朱鳥の夢 ~あなたに会える最後の夜に~

越知鷹 京

第1話

一ノ瀬季依りえには、父親に関する記憶がない。だから、理想の男性を問われても、彼女には答える事ができなかった。愛というものが、いまいちピンとこない。幼女が誰しも通るであろう初恋の相手を彼女は経験しなかったからだ。


幼い頃の季依には、母親は可哀想な人だった、というイメージだけは持っていた。

母は口癖のように「いつか あの人が 私のところに来てくれる」といっては、そう信じて待っているだけで何もしない人だった。


そんな母も私が小学生になる頃には、同居する祖父母に暴言を吐く、叩くを繰り返していた。小学生の私は ご飯が抜かれたり叩かれたりしながら 育った。


よく晴れた秋の空だった。


公園で楽しそうにしている同級生。「かあさん」と父親が嬉しそうに呼ぶ姿は、彼女にとって理解できないものだった。家に帰れば私を叩く母。ご飯もくれない母。その母が狂ったように父を恋しがっては「お前はいらない子だから、さっさと家から出ていけ」と私に命令してくるのだ。


季依は、押し入れの中に入っては、声を消して泣いていた。


中学生になり思春期を迎えた頃、母がお風呂場で手首を切る事件があった。季依はそんな母に耐えられず、自分の父親を探すことを決意した。名前も年齢も顔さえ知らない父親を。


祖父母に 母親が妊娠した 当時の話を聞き、当時働いていたであろう職場を探していた。そのときに出会ったのが、杉下と名乗る男性だった。


なぜ、彼が父親を一緒に探してくれたのか、未だに教えてはくれない。


そして、二人が たどり着いたのは ホストクラブだった。ここがどういった場所なのか、杉下に訊ねた日。季依は、男性という生き物を知る事となった。



――――



※『カクヨムコン9』に応募する予定の小説です。タイトルも内容もラフ状態なので、いろいろと変更をしそうですが、完結に向けて頑張ります(´▽`)



【人物紹介】


◇―――地球・日本


[ 一ノ瀬季依りえ ]

[ 健斗 ]

[ 桜月詩織 ] 

[ 佐藤玉一 ] 

[ 杉下 ]

[ 白咲ミルク ]


―――◇異世界イスカンディナ・スコルハティ


[ キイ ]

[ 将暉 ]

[ 賢人 ]

[ 慎之助 ]

[ 公彦 ]

[ 雄介 ]

[ ムラマサ ]

[ 預言者 ]


※スコルハティ共和国では、古くからある カースト制度 の名残で、苗字と名前の間に「A~Z」の法別番号のような物がある。現在ではニックネームの頭文字のような扱いとなっており、国へ申請すれば変更も可能となる(ただし、物語中では省いています)。

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