第26話 深く蒼いオモイ
結局、
当然、
沖縄国際通りでの自由時間は終了し、二日目の日程が終わった。
霧江と分かれ、また居心地の悪い部屋に戻るのは憂鬱で仕方なかったが。
◇
三日目、この日は午前中に美ら海水族館に行って、午後から飛行機で東京に向かう。東京についてからは夕食を食べてホテルで解散。
昨日、班長会議が終わり、班長が帰ってきてから同じ班の人たちで集まって班会議をした。その時に、荷物をまとめるように言われていたので、忘れ物はないだろう。
朝食が終わると荷物をバスに積み、バスに乗り込む。集合時間になり、人数確認が終わってからバスが出発した。
◇
美ら海水族館に到着。手荷物だけを持ってバスを降りる。
クラスごとに集合写真を撮って、撮り終えたクラスから水族館の中に入っていく。
クラスごとに入った為、霧江と合流しやすくて助かった。
「どこか、見たいものある?」
「私、ペンギン見たい!」
「ここにはペンギンは居ないぞ」
「うわっ、
二人で仲良く会話をしていたら共哉が割り込んできた。クラスごとに分かれたんだから当然共哉も近くにいるわけで__。
ちなみにだが、ペンギンがいないことくらい一回目で知っていた。
「一緒に周る友達いないんだよ」
「一人で周ってこいよー」
「別に一緒に周るくらい良いんじゃない?共哉くんかわいそうだよ」
「うぐっ」
「ほら、霧江くんもそう言ってるんだし。何見に行く?やっぱサメかなー」
共哉は、後から入ってきた分際で、仕切りながら先導していく。
この水族館で一番大きな水槽。そこにはジンベイザメの姿があった。
周りにエイや他の魚たちも泳いでいるが、ここへ来た来館者たちの目にはジンベイザメしか映っていないだろう。
大きな水槽を見上げながら感嘆の声を上げる霧江を横目に見る。
この時間が永遠に続けばどれほど良いだろうか。この修学旅行で幾度となく考えた。霧江と周る修学旅行がこれほど楽しかったなんて思っても見なかった。
ジンベイザメの後は、深海魚のコーナーや珍しい魚、チンアナゴやお土産屋を周った。この敷地内の別館にはマナティやイルカ、カメなんかもいるらしい。
◇
一通り周った後、共哉がトイレに行き、霧江と二人きりになった。
「修学旅行ももう終わるね」
「東京につく頃には、もう暗くなってるし、明日は北海道に帰るし__」
「実質、明日のテーマパークで終わりだよ」
そんな他愛もない会話を交わす。
「あのさ」
沈黙を破るように霧江が切り出す。
「明日のテーマパークのことなんだけど」
「どうかしたの?」
修学旅行の余韻(まだ終わってない)に浸りながら霧江の言葉に耳を傾ける。
「明日、別の人と周る約束しちゃって__。それで、申し訳ないんだけど、明日は一緒に周れないの」
「え!?」
嫌な予感がする。その予感を確かめるように言葉を紡ぐ。
「だ、誰と周るの?男友達?」
「えっと、
「……」
なんで、なんでなんで?どうして?
うまくいってたのに、どうしてこうなった。
きっと霧江は私に気を使って男か女かわからないように苗字を呼び捨てたのだ。それが、付き合ってるみたいで、私に隠しているみたいで気に食わない。
「約束、先にしたじゃん。私の方が……」
「だから、本当に申し訳ない。埋め合わせはちゃんとするから」
霧江を困らせてはいけない。悪いのは修学旅行に浮かれて気を抜いていた私だ。
「ごめん。大丈夫だよ。明日、楽しんでね」
「うん」
そう、心にもにもない事を口にするのだった。
あとがき
ご視聴、ありがとうございました。
補足
なぜ、真面目で優等生である優斗が
優斗は「朝日」の名前自体は深雪と共哉の会話で知っていました。なので、共哉が「朝日」を好きなことも知っています。
ですが、二人は会話中「朝日」と呼んでいた為、苗字は知りませんでした。
ということで、共哉に引け目を感じることなく「望月」との約束を交わしていたという訳です。
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