【十一】女子高生は成人になりました!

 徳田康代大統領は、生徒会執務室に幹部を招集した。

目的は成人年齢引き下げ発表の事前録画だった。


『光夏、ホログラムディスプレイの調整は問題ありませんか』

「はい、大丈夫です」


『じゃあ、録画を始めてください』

「はい、どうぞ」


『大統領の徳田です。今日はみなさんに大事なお伝えがあります。

ーー皇国の成人年齢は、時代と共に変わりました』


『これからの時代は、無税、全学費無償化の時代です。

ーーそして女子高生達の多くは国政に参加しています』


『そんな時代に相応しい成人年齢が必要になりました。

ーー成人年齢を十六歳に変更します』


『これからの女子高生は成人です。

ーー十六歳で輪番代議士になれる時代です』


『誰もが政治に参加できる時代です。

ーー徳田康代は成人年齢引き下げに署名します』


『女子高生成人時代が始まります。

ーー困ることあれば、親である国家が助けます』


『以上です』


 収録を終えた康代は、大統領補佐官の光夏を呼んで録画をホログラムディスプレイに写して貰った。


「大統領、収録は問題ありません」

『じゃあ、インターネットで配信しましょう』


『秀美、トラブル対応は任せますよ』

「大統領、心得ています」


 秀美は、生徒会室を出て、別室から[全国女子高生徒会メンバー]に報道内容を伝える。


 徳田大統領を支えている重要な組織が全国女子高生徒会と徳田幕府だった。

一般的には・・・・・・。


 神聖女学園校内食堂の井戸端会議は生徒たちの元気な声が溢れている。

世間で言う主婦の井戸端会議と大差はない。


「徳田大統領、凄いよね」

「古い政治を、バッサリ切り捨てたよね」


「そうそう、利権ドップリの老害もお払い箱」

「笑える、選挙廃止で選挙利権も無くなって良かった」


「デノミに税金リセット」

「通貨制度を根本的に変えるなんて、神さまか」


「神聖は、元々、無料だけどさ、全ての学校も無償化対象になるんだって」

「お金が必要な世の中をバッサリ切り捨てか」


「まるで武士(もののふ)か」

「お金の縛りを消して、本当の必要が見えるんじゃない」


「そうよね、人間なんて、物欲の固まりだし」

「無い無いの極限で見える物があるのかしら」


「十六歳から成人だから昔みたいな」

「徳田民主主義は、究極の民主主義かも知れない」


生徒たちのお喋りに着地点はなかった。


 地球の神アセリアの神使の黒猫セリエが生徒会室に現れる。

セリエからスキルを与えられた者だけに見えて聞こえた。


『セリエさま、ご機嫌よろしそうで何よりです』


「康代よ、順調かな学校改革はどうにゃ」

『はい、進んでいます』


「構造が変わることで、白蟻が湧いて来るだろうにゃあ」

「だが、其方そちには、指一本触れさせはせぬにゃ」


「目には見えぬ最強の布陣じゃにゃ」

『セリエさま!ありがとうございます』


同席していた天女、織畑、前畑、豊下、明里も頷いた。


神使のセリエは消えて光になった。


「天女も護るでござる」

一同は、くすくすと笑った。


「何か、おかしいでござるか」



「田沼先生、今日はどうされますか」

『そうね、神聖神社に寄ってから買い物をしましょう』


 二人は社務所に顔を出し陰陽師おんみょうじ安甲晴美あきのはるみ神主に挨拶した。


「あら、田沼先生、珍しいこと」

『安甲先生、私などが先生の前にいる方がおこがましいと思います』


「そんなことありませんよ」

『今日は、参拝してから、センターで買い物してお茶して帰ります』


「先生も如何でしょうか」

若宮が言う。


「若宮さん、お誘いをありがとうございます」

「でも、ちょっと用事があって、また、お願いしますね」


『じゃ、次の機会によろしくお願いします』


田沼と若宮は一礼して本殿に移動した。


「先生、やっぱり、ここ邪気がありませんね」

『そうね、心身が洗われる気分ね』


「先生もそう思いますか。私だけでなくて」


 田沼博士と若宮助手散歩後、神聖ショッピングセンターに移動した。

店内は、平日にしては一般の人たちで、賑わっていた。


 徳田康代大統領は、生徒会執務室に幹部を招集した。

目的は成人年齢引き下げ発表の事前録画だった。


『光夏、ホログラムディスプレイの調整は問題ありませんか』

「はい、大丈夫です」


『じゃあ、録画を始めてください』

「はい、どうぞ」


『大統領の徳田です。今日はみなさんに大事なお伝えがあります』

『皇国の成人年齢は、時代と共に変わりました』


『これからの時代は、無税、全学費無償化の時代です』

『そして女子高生達の多くは国政に参加しています』


『そんな時代に相応しい成人年齢が必要になりました』

『成人年齢を十六歳に変更します』


『これからの女子高生は成人です』

『十六歳で輪番代議士になれる時代です』


『誰もが政治に参加できる時代です』

『徳田康代は成人年齢引き下げに署名します』


『女子高生成人時代が始まります』

『困ることあれば、親である国家が助けます』


『以上です』


 収録を終えた康代は、大統領補佐官の光夏を呼んで録画をホログラムディスプレイに写して貰った。


「大統領、収録は問題ありません」

『じゃあ、インターネットで配信しましょう』


『秀美、トラブル対応は任せますよ』

「大統領、心得ています」


 秀美は、生徒会室を出て、別室から[全国女子高生徒会メンバー]に報道内容を伝える。


 徳田大統領を支えている重要な組織が全国女子高生徒会と徳田幕府だった。

一般的には・・・・・・


 神聖女学園校内食堂の井戸端会議は生徒たちの元気な声が溢れている。世間で言う主婦の井戸端会議と大差はない。


「徳田大統領、凄いよね」

「古い政治を、バッサリ切り捨てたよね」


「そうそう、利権ドップリの老害もお払い箱」

「笑える、選挙廃止で選挙利権も無くなって良かった」


「デノミに税金リセット」

「通貨制度を根本的に変えるなんて、神さまか」


「神聖は、元々、無料だけどさ、全ての学校も無償化対象になるんだって」

「お金が必要な世の中をバッサリ切り捨てか」


「まるで武士(もののふ)か」

「お金の縛りを消して、本当の必要が見えるんじゃない」


「そうよね、人間なんて、物欲の固まりだし」

「無い無いの極限で見える物があるのかしら」


「十六歳から成人だから昔みたいな」

「徳田民主主義は、究極の民主主義かも知れない」


生徒たちのお喋りに着地点はなかった。


 地球の神アセリアの神使の黒猫セリエが生徒会室に現れる。セリエからスキルを与えられた者だけに見えて聞こえた。


『セリエさま、ご機嫌よろしそうで何よりです』


「康代よ、順調かな学校改革はどうにゃ」

『はい、進んでいます』


「構造が変わることで、白蟻が湧いて来るだろうにゃあ」

「だが、其方そちには、指一本触れさせはせぬにゃ」


「目には見えぬ最強の布陣じゃにゃ」

『セリエさま!ありがとうございます』


同席していた天女、織畑、前畑、豊下、明里も頷いた。


神使のセリエは消えて光になった。


「天女も護るでござる」

一同は、くすくすと笑った。


「何か、おかしいでござるか」



「田沼先生、今日はどうされますか」

『そうね、神聖神社に寄ってから買い物をしましょう』


 二人は、社務所に顔を出し陰陽師おんみょうじ安甲晴美あきのはるみ神主に挨拶した。


「あら、田沼先生、珍しいこと」

『安甲先生、私などが先生の前にいる方がおこがましいと思います』


「そんなことありませんよ」

『今日は、参拝してから、センターで買い物してお茶して帰ります』


「先生も如何でしょうか」

若宮が言う。


「若宮さん、お誘いをありがとうございます」

「でも、ちょっと用事があって、また、お願いしますね」


『じゃ、次の機会によろしくお願いします』


田沼と若宮は一礼して本殿に移動した。


「先生、やっぱり、ここ邪気がありませんね」

『そうね、心身が洗われる気分ね』


「先生もそう思いますか。私だけでなくて」


 田沼博士と若宮助手散歩後、神聖ショッピングセンターに移動した。

店内は、平日にしては一般の人たちで、賑わっていた。


 新政府の改革で、多くの人は通勤ラッシュから解放されて余暇の時間が増えている。


買い物を済ませた田沼と若宮は上の階のカフェに寄った。


「田沼博士、郊外だから不便かと思っていましたが、何でもありますね」

『そうね、さすが神聖女学園を支えているショッピングセンターですね』


「転居って、色々と備品が必要なこと、多いですね」

『あると思っていたのが、無かったり』


「その些細なこと、馬鹿になりませんね」

『そうね、でも新政府のお陰でデノミだけじゃ無くて・・・・・・』


『メリットというか恩恵が多くて助かるわ』

「カネ塗(まみ)れの老害政治時代には考えられなかった事ね」


『若宮さんも、そう思っていたの』


『若い人には未来があるから、どん詰まりの発想が無いのよ』

『たとえダメでも前に進もうとする意力を感じるの、私だけかしら』


「先生、私も同じです」

『徳田幕府復活と聞いた時には、タイムスリップかと思いましたが』


田沼は、笑いながら続けた。

『前政府の悪政を駆除して、足らない部分を幕府が補完しているなんて夢みたいね』


「私たちは戦勝国の法律を押し付けられ洗脳教育に晒され歴史まですり替えられていた訳でしょう」

『永畑火山、今後、分からないけど、きっと天罰ね』


「あの事件が無かったら、徳田幕府復活もなかった訳でしょう」

『人生、何が幸いするか分かりませんよ』


「災い転じて福となすですね」


二人は、買い物袋を見て溜め息を付いた。


『さて、行きますか』

「はい、先生、いざ鎌倉へ」

二人は笑った。


 新政府の改革で、多くの人は通勤ラッシュから解放されて余暇の時間が増えている。


買い物を済ませた田沼と若宮は上の階のカフェに寄った。


「田沼博士、郊外だから不便かと思っていましたが、何でもありますね」

『そうね、さすが神聖女学園を支えているショッピングセンターですね』


「転居って、色々と備品が必要なこと、多いですね」

『あると思っていたのが、無かったり』


「その些細なこと、馬鹿になりませんね」

『そうね、でも新政府のお陰でデノミだけじゃ無くて・・・・・・』


『メリットというか恩恵が多くて助かるわ』

「カネ塗(まみ)れの老害政治時代には考えられなかった事ね」


『若宮さんも、そう思っていたの』


『若い人には未来があるから、どん詰まりの発想が無いのよ』

『たとえダメでも前に進もうとする意力を感じるの、私だけかしら』


「先生、私も同じです」

『徳田幕府復活と聞いた時には、タイムスリップかと思いましたが』


田沼は、笑いながら続けた。

『前政府の悪政を駆除して、足らない部分を幕府が補完しているなんて夢みたいね』


「私たちは戦勝国の法律を押し付けられ、

ーー洗脳教育に晒され歴史まですり替えられていた訳でしょう」

『永畑火山、今後、分からないけど、きっと天罰ね』


「あの事件が無かったら、

ーー徳田幕府復活もなかった訳でしょう」

『人生、何が幸いするか分かりませんよ』


「災い転じて福となすですね」


二人は、買い物袋を見て溜め息を付いた。


『さて、行きますか』

「はい、先生、いざ鎌倉へ」

二人は笑った。

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