煩悩まみれなのが推しに駄々漏れで聖女失格です?
まるめぐ
第1話
あたしの人生の推しは少女小説の当て馬キャラ――セオドア様だった。
初めは単に彼のキャラデザインが好みドンピシャだったから。でも何度も何度も彼の出るシーンを読み返しているうちに、たとえそれが作者の創った設定だったとしても心に棲み着いてしまった。
彼の生き様に、空想世界の住人の彼に惚れ込んだ。
だから、彼を思う存分堪能できる奇跡の夢のような時がもしも訪れたなら、その夢の時間を絶対に無駄にしないとそう思って白髪としわくちゃ顔になるまで過ごした。
ああ勿論夫とは全く別の次元でセオドア様がラブなまま、あたしは日本人としてのあたしの大往生な人生を終えた……んだけど、――奇跡が起きた。
何と、彼と同じ世界に転生した。
胡蝶の夢どころじゃない。
小説世界、或いはこの宇宙に無数にある次元の一つに本当にあったこの世界に。
地球人だった前世じゃ人の考え得るものはこの世に存在するなんて言われもしたし、例の小説世界がどこかに存在している世界だとしてもおかしくはない。肯定できるものも否定できるものもないもの。
何であれ、あたしにとっては現実で、そこに彼が存在しているのも真実だった。
だから、奇跡を知ってからは内心ちょ~う舞い上がって物陰から、茂みの中から彼を視線で愛でた。
累計精神年齢百歳くらいのあたしからすると、可愛いわね若い子って!……と思うわけよ。
ただね、セオドア様――セオ様は物凄く気配に敏感なお方なのか勘が良いのか、あたしがゲヘゲヘ鼻の下を伸ばしながら隠れて見ていると突然ビクッとしてキョロキョロし始めて最終的にはこっちを的確に振り向くから、うっかりバッチリ目が合っちゃうのよねー。木の上に潜んでいても見つかる。不思議だわー。
いつもどこか引いた目をしていたっけ。
こっちから見えるって事は向こうからも見えてるって事なのはわかるけど、それにしたって彼の察知能力は異常だった。
だけど、生の推しを愛でられる日が来るなんて、ああ無上。
駄目出しされるとか禁止されるまでは、しばらくこの推し活ライフをエンジョイしようと思う。
お気楽にもあたしはその至高の幸福が続くと疑いもしなかった。
ああっその顔すっごく好き!
国王陛下ってだけでも世のレディ達の憧れと垂涎ものの肩書きなのに、こんな未来永劫眺めてられるハンサム顔って素敵過ぎよ。
ヤバい表情筋弛む。デヘヘヘ。ああ駄目駄目表情キリッ、キリリッ! だだだだけどこんなのもう耐えられないでしょっ!
「――聖女アリエル!」
厳かな、それでいてやや強い語気の男声にあたしはハッと我に返った。
国内最高級の豪華な調度で囲まれた王宮のとある一室、国王が賓客と会談するための特別な応接室で、あたしの向かいの革張りソファーに堂々たる威容で深く腰掛ける若い男性はこの上なく真剣な顔付きでこっちを見つめている。
その男性とはお察しの通り栄光の国王陛下かつあたしの永遠の推したるセオドア・ヘンドリックス様その人だ。
そうっ、本人なの! きゃあーヤバいっ、セオ様ってば相変わらず声まで美しいんだから! 毎日毎晩寝てる間も余裕で聞けるし聞いてたい! 腕枕して耳元で囁いてーーーーッ!
「聖女アリエル!」
「あ、ほほほ、申し訳ありません。少し疲れているのかボーッとしておりました。何でしょう、陛下?」
「へえ、ボーッと……ね。ごほん、それがだな――」
あたしは内心の過激な煩悩を悟られないように究極の猫被り、ううん淑やか聖女演技全開で顔面に微笑みを張り付ける。さりげなさを装ってティーカップを手に取ると、あ、つい癖で小指立っちゃった、戻し戻し……。
うっかり微笑みが崩れる前に一口飲んで、二口飲んで、三口飲んで、落ち着くための時間を稼いだ。まあ最終的にはいつも残り一滴まで文字通りの時間稼ぎに飲み干していくんだけど。コンマ一秒でも推しと同じ部屋の空気を吸いたいもの! ス~ハ~ハ~、この調子でセオ様の匂いも嗅ぎたいな~あ。
二十一歳とまだ若く、この世界で一番って確信する超絶イケメン陛下は何かを言いかけたものの何故か固まった。
あたしを見つめる彼の高貴な紫色の瞳が堪らないっ。きっと
「くっ……そなたは人の話を聞こうと言う気があるのか、聖女アリエル・ベル!」
「は、はい? オホホすみませんわたくしまた天の声が唐突に聞こえてきて意識が飛んでしまいましたわ」
あーいけないいけない、うっかりだらしなく涎垂らすとこだったーっ。
これまた誰もが誉めそやす聖女の神々しさに満ちた笑みを浮かべると、体調でも悪いのかすっかり青い顔をしているくせに気丈にも表情だけは凛々しい麗しの国王陛下は、しっとりしたカラスの濡れ羽を思わせる黒い前髪の下の眉間を押さえて小さく揉むと、一度疲れたように盛大な溜め息を吐き出した。
アンニュイ姿でさえも素敵な絵になるわ。その吐き出した息を余す所なく吸わせて下さい。きっと生まれながらにミントとかローズフレーバーでしょ? シトラスかもしれないけど、――ウェルカム!
「うぐっ……じ、実は前々から言おう言おうとは思っていたんだ、そなたの私への煩悩というか欲望そのままの思考についてを」
そう言いながら彼は何故か急に手で口元を隠すようにした。まるで吐息がなるべく漏れないようにしているみたいに。
「はい? ええと、わたくしの…………煩悩、ですか?」
とりあえず訝りは置いておいて意外な単語に反応する。でもあっはっはっ陛下ったら清らかなる聖女のこのあたしに向かって煩悩だの欲望だのなんて、突然何を言い出すのかしらあ? 内心そう笑い飛ばしつつあたしは清楚な聖女の笑みを崩さない。
「ああ、そなたの破廉恥なまでの欲求の数々がな」
「陛下、破廉恥な欲求だなんて、急にどうかなさったのですか? もしやわたくしにムラムラと?」
「違う!」
「あ、そうですよね、見当違いを言って申し訳ございません」
うーん、なら本当に何したの?
ああでも気難しい顔しててもカッコイイ!
今すぐキスしていいですか!?
「――いいわけあるか!」
え?
「へ、陛下?」
「合意を伴わないキスなど、そなたは聖女でありながら悪漢の真似事をするつもりなのか?」
今何て? キスって言ったキスって?
何てタイムリーなと思いつつ、その一方であたしは心配でおずおずとして確認する。
「も、もしかしてわたくし、何か変な事を無意識に口にしておりましたか?」
「直接の声には出してはない……が、聞こえたな、――そなたの思考が」
「…………え?」
何を馬鹿な事を言っているのか。笑みを消し困惑に眉を歪めて首を傾げれば、彼は理解の悪いあたしに苛立ったようにした。あと自らの発言に少し耐えるようにも。
だってねえ、フツー相手の心の声が聞こえるなんて頭大丈夫?って感じでしょ。本人もそこはわかっていての発言みたい。まあでもお、あたしはそんな痛い男だろうと陛下ならあたし自身に
「それだよそれ」
「はい? ええと何がそれなのですか?」
「だから、心の声。聖女アリエル・ベル、そなたの心の声が丸聞こえなんだよ」
は? あたしの心の声? ……アタシノココロノコエ~?
「そうだ、それそれ、今片言っぽくも言ったそのそなたの危ない内面の思考がな、結構前からこっちに駄々漏れなんだ」
「は……い? 駄々……漏れ……? 駄々漏れえええ!?」
「ああ、今だってキスしていいかとか、私を毛布にとかいう、そなたの心が紡ぐ恥ずかしい性的欲求がダイレクトにな」
「……」
え、なに、つまり、私の痛過ぎるセオ様への脳内プレイが全部全開? 思い切りご開帳?
毎日セオ様の服を剥きたいとか、あたしに押し倒されて羞恥に染まる涙目で見上げてほしいとか、その端麗な顔ペロペロしたいとか思ってるのを全部? そういう意味?
改めて目を向けたら、セオ様はつるんとした頬を押さえて警戒心を強くしたようだった。
あはは、ガチで人の思考を読めるなんて偉大な魔法使いでもない限り無理でしょー。精神関係の魔法なんて、彼はそこまで細かいのは得意じゃないはずよね。どっちかって言うとダイレクトに物理攻撃をするような魔法がメインで、剣にそれを伴わせる。彼はソードマスター、剣聖として優秀だから。
「ああ、剣魔法ほどにはその他の魔法は得意じゃない。しかし、何故かそなたの欲まみれの心の声が頭に響いてくるんだよ。というか、嘗めるとか服を剥きたいとか勘弁してくれ……」
セオ様はげんなりとして俯くと片手で顔を覆う。
「そ、そのセオルだかセオ様というのもやめてくれ」
「なっ何でその呼び方を!?」
「だから、思考が丸聞こえだと言っているだろうに」
「な、な、な、な……っ」
愕然とした。そんな、まさか、本当にそうなの!? 誰か夢だって言って!
「残念ながら現実だよ。これがそなたの聖女の力の一環なのかはわからないがな。少なくとも私の力じゃあない」
ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!
狂気染みたあたしの心の絶叫に彼はビクッとなった。
嗚呼、これはもう聞こえてるの確定だ……。
なら聖女の仮面の下から盗み見ていたあたしの誰にも言えない欲求が、よりにもよって本人に知られていたってわけ?
セオ様はこくこくこくと首肯する。
なんてことーーっ! 今すぐにでもあなたを食べちゃいたいって実は相当内心ではあはあしている思考も筒抜けてます!?
蒼い顔で耐えるように目を閉じたセオ様はしかと頷いてみせた。
反対にあたしの顔は見る間にトマトみたいに赤くなる。まるで噴火寸前の火山みたいにカカッと一気に顔に血液が集まる。
「頼むから私での妄想はもうやめてくれ。聞くに耐えないし、そもそも清らかなる聖女が考える事柄としては甚だ不適切だろうに。今日はそれを言うためにわざわざそなたに来てもらったというわけだ。……こっちもそろそろ精神衛生上我慢の限界だったもんでな」
ああ道理であたしの気配に敏感なわけだ。納得。
これまでの自分を思い返すととてもじゃないけど平然とすまして彼の前に座ってなんていられない。
前世の夫の前でだってここまでの恥ずかしさを感じた記憶はないのにいーっ。
「……夫?」
セオ様が不可解そうに眉をひそめた。そんな事には気が回らずにあたしは頭を抱えた。
煩悩まみれの腐れ聖女なんて前代未聞。
……ううん、違う。もしかしたら密かに煩悩まみれだった聖女は過去にもいたかもだけど、露見するのが前代未聞なんだわ。
不適格として聖女の称号を剥奪されかねない。そうなれば不埒な教会の面汚しめってほっぽり出されて路頭に迷うしかなくなる? そうなれば故郷に帰ったって鼻つまみ者よね。家族に迷惑がかかるから帰れないわ。
更には陛下が女性不信になってたらあたしのせいだわごめんなさい。
「そしたら陛下の跡継ぎいなくて国の将来が暗黒になって……そんなそんなそんなどうしよう~っ!」
「勝手に決めるなっ」
あたしは終にはおしとやか聖女アリエルらしからぬ実際の絶叫を上げたけど、うふふふ、だいぶ前からわかっていたらしいセオ様は冷静至極にも大層残念な人を見る目をなさってた。
あたしアリエル・ベルは聖女だ。
でも生まれながらに聖女だったわけじゃない。
そして生まれながらに自分が転生者だって知っていたわけでもない。
平民の娘アリエルとしてこの世界の他の住人と同じく自分の人生を普通に生きてきて、ある時突然力の覚醒と一緒に思い出したのよね。
因みに聖女は生まれを問われない。
その力ゆえに聖女は聖女だからだ。
貴族だろうと平民だろうと賤民だろうと、存在が露見し教会に入った時点で一切のしがらみは断ち切られると言っていい。
無私の存在となり、親族との繋がりは最早なくなる。その代わり衣食住に何不自由はなく、清潔で安全な環境を約束されるってわけ。
本人が望む望まざるにかかわらず、ね。
ただ、大抵が幼くしてその力が発覚し聖女教育に放り込まれるから、歴代の聖女達は俗世の汚れを知らず心胆から純粋で清らかで自らのその有り様に疑問を持たなかったみたい。
……あたしと違って。
そう、当代の聖女アリエル・ベルは違っていたの。
何しろ、長年空席だった聖女の椅子に座ったのは物心が付きまくって煩悩もたっぷり育った花の十六歳の頃だもの。
この前十七歳になったばかりで、聖女歴は実質まだ一年にも満たないひよっこ聖女。頼りないと思われても仕方がない。
だけど、治癒魔法能力は歴代随一なんだって。イェイ!
そんなあたしだけど、さっき言ったようにある日突然その聖なる力に目覚めたの。それまでは一切魔法も使えず何も聖女たる片鱗はなかった。前例のない事象なんだって。
当初はあたし自身もとても驚いたものだったわ。
そりゃあね、聖なる覚醒と前世を思い出すのとが一気に来たらそうなるわな。
聖女になる以前の日々は魔法のまの字も思い浮かばないくらいに忙しく、くたくたになるまで土にまみれて働いていた。
あたしは田舎の農家の娘で、畑仕事が日課だった。
しかも縁がないというのもあって、名前を知ってはいても若き新国王の顔さえ知らなかった。巷の、特に都市部では彼の即位と同時にブロマイドが当たり前のように出回っていたので彼の顔を知らないなど到底あり得なかった。
あたしの暮らす村でもさすがに新聞はあったけど見る暇もないくらいに冗談抜きに多忙だったのよね。その頃のあたしは不運にも両親が同時期に怪我と病に臥せってしまって、まだ幼い弟妹を養うためにも主に一人で家の畑仕事に専念しないといけなかったから。
とは言え、いくら国王の顔を知る機会がなくとも、また、恋人を作る暇さえもなくてもあたしだって乙女だ、恋愛願望はあった。
美男を見れば普通に心がときめく。
だから、生まれて初めて見たとんでもない美男子に一目惚れだってするわ。
そして、その美男子は奇しくも村を訪れていたセオドア陛下だったりした。
彼は即位一年を区切りとして地方視察を開始していて、その流れであたしが暮らす村にも訪れたという次第だった。村では村人総出で国王一行を出迎え歓待して、だけどそこで野生の熊よりも質が悪い魔物熊が現れたの。
野生種と異なり魔物は眼が赤いのですぐにそれとわかる。加えて人を好んで襲い好戦的でもある。
逃げ惑う村人達を背後に庇い陛下と彼の護衛達は応戦し、その最中、彼は怪我を負った。
魔物の襲撃を知らずに遊んでいた村の子供が不意に魔物の近くに姿を現して魔物を見て恐怖に硬直したの。魔物だって遠くの強そうな獲物よりも近くの弱そうな獲物をまず狙う。子供は逃げられずあわや襲われるか、というところで陛下が咄嗟に庇った。
討伐それ自体は怪我にもかかわらずその魔物を仕留めた陛下と彼の優秀な兵士達のおかげもあって終わったわ。
『皆さん大丈夫ですか!?』
あたしはちょうど陛下の止血をと兵士達が騒いでいた所に来て状況を見て慌てた。
村人総出でとは言ったけど、あたしと弟は畑仕事の手が離せず遅れていたのよね。
先に畑を離れた弟はあたしを見るなり抱き付いてきてべそべそ泣いて事情を説明してくれた。
魔物に襲われてあのお兄ちゃんが助けてくれたんだって。
あのお兄ちゃんが国王陛下だって事は少し後で知った。
まだ陛下の顔を知らなかったあたしは弟から言われるままに恩人を見やって、まあ、その、大変な状況なのに不謹慎にも恋に落ちたってわけでしたー。
けどボーッと見つめている暇はなく、すぐにも彼を手当てしなければと焦った。
村には王都にあるような即効性のある高価な薬はない。教会に属する治癒魔法の使い手もいない。言っておくと、教会の聖職者は聖女レベルとはいかないまでも微力ながら治癒魔法が使えるの。
近隣から医者が来るまで包帯で患部を縛ったくらいでろくな処置も期待できない中、案外深い肩の傷から滲む赤と彼の苦しそうな表情に胸が痛くなったあたしは弟の恩人をどうか治したいと切に願った。
自分に治す力があったならいいのに、と。
刹那、辺りに天から光が降り注いだ。
あたかも一人の人間にスポットライトを当てるみたいに。
そしてあたしは覚醒した。
怪我人は陛下以外にもいたけど、白い清らかな光を纏ったあたしが悟ったように両手の指を組んで願うと、大きな白い魔法陣が空に出現し広い範囲に白光が放たれた。
眩しさに閉じてしまった両目を全員が開けた時、何と魔法領域内の皆の怪我が快癒していた。偶然範囲内にいたあたしの両親も。
聖なる癒しの魔法光は、教会の書物に伝えられている聖女の所業そのものだった。
誰もが信じられない面持ちであたしを見つめた。
あたし自身も嘘でしょって信じられない思いで頭が一杯だった。
だって前世を思い出して、しかもこの世界が推しキャラのいる小説世界と全く同じなんだって理解しちゃったから。
しかもアリエル・ベルがどういう登場人物なのかも同時に悟ってしまったから。
もっとあるわ。セオ様が目の前に存在しておられたからっ。
最高かっ。
直後、あたしは脳内キャパオーバーして気を失ったっけね。
その後、あたしがこんな田舎に置いてはおけない逸材だとして王都にお連れされた。
無論家族の同意は得ている。あたしのも。畑はすっかり健康になった両親に任せたわ。
王都行きの馬車の中にはセオ様もいた。マジラッキーとあたしはずっとじっと頬を染めて彼を見つめていたものだった。
この時はまだ正式に聖女じゃなかったからなのか、彼にあたしの心の声は聞こえず、彼の方も自分を救ってくれた相手はちょっと危ない表情の変な娘だとは感じていても、多分それだけだった。
王都入りしたあたしは教会に連れて行かれてそこで個室を与えられて、改めて力の精査をやったのよね。その結果、晴れて聖女認定に至ったのでしたー。大聖堂で聖女就任の儀式もやったわ。
あたしの覚醒はセオドア・ヘンドリックスを救うためだった。
目撃者達はそう語る。あたしと彼には他にはない縁がある。
聖女誕生には、傍から見れば運命的とも言えるようなそんな経緯があった。
運命的な出会い。
しかし、当人にしてみるとそうでもない場合もある。
若き国王セオドア・ヘンドリックスにとってはそうだった。
彼には今日も例によっての聖女アリエルとの面会がある。
公務なので余程具合でも悪くない限りは避けられない。
アリエルからの先日の不意討ち絶叫は実は心身ともに堪えたが、今日は動じるものかと彼は心して一人豪華な応接室で待つのだった。
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