次を下にスクロールして『★で称える』の+ボタンを3回クリックです! アプリの方はレビューから)


 ☆評価を入れてもらわないと、読んでもらえているのか分からないので。。。

 すみませんが何卒、よろしくお願いいたします!

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