鶏が先か、卵が先か。
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【あなたは何も覚えてないのかい? ”東龍之介”さん?】
【”龍くん”、私のこと、覚えてる?】
【――おい、”東”! お前のせいで、姉さんはっ……】
【”龍之介”君、】
【申し訳ないが聞いてもいいかい】【ねえ】【は?】【やっぱり】……
「『また』?」
視界から入ってくる情報に頭が追いつかない。思わず、声を出してしまう。
目の前に書かれている、ただ書き連ねているだけの欠落したそれは、今の自分にはまだ、理解できない。
僕は、今までに何を書いているのだ?
そこで、気づく。自分にもその記憶の断片があることに。
僕は確か「前回」、ある女性と――何か話した。しかし、女性の特徴も話した内容も、思い出せない。
自分の記憶でないような抜け落ち方だが、親近感はそこに確かに感じる。
それなのに、どうして僕は完全に思い出せない?
目の前の日記にある情報に至っては全く知らないのは?
……知りたい。
その気持ちを抑えることができない。溢れてやまない高揚感。
そこにある答えが分からなかったとしても。
それが自分の作った”檻”だとしても。
「また」、何度でも――
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