第6話
海辺に戻り、僕たちはアイスの蓋を開けた。
ほんの少し溶けているが練乳バニラアイスはこのくらいがちょうどいい。
僕が自然な流れでアイスに練乳をかけるところをじっと見つめていた彼女が「わたしもそれ食べたい」と予想通りのセリフを言ったので練乳を気持ち多めにかける。
「さて、ひーくんお気に入りの甘×甘アイスをいざ実食!」
木のスプーンでアイスをすくって口に運ぶ、ただそれだけなのに彼女の反応が気になってしまい妙に緊張してしまう。
「んー!んま!意外といける。めっちゃ相性良いねこれ。同じミルク系だから?これ抹茶とかチョコでも美味しいのかな。」
どうやら練乳バニラアイスはかなり気に入ってもらえたようで彼女はパクパクと口いっぱいにアイスを放り込んでいく。
彼女が気になっている抹茶アイスやチョコアイスと練乳の組み合わせは僕も試してみたことがあるがやはりバニラとの相性には勝てなかった。
そのことを彼女に伝えると「やっぱり?」と笑い、今度はバニラアイスに合う他のシロップやトッピングを試してみようと提案してきた。
そこからはお互い候補を出し合った。
メープルシロップにチョコシロップ、板チョコ、クッキー、ラングドシャ、メロンパンなどハズレないであろうものからココアや抹茶、紅茶の茶葉などの飲み物系、フルーツはどれが一番相性が良さそうか、バターと混ぜてみるのはどうか、少し残っていたアイスが完全に溶けるまで僕たちの話し合いは白熱した。
「あらら、ひーくんのアイスすごいドロドロ。ごめんね思いのほか夢中になっちゃった。」
「大丈夫だよ。ちょっと待ってね。」
頭上にハテナがたくさん浮かんでいるような表情の彼女を尻目に残りのアイスを一気に飲み干す。
驚く彼女に「潔い」とお褒めの言葉をもらった。いや、これは褒め言葉なのか?
ごみをコンビニでもらったレジ袋に入れて口を縛る。
それから僕たちは今更自己紹介をした。
本人は学校のマドンナと呼ばれていることに対して「みんな表面的なわたししか知らない。わたしのことを知ったらそんな事...」と意味深な呟きを残した。
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