堕天使は微笑まない。

猫野 尻尾

第1話:落ちてきた女の子。

第31回電撃大賞 電撃小説大賞 応募作品です。


悪魔は堕落した天使であると言われるが、実際は堕天使は悪魔とは

また違う存在のことを言う。


この話は神のほんの手違いによってカオス(地獄)に落とされそうになった

女の子の天使の話です。


彼女の名前は「シュシュ」


彼女は神と神に反旗をひるがえした天使たちの渦中にいた。

堕天使なんて言うから、さぞかし醜いのかって思うけど

なんの、なんの・・・とっても人間に似ていてしかも可愛いときている。


肌の色も人間と同じ、思ったより色白、髪の色だって普通に黒髪。

目の色だけはグレーだった。


堕天使だと言わなければ、普通の女の子にしか見えない。


冒頭でも書いたように、彼女は神に逆らった天使たちと違ってカオスに

落ちるはずじゃなかった。

ただ神と天使との諍いいさかに巻き込まれただけ・・・。


そして他の天使たちと一緒にカオスに落ちる途中で、どこで何を間違ったのか

分からないが彼女だけ次元を超えて違う場所に落ちた。


それはこの日本の都会のど真ん中の桜木町ってところにある

桜ヶ丘東高等学校の図書室。


なんで図書室かって言うと、そこにこれからシュシュが巡り会うことになる

男子がいたからだ。


その男子の名前は「神谷 祐介かみや ゆうすけ 」高校三年生。

昔で言うと男前、今で言うとイケメン男子。


堕天使シュシュと祐介の出会いはきっと何かに導かれていたんだろう。


祐介がたまたま放課後、図書室にいる時、それも今日に限ってひとり。

そこに、シュシュはどこからともなく空間から突如として落ちてきた。

それまで静かに調べ物をしていた祐介は、すごい音がしたので驚いて

何事かと音がしたところをまでやってきた。


すると腰を押さえてウナってる女がいた。

祐介はなんの疑問もなく、そこにいるのが女だと思った。


「いった〜い・・・んもう、なにこれ?」


「え??なんで?・・・」

「・・・あのう・・・君・・・誰?」


ま、それが一般的な反応・・・どんなドラマでも小説でも初めて出会ったりする

場面では、君、誰?、から始まる。


シュシュは驚いて振りかえった。


「君、そこで何してるの?」


シュシュは目の前にいた男子を見て一瞬固まった。


「ね、聞いてる?」


「あ、ごめんなさい」

「分かりません・・・私にも・・・」

「あの、そんなに見ないでください、恥ずかしいです」


「見たく見てるわけじゃないよ」


「ここどこでしょう?」


それも普通の反応。


「ここは図書室だけど・・・君、どこから来たの?」


「どこからって・・・気ついたらここに落ちて来てたんです」


「落ちたって・・・?」


「ここってカオス?・・・じゃ、ないですよね」

「他の天使たちは?・・・みんなはどこ?」


「他って?・・・ここには俺ひとりしかいないけど・・・」


「カオスじゃないんですね、ここ・・・」


「そのカオスってのが分かんないよ?」

「今も言ったけど、ここは図書室だよ」

「本がたくさんあるだろ?」


「私、カオスに落ちたんじゃないんですか?・・・」


「いまいちよく分かんないな〜・・・なにがあったの?」


「いろいろと・・・」


「いろいろとじゃ、まじで分かんないんだけど・・・」


「そんなこと言われても、どうしてここに落ちて来たかなんて

分かんないんです・・・」


やっぱりご多聞にもれず、こういう場合の女性って

裸で登場したりするのが常なんだろうけど・・・青少年の前ですからね。

元天使ですから白いワンピースでも着た状態での登場させときましょうかね。


もし裸だったらこのあとの展開が非常にマズいことになりますからね。


「キャーなんですか?・・・見ないで〜」


「いやいや・・・裸でいる君のほうに問題があるんだろ?」


って具合に・・・しかも祐介はシュシュのためにどこからか服を持って

来なきゃいけなくなるし・・・

ってことでここは白いワンピースで。

なにも着てないってシュチュエーションが好みだった人、ごめんなさいね。


「とにかくさ・・・君とふたりっきりで図書室にいるところを

誰かに見られたら学校中騒ぎになるから、とりあえずここを出よう」


「ここじゃまずいと思うんだ」


ってことでこれが堕天使シュシュと神谷 祐介との運命の出会いだった。


つづく。



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