第24話 スクール・トリップ①

 一週間の秋休みを挟み、後期が始まった。

 二年生の後期のビックイベントと言えば、修学旅行だ。この学校の修学旅行は、三泊四日。前半に沖縄、後半に東京という豪華な日程で行われる。

 今更ではあるが、私たちの住む街は日本の北側で、冬になると雪が積もるような場所だ。そこそこの都会ではあるが大都会とは言えないし、海はないし、本の新巻の入荷は遅いし、不便なことも多い。


 話を戻すが、沖縄なんて遠い場所、滅多に行く機会がないし楽しみだ(二回目の修学旅行)。

 沖縄に関しては文化の違いを感じたり、名物を食べたりするのだが、東京に関しては完全な観光だ。観光と言っても、東京にある有名なテーマパークで遊ぶだけなのだが。

 大まかな日程はこんな感じだ。


 ◇


 修学旅行準備。準備といっても、生徒がやることは殆どなく、しおりは先生が作ってくれるし、細かい日程も決まっている。決めるのは部屋班や座席である。

 部屋は当然男女別で、3〜4人部屋。座席は班のメンバーで前の方がいいとか、窓側がいいとかで決める。


 男女別だと霧江きりえと一緒になる機会が少ない。異性の部屋にだって行けないし、座席でさえ隣に座れない。まぁその分、自由時間は一緒にいるのだが。

 自由時間はおおよそ二回。一回目は沖縄で四時間、国際通り付近を自由に回れる。二回目は東京、テーマパークにいる間は自由時間だ。

 この二回の自由時間に、霧江と一緒に行動することを約束した。だから、私はこの修学旅行が楽しみで仕方ない。


 班の方は適当なところの入れてもらうつもりだ。部屋班には興味が無いから、面倒くさい班長も別の人に任せるつもりだ。


 そんなこんなで、修学旅行の準備は滞りなく進んで行った。


 ◇


 修学旅行当日。他の学年よりも二年生は早く学校に集合して、それぞれのバスに荷物を積んだり、座席に座ったりしていた。

 学校からバスで空港まで移動し、そこから飛行機を東京で乗り継いで沖縄まで行く。一日目は殆ど移動で、沖縄に着くのは五時くらいだろう。

 周りを見ると非日常感にドキドキ興奮しているようだ。

 全員の到着が確認されバスが一台ずつ学校を出た。


 空港に到着した。バスからキャリーケースが次々と下ろされ、各々で自分のものを見つけて取りに行く。

 全てのキャリーケースがそれぞれのもとに渡ってから空港内に移動する。退屈なバスの旅に疲れて眠そうな顔をしている人や飛行機に興奮している人など色々な人がいる。

 その中から霧江を見つけた。手を振ってみるが、霧江の方はこちらに気づいておらずスルーされてしまった。


 霧江と特に何もなく進んでいく修学旅行に焦りと苛立ちを感じ始めてきた。


 キャリーケースを預け、手荷物検査を終え、搭乗待合室で飛行機に乗るまでの十分間の短い自由時間が与えられた。それぞれが飲み物を買ったり、トイレに行ったりしている中、私は霧江を探すことに集中していた。探すと言っても、解散時はクラスで固まっていたので見つけるのに苦労はしなかった。


「霧江!」

「あっ、あおい。沖縄楽しみだね」

「うん、そうだね。楽しみ」

「蒼は飲み物買った?」

「いや。多分CAさんが運んでくれるよ」


 一回目でも修学旅行は体験しているため、おおよその事は分かる。でも、かなり前のことだし細かいことについては抜け落ちている。

 それでも、飛行機内でCAさんが飲み物を渡して回っていたのは覚えていた。


「そうなの?でも一応買っておこうかな」

「なら私も買おうかな」

「何にする?やっぱり炭酸?それともお茶?」

「霧江とおんなじのにしようかな」

「どうしようかな?」


 自動販売機の前まで来て飲み物を選んでいる。霧江は上の列から下の列まで順番に見回してから「お茶にする」と私に確認を入れてからボタンを押した。

 私も霧江と同じお茶を購入し集合が掛かるまでの間、楽しく雑談をするのだった。





あとがき

 ご視聴、ありがとうございます。

 深雪たちの住む街は北海道のどこかにあります。

 なんでもその街は、動物園が有名で、川が多くて、山に囲まれているんだとか。

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