第18話:祐介との別れ。

シュシュは辛い気持ちを押し殺して家に帰った。


祐介が学校から帰って、元気のないシュシュを見て心配した。

日中なにがあったのか志麻子ちゃんに聞いてみたら、かうかくしかじか・・・

な話を聞かされた。


「とにかくその人とふたりで出かけたと思ったら、

今度は浮かない顔して、シュシュちゃん一人で帰って来たのよ 」


「シュシュ・・・なにがあった?」

「話してくれないか?」


「私、天界へ帰らなくちゃいけなくなったの」


「ああ、そのうち天界へ帰る時が来るって言ってた・・・」


「ほんとに帰っちゃうのか?」


「神様が帰って来ないと困るって・・・」

「私が天界へ帰らないと、神様の面目が立たないんだって・・・」


「なんでよ」


「私をカオスに落としそうになったからね」

「そのことを帳消しにしないとと神様にとって、それは汚点になるんでしょ」

だから、私を天界に戻したら、その件はチャラになるみたい」


「私に帰れって言ってるのは、そう言うみたい」

「それに地上に天使がいるなんて今までなかったことだからダメだって」


「そんなこと神様の勝手じゃないか?」

「断っちゃえばいいじゃん」

「前にも行ったけど俺はシュシュを神様なんかに渡さないからな」


「だけど、もう帰ること約束しちゃったんだもん」


「なんで、そんなこと約束したんだよ」

「俺のこと愛してないのか?」

「俺より天界に帰ることのほうが大事なのか?」


「そんなことない・・」

「私にとって祐介が一番、大事だよ」


「だったらどうして?」


「そんなに、私をを責めないで・・・ 」

「私だって辛いの」

「祐介と別れたくない気持ち、分かるでしょ・・・」

「けど、どうにもならないこともあるんだよ」


「普通、神様が地上に降りて来ることなんかないの・・・それは、

よっぽどのことがない限りないことだからね」

「だから、無視できないの」


「明日、神様が私を迎えに来ることになってる」

「だから今夜、祐介とちゃんとお別れをしようと思って・・・ 」

「黙って行くのは、イヤだから・・・」


「お別れって・・・」


「祐介・・・今日までほんとに、ありがとう」

「私を愛してくれてありがとう」

「祐介のこと忘れないから・・・」


「そんなこと・・・悲しすぎるよ」

「シュシュのいない明日なんて考えられないよ」

「・・・・・」

「いいよ、分かった・・・俺を置いて帰ればいい」

「どうせ、笑って手を振ってさよならなんかできっこないんだから・・・」

「俺は見送らないからな・・・」

「神様と一緒に勝手に帰ればいい 」


「祐介・・・」


「いっそ黙って帰ってくれたほうが良かったよ」


いつものシュシュなら食ってかかるところだが、下をうつむいたまま何も

言わなかった。

心無い言葉を投げかけた祐介を責めもしないし弁解もしなかった。

そして神様が言った祐介の命を奪うって話、それも祐介には黙っていた。


ただ、シュシュは独り言のように願うように言った。


「たとえ離れてても祐介と私の心の糸がずっとつながってますように・・・」


つづく。


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