第11話 疑心暗鬼

ザペルside

カインは床に寝そべり、ぐったりしている

あいつがこうなるのは初めてだな

正直、俺も気が狂いそうだ

シスターさんもゲールさんもいい人だった


──モフテルと再開出来たことを願おう


俺らは俺らのやることをする

レーアさん、白狐さんも連れて別の部屋へと案内される

するとレーアさんの知り合いが居たそうで

それもくっっそでけぇ人達

……人と言って正解なのか??

ありゃあもう人外だ

電球の奴はすげぇ落ち込んでるし、そいつを慰めるようにピエロっぽい人が隣にいる

あいつらも同じ光景を見たのだろうか

そこにいるヤツらは悲しく、冷たい空気に包まれていた

そして俺らの知らない奴がまた入ってきた


──しかし、ここはデスゲーム


「……警戒しておくか」

俺そう言いながら、そいつらを睨んだ


ウルボside

僕達は別の部屋へと案内された

美味しそうなお菓子や飲み物も沢山置かれている

ふかふかなソファやぬいぐるみなど癒される物もあって、ここがデスゲームなんて忘れそうなくらい幸せな空間になっていた

そして目立つ看板を見る

【休憩所:自由に食べて良し、寝てもよしリラックスできる場所】

「……休憩しろってことか?あんなもん見せられて食欲湧かないんだけど…」

メイさんが呆れながら言う

正直、僕も食欲は無い

けど甘いものが好きなのでお腹空くのは事実

……デザートは別腹と言えばアリかな?

「……なんだ?あんたら」

知らない人の声

横を見れば大盾を持ち、僕たちを警戒するように聞いてきた

彼の後ろには身長の高い悪魔のような姿の人と小さなローポリさん

そして敵意の目で僕らを見ている剣士の人が居た

「え?!私たち狙われてるの???」

「いや見ればわかるじゃん……」

困惑するヒナミィさんに呆れながら言うメイさん

すると、けけさんが静かに前に出た

「驚かせて申し訳ないです。僕達もよく分からない状況で………突然このゲームに巻き込まれて今ここにいるのですが……」

すると大盾の人はキョトンとした後、盾を下ろす

「は?……どういうことだよ…」

そう彼が言うと突然アナウンスが響き渡る

『それは、私からご説明致します』

どこからかモニターが僕たちの目の前に現れた

『このゲームではAブロック、Bブロック、Cブロックと3つのブロックに別れておりました』

「……おいまて…………そんな説明なかったぞ…」

大盾の人が言った通り、そんな話は1度も出てこなかった

すると、もかのすけさんの顔が青ざめ言う

「まさか……あの処刑って………」

その言葉に、僕も理解してしまった

『はい…Aブロックが5名、Bブロックが16名、Cブロックが18名……20名以上超えてしまった為、このような処置を取らせて頂きました』

「んなもんありなのかよ……ふざけんな…それで数合わせの為にテテルを殺したのかよ!!!!」

剣士の人は怒り狂った

大盾さんが彼を静止する

僕は一瞬怖くなり、もかのすけさんの後ろに隠れた

「おい娘。その話は誠か?」

奥からまた何人かのプレイヤーさん達がこちらに歩み寄ってきた


レーアside

「おい娘。その話は誠か?」

ラケルタ殿が黒に声をかける

『……嘘はございません』

するとフロアが前に出た

歩くにつれて怒りが増してゆく

「何故あのようなことをした」

『先程申し上げました通りです』

「何故我が子なのだ」

『無作為に抽出された結果です』

「何故我の力を奪った」

『公平にするための結果です』

「何故、我は生きておる」

何度も───何度も質問が繰り返される

そして彼女はロボットのように答える


"それが結果ですから"


「……結果はどうだってよいのか」

『………それは私に対して仰っているのですか?』

「お主以外誰がいる」

『…私からはお答えできません』

娘はそう言ってフロアの質問を無視し、次のゲーム説明を始めた


──上層部──

巳魔狼side

デスゲーム開始1週間前

自分たちは上層部に立ち入っていた

マスターから呼び出しがあり会議室に行くが正直行きたくは無かった

上層部にいる人達は化け物ばかり

kkiさんと2人で会議室に向かう

会議室の扉を開け、中に入るとそこには幹部たちが勢揃いしていた

「……お呼びでしょうか。我がマスター」

自分がそう言って礼をする

kkiさんも同様に一礼

正面の玉座に座り、足を組みながらマスターはニコニコしながら言ってきた

「よく来てくれたね〜。楽にしていいよ」

そう言われ、皆顔を上げる

「パゴちゃん。後はよろしくね」

「……かしこまりました」

マスターの横に立っているメイドの服を着た水色髪の少女

彼女は名をパゴニア

上層部に存在することは知っているがそこまでの実力があるのかは不明の人物

彼女はマスターにお辞儀をした後、こちらに体を向けて話し出す

「これからおふたりに挑戦者の方々を脱落させ、地獄を見せてください。しかし負けてしまった場合、おふたりの"欠片"を回収させていただきます」

彼女の言っている欠片というのは自分たちで言う魂だ

幹部の1人である黒という女が全ての欠片を管理する役割を果たしている

「んだよお前ら。黙ってるってことはビビってんのか?」

彼は双子吸血鬼の兄であり幹部の1人

名をゼロ・クラウス

机に足を乗せて偉そうに喋る

「…兄さん。その足早くどかして。邪魔だから」

ゼロの向かい側に座り、呆れながら言う彼は双子吸血鬼の弟

彼もまた幹部の1人

名をゼル・クラウス

「まぁいいんじゃねぇの?マスターさんもなんも気にしてないっぽいし。ですよね?マスターさん」

そういう彼の隣に座っている彼は名をオール

剣士の中でも優秀で1人で20名ほどを殺したとか

「それがゼロくんだしねぇ〜。まぁこの子達も参加するし指導はアラタくんとレイくんに任せるよ」

「「御意」」

マスターがそう言うと2人は目を閉じたまま了承する

金髪の男、アラタもまた剣士であり1人で30名程を殺した実力者

レイという少年は小柄ではあるがすばしっこい故に実力も計り知れないと言われている人だ

「いいなぁ。俺も戦いたいんだけど」

羨ましそうに言う彼は炎使いのカエン

彼もまた何人もの人を殺した者

炎の能力を所持しており、他にも何人か火炎系の能力を所持している人は居るがその中でもトップクラスである


「まぁいいんじゃないの?どうせ、つまんなくなって戦うんだから」

机に肘を乗せ、そういうのは、黒の服装でシルバーのショートヘア

左目の肌には刺青入っている

彼女の名はロウ

毒を得意とし、敵に回せば直ぐに殺されるだろう

「もし、本番まで生き残りが居るのなら……"全力で殺しに行け"」

マスターの笑顔がゾッとする

彼女の言うことは絶対

「「……御意」」

自分とkkiさんは命令に答えるだけ

部屋を後にし、1人で自然の空間へと向かう

空気が美味しい

ひとつの大きな樹木が佇む

大きな樹木に登り風に当たる

「……早く帰りたい」

そう静かに呟いた


???side

人々はいつも通りに会社や学校、バイトへ向かう

そんな中、テレビから聞きなれたニュースが飛び交ってきた

『次のニュースです。現在騒がれている仮想世界事件で新たな情報が入りました。○○病院で10名の死亡が確認されたとのことです。また死因は様々で大量出血や窒息死など。現在も捜査が進められ……』

ブツンッ…

聞きたくもなかった話題

私はすぐさまテレビの電源を切り駅のホームへと急ぐ

いつも通りにSNSを見る

『また死者が増えてる…俺のフレンドと連絡つかないし心配』

『不安でしかない。これからも増えるのかな』

『死因も違うんでしょ?一体何が起きているのか…』

スクロールする事にみんなの不満が飛び交っていた

もうかれこれ3ヶ月は経つ

未だに彼らからの連絡もない

私は不安でたまらなかった

『おはよ』

1つの通知が来る

私はアプリを開きメンバーを確認する

アンノン、飛鳥、げも、みるく姉さん………今日も居ないか

少し期待した私が馬鹿だよね

事件が発生したあの日からりょふやしろちゃ達の姿を見なくなった

1週間経つと不吉なことを考えてしまう

もしかしたらあの事件に巻き込まれたのではないか

もう既に死んでしまっているのではないのか

不安が襲う

いつの間にか勉強も頭に入らなくなってきた


─天界─

そんな不安の中、天界へ戻ると何やら天界が騒ぎ始めている

私は仕事を終わらせ、アマテラス様から呼び出しがあり、すぐさま駆けつける

「来たか…管理人」

アマテラス様は私を見つめる

「ご要件は?」

「現世の事件。お主も耳に入っておるな」

その言葉を聞いた瞬間、私に緊張感が走る

「……存じております」

「なら話が早い」

そう言ってアマテラス様はふよふよと空中を歩きながら話す

「憎き人間共が作ったAIが暴れ、今の騒ぎになっておる。なぜあやつらはこれでも懲りぬのかさっぱり分からぬが、これ以上死者が出れば閻魔様もお気に触る。最悪お怒りになるであろう」

死者が増えれば天界、地獄にも影響はでる

仕事量も増える一方なのも分かるが最大の問題はそこでは無いということ

「一気に死者が天界、地獄へ送られるとなれば世界も崩壊に繋がってしまう。それも全世界が巻き込まれている事件、故に残酷であろう」

全世界の崩壊

これは最大限避けたい問題

「お主は仮想現実とやらが詳しいであろう。そこで今回の件の指示はお主に任せたい」

「……よろしいのですか?」

「構わぬ。…正直妾もお主達を見て楽しんでおったからな。彼らにもお礼がしたい」

アマテラス様は私の意識を見て楽しんでいる姿をたまにお見かけする

あの方も少しは気にかけているのか

珍しいこともあるんだね

「よろしく頼むぞ」

「……お任せ下さい…アマテラス様」

私はそう言って礼をしその場を後にした



「……翠麗(すいれい)はおるか?」

アマテラスは彼女を呼ぶ

「お呼びでしょうか。アマテラス様」

彼女は大きな水滴のからポチャンと音を立てながら姿を現す

水色のシンプルなドレスで彼女の周りにはふよふよと水滴が数滴浮かんでいる

翠麗は水の大精霊の一人でありあらゆる世界にある水の生みの親とでも言えるべき人物

「あやつの様子はどうだ?」

「頑張っておりますよ。とはいえ、あの子に行かせても大丈夫なのでしょうか」

翡翠は心配そうにアマテラスに聞く

「大丈夫であろう。あやつは天使の成り果て。死んだところでまたここに戻ってくるだけだ」

アマテラスはその後、仕事だ仕事だと言い呆れながら作業に戻る

「相変わらずですね。アマテラス様は」

翡翠はニコッとしながら、心配している彼女を天から見守った



ウルボside

次のゲームはバトルロワイヤル

ゲームマスターさんが用意した人たちと戦って生き残れば次へ進む

そしてそれぞれに能力と武器を付与されるらしい

宝箱のようなものが置かれており、開けてみるとそこには沢山の宝石があった

赤、青、緑、黄色など様々

一人一つだけらしい

慎重に決めなきゃ

『そして、ラケルタ様、コルニクス様、フロア様、ネオンダンテ様、レーア様には所持していた力を1部お返しします。その為、そこにある宝石はお持ちにならないようお願い致します』

他のプレイヤーさん達のことだろうか

元々強いのかな?

さて……どの宝石を選ぼう

迷っていると、剣士さん、大盾さんが早速前に出た

大盾さんは赤の宝石を、剣士さんは白の宝石を手に取る

すると宝石が強く光り出す

しばらくして光が収まる

しかし彼らには何も変化がないように見えた

「……カイン…なんか変わったか?」

大盾さんがキョトンとしてそう言うとカインさんと呼ばれる人が首を横に振る

後に可愛らしいローポリさん、他のプレイヤーさん達が宝石を取りに向かう

それに続くよう僕達も取りに行った

もかのすけさんは黄緑を、けけさんは深緑を、ヒナミィさんは薄い黄色を、メイさんは紫色を───

そして最後の僕はまだ迷っていた

僕に合う物ってどれなんだろう

じーっと見ていれば水色に輝く宝石が目に止まる

「……綺麗」

小さくボソッと言いながら水色の宝石を手に取った

視界が眩しくなり目を瞑る

「え……ウルボくんそれ…」

けけさんの声で僕はハッとする

目の前にはぷかぷかと浮かぶ水滴があった



レーアside

我は宝石に目をやる

その宝石たちからは魔力が感じられた

それも様々で炎、水、風、光など全ての魔力が込められた宝石たちだと分かる

カイン殿には光の魔力、ザペル殿には炎の魔力

2人は魔力が宿されても気づいていない様子であった

これがいわゆる能力と言ったところだろうか

詳細は不明だがこれを取らずとも我は負けぬであろう

我が子がキラキラとした目で宝石を眺める

悩んだ末、選んだのがオレンジ色に輝く宝石

宝石を掴めば、我が子に魔力が宿される

しかし何故だろう

感じたことのある魔力

それも何度も

これは────

"イグニス殿の魔力だ"

なぜここにある

まさか既にこの世から……

いや落ち着け

このゲームにいたのなら感じ取れていたはずだ

なら何故──

「……はは?大丈夫?」

我が子が我の服をぐいっと引っ張る

「あぁ……大丈夫だ」


考えすぎか


カインside

やつらの方を見れば1人の少年が能力に目覚めたらしい

──あれが魔力というものなのか

ゲームで何度も見たことあるものだが、このような形で見るのは初めてだ

体が軽くなったという感覚がなければ、力が湧き上がった感覚もない

本当に能力を貰ったのかと不思議に思うくらいだ

レーアさんはそういうのにとても詳しいらしく、俺たちにも授かっているとの事

「だが発動できるようになるまで個人差がある。あの少年には水の魔力がとてもあったのだろう。ちなみにカイン殿には光の魔力、ザペル殿には炎の魔力が付与されてるはずだ」

レーアさんはそう説明してくれた

「…そうですか」

俺はボソッと呟き片手を見る

慣れるまで少し時間かかるのか

俺たちは時間になるまで、それぞれの能力確認や次のゲー厶の準備をした


メイside

皆それぞれ休憩を挟む

のんびりと喋る者、少しばかり準備運動をする者など様々

そんな中、俺たちはそれぞれの武器や能力の確認をしていた

こんなゲームを早く終わらす為に

「それで?まずウルボくんは何を手に入れた?」

もかちがそう聞くとウルボくんはオドオドしながら応える

「ぼ…僕は水です……操ったり…生み出したり出来ます…」


能力:水

内容:水を生み出し操る能力

条件:特になし


「水かぁ…今生み出すことって可能なの?」

ヒナミィがそう聞くとウルボくんは困惑する

「ど…どうなんでしょう……もう一度試してみます」

そう言ってウルボくんは手の受け皿を作り目を瞑る

すると手のひらから水が徐々に溜まって溢れ出す

そしてゆっくりと水が浮かび上がり、水のゆるりとした水晶のようだ

本当の魔法の世界に来たかのような光景を見せた

「おぉ!!凄い凄い!」

ヒナミィは目をキラキラとさせながら見つめる

「で…出来てますかね……」

ウルボくんが目を開くと水の水晶がバシャンと床に落とされてしまう

「あ……」

ウルボくんはしょんぼりとした

それを慰めようと、けけさんが肩を優しくぽんと叩く

「大丈夫大丈夫。そのうち上手く扱えるようになる」

けけさんがそう言うと、ウルボくんは少しニコッとしたように見えた

「そういえばけけくんの能力ってどんななの?」

ヒナミィはみんなの能力に興味津々らしい

「俺?俺は風だよ。まぁ本来の風が無ければなんも意味が無いんだけど」


能力:風

内容:風を操る能力

条件:その場に風が起きていなければ能力使用不可

所持武器:短剣


「ちなみにうちは植物だったよ〜」

ヒナミィがニコッとしながら手のひらからポンッと可愛らしいピンク色の花びらを咲かせる


能力:植物

内容:植物を地面や壁に生み出し対象とする生物に癒しを送れる回復系統

物からでも生み出すことが可能だが生物の体などからは不可能

所持武器:吹き矢、弓

条件:特になし


「なんでそんなこと言うの?まぁ俺は時間を止めることができる能力だし多分この中で強いんじゃないかな?」

俺はそう言って自分の能力と武器を確認した


能力:時間停止

内容:自身以外の時間を停止することが可能

条件:特になし

所持武器:ハンドガン


「みんな羨ましい…なんで僕はこんなのなの??」

もかさんがそう言うとみんなの視線がもかさんに集まる

見た瞬間笑いが止まらなくなった


能力:重力

内容:不明

条件:特になし

所持武器:謎の鉄球


「それ何に使うんだよwww」

けけさんがそう言いながらケラケラと笑う

中サイズのただの鉄球なのだ

本来武器って弓とか銃とかなのに対してこれとは

「しかもどうやって能力使うのかもわかんねぇ…力を込めようたってこれ投げたってなんもならんし」

「イ……イメージとかは…?」

「無理だった」

ウルボくんが言ったことに、もかさんは即答で否定した

「まぁそのうち出来るようになるでしょ」

けけさんがそういった後、俺は少しその場を離れた

改めて俺の能力を確認する


能力:時間停止

内容:分子運動を完全に停止させることが可能

停止できる時間は体感約10秒

また停止中に触れた物体は触れている間だけ停止が解除される

しかし能力を使いすぎると共に体力が削られる

条件:誰にも見られてない状態のみ発動する

所持武器:ハンドガン


みんなには時間が止まるとだけ言っておこう

他の人たちもいる訳だし、僕はまだウルボくんを信用出来ていない

それにレーアさんと白狐さんの近くに居るあの二人

カインさんとザペルさん

今回のゲームで知り合ったって言ってたけどそこまで信用して大丈夫なのだろうか

「あの……メイさん?大丈夫…ですか?」

ウルボくんがそう言いながら僕の顔を覗いてくる

ハッと気づいて、彼の顔を見る

「あ…よかった……呼んでも反応がなかったので…」

ウルボくんは安心したのかホッとして笑顔を浮かべていた

「ごめんごめん…ちょっと考え事してた」


──考えすぎか


「他のみんなは?」

「今あちらで話してます……まだ時間はあるので僕はこのままのんびりしようかなと…」

そう言って近くにあったふかふかの丸いクッションの上に座る


ふと気になった

「…ウルボくんは、あの人たちのこと信用してるの?」

カインさんたちの方に目をやる

すると、ウルボくんはオドオドして言った

「今ここで協力し合わなければ……ここから先、立ち止まってしまうのかと思ったので…」

「協力?ここはデスゲームだってことを覚えてるの??誰かが裏切って俺やけけさん達を殺しにくるのかもしれないんだぞ?」

そう聞けばウルボくんは黙ってしまった


──あまり考えてなかったのだろうか


そう思っていれば、ウルボくんの顔が真剣になる

「……今ここで動かないでどうするんですか。彼らだって被害者です。それは僕達と同じではありませんか」

少しだけ、彼が怖く感じた

だが優しさは変わらないらしい

「そっか。ごめんね」

俺がそういえば、彼はハッとする

「あ……すみませんッ!僕…少し怒ってしまいました………」

「大丈夫だよ。気にしないで。お菓子とって来ようか?」

「……お願いします」


───少し空気を悪くしてしまったか



数時間後

黒さんのアナウンスが響き渡る

そして次のゲーム説明が始まった

『皆様には我らが用意した者たちを倒して頂きます。他の方と協力も可能とします。それぞれランダムに皆様を転移させ、すぐにゲーム開始となります。それでは……健闘を祈ります』

そして俺らの視界は眩しくなる


ここからが──本当の地獄だった






to be continued

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