「無敵」の俺の異世界転生！

「無敵」の俺の異世界転生！

俺はモンスターを倒した！

異世界転生した俺は魔王を倒す経験値を上げるため

モンスターを倒したんだ。

所が目の前のおっさんは俺がまるで悪人かの様に睨みつけてくる…。

「やめてくれよ！」おっさんに俺は叫んだ、

これじゃ、転生前のゴミみたいな生活と同じじゃないか！

女にもモテず、友達もおらず、性犯罪の前科がある転生前と…。

いつだったか、、ちょっと前に俺は異世界に転生していた。

理由はわからない、きっとどこかのアニメみたいに人を助けて死んじゃったのかな笑

俺はニヤニヤしながら異世界の街並みを見渡した。

たくさんのモンスターや異形がいる。

どいつもこいつも正義の為に殺すべきモンスターだ、

しかし、俺には力が足りない。

社会生活では発達障害で馴染めず、勉強もできなかった俺は、今回の異世界ではきちんとレベルを上げ、

人生をやり直そうと思っていた。

「バウ！ﾊﾞｳﾊﾞｳ」足元から嫌な吠声が聞こえる。

　　　「チャンスだ!」

俺は即座に持っていた包丁を足元のモンスターに突き刺した……

それで何だっけ？

妙に身動きが取りづらいと思ったら、

腰にはロープが巻かれており、そこに繋がる手錠が目の前の机の脚にガチャリと取り付けられていた。

おっさんは言った、「………には、……を選任する権利があります。………が無い場合は国選…」

俺にはよくわからない…

それでも俺は、自分が人型に扮した3体のモンスターに勇敢に挑み！

傷を負わせたということだけは思い出した。

「グュゴォォォｫｫｫ」目の前にはデカいオークがいる。

あれから、何体もの小さなモンスターを倒し、

レベルの上がった俺は

ついに大型のモンスターとも戦うことに決めたのである。

「喰らえっ必殺魔法！」

どうやら、異世界は思ったほど魔法は効かないらしい

しかし、俺には転生前から持っていた包丁がある。

「死ねえぇぇぇぇぇぇ」そう叫びながら

　　　　　　　　　　　　俺は突き刺した。

ー ー ー ー ー ー ー

精神鑑定書

平成○◯年○月○○日

緑ヶ丘病院

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鑑定人医師　　石井千尋 印

１．被疑者　

　西成　拾　男　昭和○年○月○日　現在○歳

２．鑑定事項

　１．統合失調症

　２．１．が肯定される場合，その精神障害は本件犯行にいかなる影響を与えたか。

　３．１．が肯定される場合，犯行当時の被疑者の善悪の判断能力及びその判断に従って行動する能力の有無及びその程度。

３．鑑定主文

１　被疑者は，犯行当時，統合失調症であった。

２　被疑者の本件犯行は，統合失調症による症状に直接影響されたものではないと考える。

３　被疑者の善悪の判断能力及びその判断に従って行動する能力は失われてはいなかったが，著しく減弱していたと考える。

４．鑑定経過

５．統合失調症と診断した理由（別紙の１参照）

　　　〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

わかってる。

異世界なんて無い、

心神耗弱により減刑を求めた俺は、もともとあった精神障害を利用し徹底的に頭のおかしいふりをした。

精神的に限界だった俺は小動物を殺し、

やがて、人を殺そうと街中で包丁を振り回したところで

取り押さえられた。

今も取り調べや精神鑑定では頭がおかしいふりをしている。

でも、

それでも、

　　　　　　　　絶対に、ｾﾞｯﾀｲに、、、

　　モンスターは存在するんだ！

「お前アスペだろ？」「親の顔に泥を塗るな」「汚ねぇな、消えろバイ菌」

腐るほど吐き捨てられて来た。

掃き溜めの現実から逃げネットに逃避しても居場所なんてない…。

「俺を馬鹿にした同級生が恋人とニコニコと笑っている世界」「俺1人を置き去りにして進んでいく世界」「同意の上で未成年を抱いた俺を有罪にして、犯罪者にした世界」

どれも幼少期に思い描いた世界とは、別物で

俺にとっては異世界だった。

俺を馬鹿にせず聞いてくれ！！

人を人間扱いしなかった誰かさんが人前でにこやかに正義を語るんだ、、、

「イジメはダメ」だの「加害者に厳罰を」だの…

さながら、それはモンスターのようで、

人間のふりをする吸血鬼や、人を演じる鬼なんだ。

だから、俺は確かにモンスターを倒した。

誰かわかってくれると信じてる……

俺はモンスターを倒した勇者なんだ。

ー完ー