第19話 しまっていこ~っ?
「────へえ、こんなところなんだ」
やってきたのは、某おしゃれなビルで有名な社屋の屋上。
いやぁまあここにたどり着くまでに、今まで入ったことのないようなガラス張りの入り口を潜り、ピカピカの大理石かな?何コレ俺達、靴で踏んでいいんかなって床を長々と歩き、いろんな大人に、え?なんで学生がここにいるの?って顔で見られながら、これまたガラス張りのエレベーターに乗ってやってまいりました最上階。
というか、かなり綺麗に手入れがされている屋上庭園。
「こんなところにお社ってあるんだ、へ~」
「場合によってはね、それなりに手続きはいるんだけど」
まあ、そういうのはいいや。俺等にはたぶん管轄?が違うから。
「あの写真合ってたんだね~」
「ちょと散らかってるけど」
もやっとしてて見えにくい写真だなんて思ってすいません、本当に周辺に靄ががってました。
空は青空なんだが、屋上全体が見えにくい。
きれいな庭園に、臨時に用意されただろう机やら供えられていた野菜や果物が、あちらこちらに散らばったままだ。あっめっちゃおいしそうなリンゴ発見。
「あれ以来誰も入ってないからな。三日前よりひどくなったなよな」
「なにか周辺から更に集まっている感じですね」
二人組はお社の変わりように辺りを確認して回っているが、俺たちには関係がないので二人を無視してサクサク事を進めます。
「はい、二階堂。これでいい?」
エコバック(俺はちゃんと持ってる派)からゴソゴソしながら『○〇リース』を取り出し、二階堂委員長に一缶渡した。さっき途中で寄ったドラッグストアで仕入れてきたのだ。
ありがたいことに、財布はあちらさん持ち。
「うん、あんまり派手に出来ないし、たまには地味な力押しでいこうかなって」
───── 地味って何?地味の力押しって
先生は渡された『○〇リーズ』をマジマジと眺めながら
「なぜに『フローラルの香り』?」
「だってなんか、効きそうな感じがしません?」
「えっそう?そういうもん?まあいいか。みんなラップはがしましたか~?じゃあさっさとやるか。位置について~」
「え、ちょっと、何をはじめる気なんですか?」
メガネの人が訊ねてくるが、誰もそれには返事をせず、お社と二人を囲むように四方に散った。
「『そこから動くなっ!!』」
────ひっでぇ、先生。問答無用で二人をその場に縛っちゃった。
突然動きを封じられは二人は驚愕の表情だが、先生は二人の背後を視ていた。
二人とともに『本星』も足止めしたのだ。
ヤツも何やらこのままではマズイと察知したのか、黒霞が揺らぎ始める。
「あっ逃げられちゃう。いくよっ!───『いちっ!』」
「『にっ!』」
「『さんっ!』」
「『よっよん!』」
─────キィン、と四人がかりの結界が足元に形成された。
いえ~い。モブの俺だって、これくらいできるもんね~。
他の三人はチート勇者だけど、タイミングを合わせてもらえれば俺だって『四方結界』の一角できるもんね~。けっして、緊張のあまり噛んでなんかいないもんね~。 むふ~ん。
さて、仕上げと行きますかね。
「しまっていこ~~!」
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