第7話

 次の日の朝。嫌な夢を見て飛び起きたら、ぼくの掌の模様が、殊の外大きくなっているような錯覚を覚えた。


 急いで布団をどかすと早速、左手の模様を見た。


「あれ? 変だな? ほんとに大きくなってる??」


 模様は、昨日は掌を脅かすことはなかったけれど、今は掌一杯に広がっていて、手の甲にまで伸びている。このままだと、指のところまで模様が広がってきそうだ。

 

 この模様??


 大きくなったからか、よく見ると、何の模様かわかるんだ。


 なんだか、どこかの国の国旗のような模様だ……。


 タイミング良く。パタンと青い扉が開いて、コーリアが朝食を持ってきてくれた。


「おはようございます。勇者さま。お目覚めのようで、今、朝食をお持ちしました」


 コーリアはぼくのベッドの脇のテーブルに朝食を静かに置いて、ぼくの掌をキラキラとした目で覗いた。


「まあ! 大きくなりましたね! ……でも、この模様?? 何か変ですね……??」

「え?? 変……??」

「あ、すいません勇者さま! この国には古い言い伝えがあるんですよ。掌に映りしトルメルの国旗。そのものトルメルの勇者なりって……」

「へえ……」


 トルメルの勇者か……。


 それなら、魔族と戦うのも普通かな??


「あ、でも。その国旗。トルメル城の国旗とは違うんです」

「……へ??」


 ぼくは間抜けな声を発し、掌を穴の開くほど見つめた。

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