繊細な心理描写、心に響く物語

※読み合い企画からのレビューです

第一部のエピローグまで読了
双子の妹ゆえに「厄女」として実家で虐待されていた少女が、五大名家の一つの次期当主に求婚されて──という導入の本作品だが、婚約者の力で周囲をざまぁするありがちな令嬢モノだと甘く見てはいけない
まず、主人公である藍が、儚く、健気で、心の底から幸せになってほしいと願えるキャラクター造型になっている
次期当主である架瑚も、いわゆるオレ様系ではなく、純粋で、一途で、こちらも素直に藍を託すことができる男前だ
二人の前には、ひどく過酷な物語が横たわっている
心の軋むような展開が待っている
しかし、だからこそ、過酷を乗り越え結ばれた二人を見て、この目に涙が滲むのだ
心を動かされたい人は、是非読んでほしい