season2

えいみ

家に行こう

第1話

夏風邪かわからないけど、しばらく体調が悪かった。だけど、夏休みに入る前にはすっかり元気になっていた。


「冬!デート!するよ!」


俺の席にまで来て、尚巳は楽しそうに言う。クラスの人たちは俺の体調を気遣ってるのか、尚巳好きな女子たちは絡んでこなかった。


「いつ?」


「あしたー!」


「いいよ」


「場所はねー、カラオケ?ボーリング?それともーゲーセン?」


「友達と会わなくていいの? 明日から夏休みだけど」


「のんちゃん?うー、普通の日は忙しいし、たまにしか会えないもんねー」


「遊んだらいいよ」


「冬は?一緒に遊ぼー?」


「俺は、その人あんまり知らない、し…」


一度だけ会っただけ。


「お願い」


尚巳にじっと見られて、これは断れない。


「わかったよ」


てなわけで、公園で会うことに。休日にデートというのは今までなくて。いつも放課後だった。まぁ、尚巳は友達と遊んでたんだろうけど。


「わーなおみー!おー冬くんも久しぶりだね。なおみーの服かわいいー!」


のんちゃんはすごく元気である。


「やったー!」


尚巳は、くるっと回る。半袖で首元がふりふりとしたブラウスにチェックワンピースを着ていた。のんちゃんは、動きやすいTシャツにデニム。かわいい服を汚したくないが、その辺のベンチに座る。尚巳を挟んで座ることに。


「冬くんがいっつも一緒なんでしょ?」


「いや、いつもでは…」


「あのねー冬はね、熱が出てもわかんないんだよ?」


「おい」


「へー頑張り屋さんなんだ」


その言い方は、まるで兄のよう。


「そーだよ?ね、冬」


「冬くん、なおみーは熱出たことずっと覚えてると思う。すごい記憶力いいんだよ?」


「そ、そうなの?」


これは初耳。


「そんなことないよー?のんちゃんはめちゃくちゃ頭いいよ!」


そういう話をしてたわけではないが…まあいいや。


「たまたまだよー」


「冬もね、頭いいよ?学級委員長だし」


「関係ないから」


「私も委員長だよ」


「やっぱりー!のんちゃんはねーすごいんだよー!でも冬もすごいねぇ」


尚巳にさりげなく、くっつかれた。かわいいやつだ。そのまま、どうでもいい話を3人でしていた。


「さてと、今日保育園が半日だし、お迎えだから帰るね」


のんちゃんはまるで主婦のようだ。


「うん。わかったー!のんちゃんまたね」


「うん。じゃあねー」


あっさりのんちゃんは帰ってしまった。


「冬」


「なに?」


「眠たくなった」


「外で寝たら風邪引く」


「そーだね〜あーなんかご飯食べたいなー」


「忙しいな」


「今日はどこ行こーか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る