仮想戦機ヴィルトゥエル〜黒い灰〜

鷹夏 翔(たかなつ かける)

Chapter1:仮想戦機ヴィルトゥエル

とある傭兵の独白


 ひとりぼっちの男がいた。


 災厄の黒い機体を持っていたことで、世界を敵に回した男。


 絶望の人生を送ってきたせいで、ほとんどの感情を失っていた。


 いや、違う。


 男は表面上は無感情だが、心は泣いていた。


 勝手な思想を押し付けられて、生きるためにやりたくないことをやって、自分のせいで多くの命を奪ったことに泣いていた。


 つらくて、つらくて……。


 でも、助けてくれる人はいない。


 助けてくれる人がいないから、感情を押し殺すしかなかった。


 男の寂しげな背中を見て、俺は決断した。


 こいつの代わりに俺が戦う。


 そして、安心して暮らせる場所が見つかるまで、そばに居てやろう、と――。

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