エピソード2 「神様」

 私は部屋に突然現れた自称「神様」を見て、その場から動けなくなった。思考も一瞬止まった。そしてなぜか、自称「神様」を不審者として追い出すのではなく、信じてみることにしてしまったのだ。

 もし仮に、「神様」が寮の自室に来たなんてことを誰かに話したら、頭がおかしくなったのかと心配されるだろうと、ぼんやり思った。

 そもそも神様はいないんじゃないかとか、絶対にいるとか、そういったくだらない論争は一旦置しないでおこう。自称だが、一応私の目の前に存在しているのだから。


 どうやって私の部屋に入って来たのかとか、どうして私の部屋なのかとか、色々聞きたいことはあったが、果たして聞いてみてものいいのだろうかと無駄に悩んでいた。


 「あぁ僕はね、ホンモノの神様だから、ひょいって現れたり、ササッて消えたり、こうして君の考えが手にとるように分かっちゃうんだよ。あ〜君の部屋を選んだのは、なんとなくだね。人間増えすぎだなあと思って。」

 笑顔で自分の趣味のことについて話している時のような、浮かれた口ぶりで話していた。神様は絶対に敵に回さない方がいい。という、今後一切必要のなさそうなことを学んだ。

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