第23話 待ち遠しい
冬休みに入る前日。
終業式ー...
放課後の図書室で委員会の打ち合わせがあった。
図書委員は冬休みにボランティアで養護施設で読み聞かせをすることになった。
図書委員の緑川愛先生が指示をする。
「委員会は二人一組で行くことになった。藤倉さんと赤羽君は近所の養護施設をお願い出来るかしら?読み聞かせの本は自由に決めていいわ。」
「分かりました」
緑川先生は他の生徒にも、読み聞かせの場所を指示していく。
彼女は髪をハーフに結んでいる。30代の女性教師。明るく生徒の人気者である、
2年の国語を担当している。
祐斗はニコと微笑む。
「読み聞かせの本は文月さんが決めてください。僕は従いますから」
(丸投げ...ただ、純粋にこれが彼の素なんだろうなと感じた)
「考えとくわ」
◇◇◇
私は委員会が終わってから、園芸部の活動がある葉月を下駄箱の辺りで待つ。
すると、瑠偉と奈歩が歩いてきた。
「藤倉先輩、部長もうすぐ来ますよ」
奈歩が微笑む。
「そう、ありがとう」
この子は葉月が立ち直る力をくれたのよね。
「藤倉先輩、また」
瑠偉はさりげなく、奈歩をエスコートする。
私は軽く会釈した。
◇◇◇
「お待たせ。文月。帰ろうか」
葉月の顔を見て私は微笑む。
「うん」
駅までの道
「え、赤羽君と」
「そうなの。本の読み聞かせ」
葉月はぷくと顔を膨らませる。
「葉、葉月?」
「いや、本の読み聞かせはいいと思うよ。だけど、彼と二人きりなのは、嫉妬しちゃう」
頬が赤くなる葉月に、私は彼と腕を組む。
「文月?」
「何言ってるの。私は葉月の彼女なんだから」
文月は照れながら言うと、葉月は目を細めた。
「そうだね」
「24日に本の読み聞かせがあるから、クリスマスの日に会いましょうか?」
「うん。」
微笑む文月と葉月。
私はいつもより、冬休みが待ち遠しくなった。
そんな光景を物陰から、ある人物が見つめていた。
◇◇◇
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